監査法人からのIT統制への指摘ゼロ、
上場企業レベルの管理会計も同時実現
2019年3月上場、「カオナビ」が奉行を選択した理由

2020年3月9日
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2019年3月に東証マザーズに上場した株式会社カオナビ。同社はクラウド人材管理システム「カオナビ」を提供する今注目のHR TECH企業だ。
上場を果たした今、コーポレート本部経理財務グループマネージャーの長谷川悦也氏は「勘定奉行V ERPがなければ上場は果たせなかったでしょう。これひとつで基本の財務会計のほか、管理会計、個別原価管理、内部統制まですべて対応できることを評価しています。おかげで当社が目指した会計インフラを構築できています」と語る。
同社の上場に貢献し、現在の会計インフラを支えている勘定奉行V ERP導入後、同社ではどのような変化が起きたのだろうか。
【上場に向けての課題】

1.自社が目指す管理会計を行うための仕組みが不十分。

変動費・固定費などの管理会計科目が管理できないことに加えて、見たい切り口での帳票出力ができず、監査法人への対応などに苦慮しており、将来の業務に不安を感じていた。

2.ソフトウェア業に必要不可欠な個別原価管理の仕組みがない。

個別原価管理を行うためにはExcelでの出力、加工が別途必要で手間がかかっていたほか、プロジェクト単位での予算実績管理表の作成に多くの時間を要していた。

3.内部統制上必要なIT統制に対応できず、上場審査に耐えられない。

仕訳承認や監査締めなどのほか、内部統制上求められるレベルの管理ができなかった。   
   

将来の業務と上場審査への不安、両方を解消するのが勘定奉行V ERP

カオナビ長谷川様

HR TECHの雄として知られる株式会社カオナビ。同社が勘定奉行V ERPを導入したのは2017年9月のことだ。導入の中心的役割を果たしたのがコーポレート本部経理財務グループマネージャーの長谷川悦也氏である。長谷川氏が入社したのは2017年5月。ソフトウェア企業での勤務経験のある同氏から見て、当時利用していた会計システムはストレスがかかるものだった。当時は某有名な会計パッケージシステムを利用していたが、「そのシステムは基本的な財務会計しかできず、帳簿作成を目的としたもの。そのため、ソフトウェア業において必要不可欠な管理会計に多くの手間を要しており、将来の業務に不安を感じていた」という。こうしたなかで、会計インフラの再構築を検討するようになった。

さらに、将来的に上場を見据えるなかで内部統制の強化も課題として浮上。当時利用していた会計システムには仕訳承認機能もなく「上場審査には耐えられないと容易に想像できた」という。検討段階では、近年利用者を伸ばしている有名なクラウド会計システムも検討したが「上場企業の経理で使えるものではなかった」と判断。その最も大きな理由はシステム設計思想の違いだ。

「クラウド会計の多くは小規模企業を想定して作られたもの。入力は仕訳の形ではないため、業務スピードが遅くなり、ストレスがかかるんです」

つまり、仕訳を熟知したうえでスピーディーに業務を行う必要があるプロフェッショナルな上場企業の経理にとって、他社のクラウド会計システムは不十分ということだ。検討段階において長谷川氏は上場企業の経理担当者に対し、会計システムに関するヒアリングを行っているが、「多くの上場企業で勘定奉行V ERPが使われており、満足度の高い会計システムであることがわかった」という。このように、上場後も使い続けられる裏付けが取れたことも導入の後押しになった。東証マザーズへ上場を果たした今「導入は大正解でした」と長谷川氏は語る。

「勘定奉行V ERPを入れただけで財務会計のほか管理会計や個別原価管理、内部統制にまですべて対応できるようになり、無事に上場を果たすことができました。今や勘定奉行V ERPは当社の会計インフラとして欠かせないものです」


ひとつの仕訳に必要な項目をすべて管理可能、財務会計と管理会計を理想の形で両立

同社では管理会計や個別原価管理に多くの手間を要していたことや内部統制への対応不足が課題となっていた。どのようにして、これらの課題を解決していったのだろうか。最初に管理会計から見ていこう。

管理会計における課題は、ひとつの仕訳で財務会計と管理会計の2軸管理ができないことだ。同社では仕訳時に通常の財務会計科目のほかに“管理会計的”な区分や勘定科目を持たせて運用することを理想としているが、以前利用していた会計システムではこのような使い方はできなかった。

「例えば取引先は補助科目で、変動費・固定費などの管理会計科目は部門で代用していました。しかし、部門の統廃合の頻度は多く、部門別の集計を行いたいのに部門が使えないのは痛手でした」

さらに、財務会計科目しか管理できない仕組みは、自由自在な切り口で数字を経営陣や監査法人に報告することへの支障となっていた。

「例えば広告宣伝費の月次の取引先推移を監査法人から求められた際、補助科目の代用では集計ができないため、対応に苦慮していました。その場合は広告宣伝費の元帳を取り出して取引先ごとにピックアップして集計しなければなりませんでした」

管理会計科目を柔軟に管理できる仕組みを構築、経営陣や監査法人への要求に即対応可能な体制に

勘定奉行V ERP導入後は「セグメント」という管理項目を活用して変動費・固定費などの管理会計科目を管理するようになった。また、取引先や管理会計科目を独立した区分で管理できるようになったため、補助科目や部門で代用する必要はなくなり「ひとつの仕訳に取引先や管理会計科目、部門など必要な項目をすべて管理でき、部門が本来の使い方で活用できている」という。

