2021年上半期IPO総括 ~コロナ2年目のIPO事情とは~
更新:2022年6月30日
目次
- ※本コラムは、2021年8月31日時点の記事です。2022年4月4日より新市場区分(東京証券取引所:プライム・スタンダード・グロース)に再編されています。旧市場名は新市場名に読み替えてご覧ください。
1.はじめに
2021年上半期(2021年1月から6月)は、2020年に続き新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本でも緊急事態宣言の発令など株式市場に大きな影響が出ました。
しかし、この上半期は昨年のコロナ禍での上場承認取り消しをした企業の上場も相次ぎ、東京証券取引所への新規上場企業数は昨年より大幅に増加した59社(TOKYO PRO Market含む)となっております。
今回は地方証券取引所は含まず、東京証券取引所に絞って2021年上半期のIPOを振り返ります。
しかし、この上半期は昨年のコロナ禍での上場承認取り消しをした企業の上場も相次ぎ、東京証券取引所への新規上場企業数は昨年より大幅に増加した59社(TOKYO PRO Market含む)となっております。
今回は地方証券取引所は含まず、東京証券取引所に絞って2021年上半期のIPOを振り返ります。
2.2021年上半期のIPO状況
2021年上半期のうち、東京証券取引所では合計59社が新規上場を果たしました。
2020年上半期は新型コロナウイルスの拡大で上場承認取り消しが相次ぎ、38社の新規上場であったため、大幅に増加しています。
▲2020年上半期と2021年上半期の東京証券取引所での新規上場企業データ
※東京証券取引所及び各社ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※テクニカル上場の企業を除く。
※東京証券取引所への上場企業のみ。なお、TOKYO PRO Marketへの上場企業を含む。
上場承認取り消しとは、いったん証券取引所から上場承認がおりたものの、何らかの理由によりその後会社側から自主的に上場申請を取り下げ、それをうけて証券取引所が取り消しを行うなどのケースです。取り消しとなった企業もあらためて承認を受けることができれば再度上場することが可能であることから、「上場延期」と表現される場合もあります。
2020年上半期は新型コロナウイルスの拡大で上場承認取り消しが相次ぎ、38社の新規上場であったため、大幅に増加しています。
▲2020年上半期と2021年上半期の東京証券取引所での新規上場企業データ
※東京証券取引所及び各社ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※テクニカル上場の企業を除く。
※東京証券取引所への上場企業のみ。なお、TOKYO PRO Marketへの上場企業を含む。
上場承認取り消しとは、いったん証券取引所から上場承認がおりたものの、何らかの理由によりその後会社側から自主的に上場申請を取り下げ、それをうけて証券取引所が取り消しを行うなどのケースです。取り消しとなった企業もあらためて承認を受けることができれば再度上場することが可能であることから、「上場延期」と表現される場合もあります。
3.リーマンショック以降最多!上半期で59社が新規上場
2020年はもともと上場ラッシュの年となるはずでした。
オリンピック・パラリンピックが予定され、政府は2020年の訪日観光客4000万人という目標をかかげていました。
IPOについても、「オリ・パライヤー」の活況にあやかって2020年の上場を目標に頑張ってきた企業が多かったものと思われます。
下記は2017年から2021年の各年1月から6月で東京証券取引所への上場予定企業数の推移を現したグラフです。
上場承認取り消しとなった企業も含めると、2020年は2017年から2020年の過去4年間では最多の53社の新規上場となる予定でした。
▲上場予定企業数推移(上場承認取り消し企業含む)
※東京証券取引所及び各社ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※東京証券取引所への上場予定企業のみ。なお、TOKYO PRO Marketへの上場企業を含む。
※各月の数字には上場承認取り消し企業も含む。上場承認取り消し企業については当初上場予定の月へ計上している。なお、取消後に再上場した企業についても当初上場予定であった月に計上。
2019年の段階ではコロナ禍のような事態は想定されず、2020年は景気が上向くことが期待されていました。
また、2020年という区切りもよいことから、実際には53社以上の企業が上場申請をしていたものと思われます。
ここ数年は年間90社前後の企業が上場していますが、新型コロナウイルスがなければ、2008年のリーマンショック以降で最大の上場企業数になっていたかもしれません。
▲2005年以降の東京証券取引所の上場企業数推移
※東京証券取引所ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※テクニカル上場を除き、他市場との重複上場企業を含む。またTOKYO PRO Marketを含む。
※2021年は1月から6月までに上場した企業数。
※東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い両株式市場は2013年に統合。よって2012年以前については大阪証券取引所への新規上場企業を含めて計算している。
※「JASDAQ」には大阪証券取引所の旧JASDAQ、ヘラクレス、NEOを含む。
しかし、実際には新型コロナウイルスの影響で上場承認取り消しが相次ぎ、当初2020年に上場申請を予定していた企業も業績の不透明さを理由に申請期を1期先延ばしした事例が散見されます。そのようなこともあり、2021年上半期の上場承認数は昨年上場承認取り消しをした企業6社を含む64社となり、上場企業数も59社と上半期ではリーマンショック以降最多の数字となりました。
