労働契約法 とは
OBC360°用語集
労働契約法とは、企業と労働者の間に結ばれた労働契約の基本ルールを定める法律のことです。
労働形態が多様化したことにより、労働条件が個別に決定・変更されることから紛争が増加していることが問題視されました。そこで、労働契約の基本ルールを明確化し、個別労働関係紛争を未然に防ぐため、労働者の保護と労働関係の安定を目的として2008年3月に施行されました。
労働契約法は主に、労働契約における以下の5つのポイントについて規定されています。
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①労働契約の成立
労働契約が成立する条件として労働者と使用者の合意が必要と定義されています。②就業規則と労働条件
労働契約の内容は、全従業員が周知する就業規則に則った労働条件となることが定義されています。③就業規則違反の労働契約
就業規則を基準として、それに達しない労働条件は無効とされます。また、就業規則よりも不利な条件で締結した契約も無効となります。④懲戒・解雇
使用者が労働者を懲戒・解雇できる場合の要件が規定されています。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められる理由がない限りは無効になります。⑤期間の定めのある労働契約
2013年の改正時に、パートやアルバイトなどで期間の定めのある「有期労働契約」において、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超える場合、労働者の申し出により期間を定めない「無期労働契約」に変更できる条文が追加されました。また、反復更新の下に生じる雇止めを防止する条文、労働契約期間が定められていることによる不合理な労働条件を是正する条文も追加され、労働者が安心して働ける環境を目指しています。さらに、働き方改革関連法の一環で、2020年4月から(中小企業には2021年4月から)「同一労働同一賃金」が適用されるにあたり、労働契約法も改正されます。
「同一労働同一賃金」とは、業務上の責任の範囲や人材活用の運用等(転勤、異動、キャリアプランなど)が異なる場合を除き、同じ業務を行っているのなら正社員と非正規雇用労働者(パート、アルバイト、契約社員等)の待遇に差をつけてはいけないというものです。したがって、企業は今後、正規・非正規の従業員の業務内容が同一になっていないかの確認、従業員から意見を求められた際にいつでも説明できる制度の準備、職務内容の理解と就業規則や人事考課などの評価制度・評価基準の再整備などが必要になります。労働契約法には「不合理な労働条件の禁止」(第20条)が規定されていますが、現行は「有期契約労働者と無期契約労働者との間で期間の定めがあることにより不合理な労働条件を相違させることを禁止する」ルールですので、この内容が正社員まで及ぶことになります。そのため、改正案では「労働契約法 第20条」の規定を削除し、パートタイム労働法(現行は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に名称変更し、有期雇用労働者も含めることになっています。