海外子会社管理の最新事情
~コロナ禍でも実現できるガバナンス強化と連結決算~
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新型コロナウイルス感染拡大で現地ガバナンスは一層厳しく、決算データが集められない・・・
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各国ではロックダウンや渡航規制が設けられており、現地子会社の状況がこれまで以上にブラックボックス化されてます。 さらに3月決算発表の実現が難しい企業も増えています。
人の移動が制限される中、ガバナンス強化と連結決算を実現する方法はあるのでしょうか?
本セミナーでは各国の現状とガバナンス体制を強化する第一歩である“経理の見える化”について、世界27の直営拠点を持つ会計のプロフェッショナル集団「フェアコンサルティンググループ」が各国事例をもとに解説しました。
- セミナー総括
- ◆海外進出急増、それに伴い海外グループガバナンスが問われる
各国の最新状況について語るフェアコンサルティング玉村氏
日本市場の縮小、ITインフラの発展等で企業規模問わず海外進出が増えた昨今。それに比例して海外グループ企業のインシデントによる日本本社へのインパクトは大きくなっています。 ここ数年でも東証1部上場企業のグループ会社、それもひ孫会社や合弁会社等における不正事例で日本本社が大きな損失を抱える事例も出ています。
そのような背景があり、海外グループガバナンス強化が求められてきましたが、言語や距離の壁などから実現が難しく後回しにされてきました。
しかし、2019年12月中国・武漢に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大により、各国の国境が閉ざされ、海外子会社がより一層ブラックボックス化したことで、これ以上後回しにしていられない状況まできています。
◆新型コロナウイルス猛威の中での2020年3月決算
そんな中、3月決算期の企業では年次連結決算業務が開始されました。各国の子会社決算はどのような状況でしょうか。
いち早くロックダウンを実施したインドに進出されている企業では、会計業務を当社にアウトソーシングしていたため、クラウド会計システムで記帳できる体制は整っていましたが、証憑類が取引先から届かず3月の記帳が進んでいません。また、グローバルに数か国展開されている企業では、3月末時点の実地棚卸業務及び監査が進んでいません。
日本の大企業における決算発表の延期も増えており、非常に多くの企業が影響を受けています。
◆人が移動しないことを前提としたガバナンス体制が求められる
講演資料より抜粋
新型コロナウイルスの感染拡大は現時点で収束の兆しが見えておらず、国境が開かれるのはまだ先になる可能性があります。つまり今後は人が移動しないことを前提としたガバナンス体制が必要とされるのです。
そのために用意すべき手段は、以下2つです。
1.ボーダーレスな情報基盤の整備
2.現地外部リソースの活用
「1.ボーダーレスな情報基盤の整備」とはWeb会議ツール、クラウド・オンラインストレージ、クラウド・業務システムなど人の移動が制約されている状況下でも海外子会社の会計・決算業務体制を維持できる環境を整えることを指します。4月の緊急事態宣言以降、テレワークが日本でも一気に広まり、Web会議ツールなどが一般的になっています。使わない手はありません。
そして「2.現地外部リソースの活用」は、当社フェアコンサルティンググループのような、現地においても日本語及び現地語でサポートできるような外部リソースを活用することを指します。
上記1、2を活用し、今回のコロナ禍でも子会社管理を実現している事例を紹介します。
◆コロナ禍での子会社管理成功事例
【中国・製造業 管理業務アウトソース事例】
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本人駐在員の方の帰任が決定。
管理系人材もおらず、現地管理体制維持が困難に。
→フェアコンサルティング上海 アウトソース効果
・会計・税務等の管理業務移管したことで管理系人材不足解消
・コストの大幅削減に成功(駐在員1名のコスト>アウトソーシングコスト)
【世界20か国展開 内部監査アウトソース事例】
海外現地法人の内部監査を2年周期で全拠点実施。
日本からも内部監査担当者が来ていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による渡航制限で内部監査が出来なくなった。
→フェアコンサルティンググループ アウトソース効果
・各拠点をフェアコンサルティング近隣拠点で実施。
・日本語で内部監査報告書も作成し、フェアコンサルティング東京で一括して監査品質を管理可能に。
◆経理の見える化とガバナンス強化を同時に実現
次に、現地子会社にて、クラウド会計システムを導入し“経理の見える化”に成功した事例をご紹介します。
【ベトナム法人買収 PMI事例】
ベトナム現地法人を買収。
ベトナム語が読めないことや、ベトナム特有の税務系会計基準の理解が難しかった。
→勘定奉行クラウドGlobal Edition導入効果
・ベトナムの会計データを日本語でレポーティング可能に。それにより、買収時のデューデリジェンスでは見えなかった問題までもが明らかになった。
・一般的にリスクの高い買収企業のガバナンスリスクを低減。
勘定奉行クラウドGlobal Editionメインメニュー画面
【全世界10か国、グループ企業のキャッシュ可視化 事例】
積極的な海外投資姿勢で、キャッシュに余裕があればさらに進出をしたいと考えていたが、各国にキャッシュがどのくらいあるのか把握できていなかった。
また一部子会社ではキャッシュフローが厳しく、債権回収に課題があった。
→勘定奉行クラウドGlobal Edition導入効果
・全世界の現預金の可視化に成功
・債権管理機能により、海外子会社の債権回収状況も本社で把握可能に。
講演資料より抜粋 勘定奉行クラウドGlobal Edition債権債務管理機能
このようにして、クラウド会計システムを導入することにより、現地子会社へのガバナンスを強化するとともに、日本本社からリアルタイムで全世界の“経理の見える化”を実現することが可能になります。
◆今こそ海外子会社管理体制を整備する時
新型コロナウイルスの影響により、各国の国境が閉ざされ、人の移動が制限されています。このような事態になると、誰が予測できたでしょうか。
しかし、このような事態だからこそ、アフターコロナを見据えた体制を整えるのは今が最適とも言えます。世界のITインフラは整備されてきており、クラウドを通じて世界の会計は見える化が可能です。そしてフェアコンサルティンググループでは世界27拠点に日本人会計士が駐在しており、現地でのサポート体制も万全です。
環境はすでに整っています。今がまさに子会社管理体制を整備する時なのです。
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IPOを目指す企業の海外進出
- 講師紹介
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株式会社フェアコンサルティング 玉村 健氏大手外資系コンサルティングファームを経て、日本トップシェアの連結会計システムベンダーで製品企画や中西日本地域コンサルティング部門責任者として従事。 フェアコンサルティングでは、日本企業にグローバルソリューションを提案する部門の責任者を務めるとともに、 システムソリューション事業責任者としてグループマネジメントシステムやクラウド型グローバル会計システムのソリューション提供を行っている。
※掲載している情報は記事更新時点のものです。
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