オリンピック・パラリンピックが予定され、政府は2020年の訪日観光客4000万人という目標をかかげていました。
IPOについても、「オリ・パライヤー」の活況にあやかって2020年の上場を目標に頑張ってきた企業が多かったものと思われます。
下記は2017年から2021年の各年1月から6月で東京証券取引所への上場予定企業数の推移を現したグラフです。
上場承認取り消しとなった企業も含めると、2020年は2017年から2020年の過去4年間では最多の53社の新規上場となる予定でした。
▲上場予定企業数推移(上場承認取り消し企業含む)
※東京証券取引所及び各社ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※東京証券取引所への上場予定企業のみ。なお、TOKYO PRO Marketへの上場企業を含む。
※各月の数字には上場承認取り消し企業も含む。上場承認取り消し企業については当初上場予定の月へ計上している。なお、取消後に再上場した企業についても当初上場予定であった月に計上。
2019年の段階ではコロナ禍のような事態は想定されず、2020年は景気が上向くことが期待されていました。
また、2020年という区切りもよいことから、実際には53社以上の企業が上場申請をしていたものと思われます。
ここ数年は年間90社前後の企業が上場していますが、新型コロナウイルスがなければ、2008年のリーマンショック以降で最大の上場企業数になっていたかもしれません。
▲2005年以降の東京証券取引所の上場企業数推移
※東京証券取引所ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
※テクニカル上場を除き、他市場との重複上場企業を含む。またTOKYO PRO Marketを含む。
※2021年は1月から6月までに上場した企業数。
※東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い両株式市場は2013年に統合。よって2012年以前については大阪証券取引所への新規上場企業を含めて計算している。
※「JASDAQ」には大阪証券取引所の旧JASDAQ、ヘラクレス、NEOを含む。
しかし、実際には新型コロナウイルスの影響で上場承認取り消しが相次ぎ、当初2020年に上場申請を予定していた企業も業績の不透明さを理由に申請期を1期先延ばしした事例が散見されます。そのようなこともあり、2021年上半期の上場承認数は昨年上場承認取り消しをした企業6社を含む64社となり、上場企業数も59社と上半期ではリーマンショック以降最多の数字となりました。
4.コロナ禍での上場実現の鍵とは
下記は2021年上半期に東京証券取引所(TOKYO PRO Marketを除く)に新規上場した企業の業種別分類です。
▲2021年上半期東証上場企業の業種別分類
※東京証券取引所ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
情報・通信業とサービス業が多くなっているため、インターネット系のサービス企業が上場に強いと思われがちですが、必ずしもそうとも限りません。
例えば、2021年3月に東証二部に上場した株式会社丸順は岐阜県に本社がある自動車部品メーカーで、自動車用車体プレス部品の製造や自動車用精密プレス部品の製造を手掛ける企業です。
また水産練り製品、惣菜類、水産珍味類等の食品製造販売及び食品の仕入販売を手掛ける株式会社紀文食品が東証一部に上場しています。
両社はいずれも業界で高い評価を受けており、ニッチであるかもしれませんが強みをもっています。
たしかに、一般投資家からみれば、ECのようなオンラインサービスやプラットフォーム事業は外出自粛の環境下でも着実に利益を出せるイメージを持ちやすいものと思われます。しかしながら、コロナ禍で経済環境の見通しが立てにくい状況だからこそ、強みが明確で業績がぶれず着実に成長している企業が評価されるといえます。
コロナ禍であることや、市場動向に一喜一憂せず自社の強みを着実に伸ばしていくことが上場実現への鍵ではないでしょうか。
■ 数年先にIPOを見据えた企業様、必見!船井総研・IPOセミナー
■ IPOを目指したい、検討したい方に耳より情報をお届け 「船井総合研究所IPOコンサルティングコラム」
■ IPOを目指す企業が参加する研究会(IPO・M&A分科会)
▲2021年上半期東証上場企業の業種別分類
※東京証券取引所ウェブサイトより船井総合研究所にてまとめ
情報・通信業とサービス業が多くなっているため、インターネット系のサービス企業が上場に強いと思われがちですが、必ずしもそうとも限りません。
例えば、2021年3月に東証二部に上場した株式会社丸順は岐阜県に本社がある自動車部品メーカーで、自動車用車体プレス部品の製造や自動車用精密プレス部品の製造を手掛ける企業です。
また水産練り製品、惣菜類、水産珍味類等の食品製造販売及び食品の仕入販売を手掛ける株式会社紀文食品が東証一部に上場しています。
両社はいずれも業界で高い評価を受けており、ニッチであるかもしれませんが強みをもっています。
たしかに、一般投資家からみれば、ECのようなオンラインサービスやプラットフォーム事業は外出自粛の環境下でも着実に利益を出せるイメージを持ちやすいものと思われます。しかしながら、コロナ禍で経済環境の見通しが立てにくい状況だからこそ、強みが明確で業績がぶれず着実に成長している企業が評価されるといえます。
コロナ禍であることや、市場動向に一喜一憂せず自社の強みを着実に伸ばしていくことが上場実現への鍵ではないでしょうか。
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執筆者
株式会社船井総合研究所