このような変化によって、横ぐしでの集計対応が可能になった。

「経営陣はもちろん、監査法人の資料の提出要求に即対応できる体制が整いました。勘定奉行V ERPは財務会計と管理会計の両立に必要な区分や科目を網羅でき、見たい切り口の帳票が見たいときに瞬時に出せるもの。おかげで理想の管理会計を実現できています」

個別原価帳票や予算実績管理表を自動作成して、個別原価管理の方法を変えていく

次に個別原価管理についてだ。ソフトウェア業においてプロジェクト単位での個別原価管理の重要性は言うまでもない。一般的に個別原価管理を行うためには大型のERPを検討しがちだが「勘定奉行V ERPはパッケージの会計システムなのに個別原価管理まで対応可能なので驚いています」と長谷川氏は言う。

以前利用していた会計システムは個別原価管理に対応しておらず、元帳などをExcelで出力して個別原価の集計や加工作業を行っていたため、多くの時間を要しており「多大なストレスを感じていた」という。

「勘定奉行V ERPに変えた今、仕訳上でのプロジェクトの管理のほか、プロジェクト単位で個別原価帳票や予算実績管理表を自動で作成可能になりました。今後は勘定奉行V ERPを活用して業務時間を短縮しつつ、個別原価管理を着実に行える体制を構築していきます」

IT統制に必要な要素すべてを備えているから、監査法人対応を楽々クリアできた

最後に内部統制への強化についてだ。具体的にはIT統制(IT処理統制、IT全般統制)への対応が焦点となった。IT統制に苦労する企業は多いが、「どうやら勘定奉行V ERPを入れただけでIT統制は自然とクリアできていたようです。監査法人から指摘を受けることはなかったですね」と長谷川は笑顔で語る。 奉行における内部統制対応
※奉行シリーズが実現する内部統制対応

IT統制の課題は、以前利用していた会計システムにおいて仕訳承認機能がないことだった。IT処理統制上、仕訳入力時に起票者と承認者が分離していることが求められるが、これでは起票した仕訳の修正が簡単にできてしまうほか、監査締めなどの締め処理にも対応できない恐れがあった。さらに、仕訳の一覧表出力(CSV)において操作ログを付けて出力できないことも問題であった。そのため「IT統制に必要不可欠なデータの信頼性、正確性を自動的に確保・管理できず、上場審査に耐えられないと判断した」という。

これらのIT統制における諸問題は勘定奉行V ERPに変えるだけで一掃できた。

「仕訳承認のほか、監査締めなどの締め処理や職務分掌への対応、操作ログの管理などもオールインワンで行えました。導入後、仕訳の一覧表出力(CSV)に起票者と起票日付などの操作ログを付けて出力できるようになったため、監査法人対応がスムーズになっています」


勘定奉行V ERPの高い汎用性は生産性向上にも貢献する

労働力人口が減少するなかで人材活用など、総務人事部門が対応すべき課題は山積みだ。こうしたなか、同社のサービスへの期待やニーズはさらに高まっていくだろう。

同社の今後の成長が見込まれ、業務量の増大が予想されるなかで、作業コストの削減や生産性向上は喫緊の課題となっている。長谷川氏は「経理部門の仕事の比重のなかで大きな割合を占める仕訳入力を削減していく」と課題解決の方向性を語る。

その具体的な手段のひとつがシステム連携だ。同社では稟議システムや経費精算システム、勤怠システムなどを利用してるが、これらのシステムと勘定奉行を連携させることで仕訳入力の量を削減していく考えだ。

「勘定奉行V ERPは他社のシステムとつながれる汎用性を持っています。改めて勘定奉行にしてよかったと思います」

人材データのプラットフォーム化を目指して事業を加速する株式会社カオナビ。企業規模がさらに拡大すると、どのような変化が想定されるのだろうか。

「投資家の要求水準がますます高くなっていくでしょう。こうしたなかで、その要求に耐えうる会計インフラの構築が必要です。勘定奉行は当社の期待に応えてくれるERPだと確信しています」

今も、そしてこれからも。同社の成長基盤を支えるのが勘定奉行V ERPなのだ。
【導入モジュール】
勘定奉行V ERP10[個別原価管理編] 、伝票項目拡張 for 奉行V ERP

【課題に対する効果】

1.変動費・固定費などの管理会計科目に対応できるようになったことで、自社が目指していた管理会計を実現。

取引先やセグメント、部門などを軸にした横ぐしでの帳票出力、分析が可能に。さらに監査法人の報告要求に即対応できる体制が整った。

2.会計システムで個別原価管理に対応できる体制に。

仕訳上でのプロジェクト管理のほか、プロジェクト単位で個別原価帳票を自動作成できるようになった。今後は勘定奉行V ERPを活用して、面倒なExcel管理を一掃し、生産性向上を図る方針。

3.勘定奉行V ERPに変えるだけでIT統制に難なく対応でき、無事上場を果たせた。

仕訳承認のほか、監査締めなどの締め処理や職務分掌への対応、操作ログ管理など、IT統制に必要なことがすべて十分なレベルで行えるようになった。

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導入企業情報
株式会社カオナビ
株式会社カオナビ
クラウド人材管理システム「カオナビ」を提供。「カオナビ」は顔写真が並んだシンプルな画面とカンタン操作が特長の人材管理システムで1500社以上に導入されている(2019年9月時点)。活用方法は人材データベースのほか人事評価や社内アンケートなど、多岐にわたり、日本の人材マネジメントのあり方を変えるHR TECH (エイチアールテック)として注目を集めている。2019年3月にマザーズ上場を果たす。株式会社カオナビ ホームページ

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