2023年上半期IPO総括
2023年8月24日
目次
1.はじめに
2023年上半期(2023年1月~6月)は、日経平均株価が33年ぶりの3万3千円台を回復し、6か月の上げ幅は7094円と大幅に上昇しました。
2022年上半期の景況感の悪さから一変したこの状況は、IPO市場にどのような影響をもたらしたのでしょうか。
2023年上半期のIPOを振り返ります。
2022年上半期の景況感の悪さから一変したこの状況は、IPO市場にどのような影響をもたらしたのでしょうか。
2023年上半期のIPOを振り返ります。
2.2023年上半期のIPO状況
2023年上半期は昨年より7社増の44社がIPOを実現しました。楽天銀行や住信SBIネット銀行などの大型IPOが登場したことが特徴として挙げられます。
また、上場前に上場承認を取り下げた企業は4社ありました(うち、1社は再承認され上場)。2020年のコロナ禍以降は、株式市況の悪化に伴い承認後に取り下げることが増えており、2022年は上半期だけで8社が上場を取り下げました(うち、1社は再承認され上場)。2023年は株式市場が順調なこともあり、昨年に比べて落ち着きを取り戻しつつあるといえます。
▲2022年、2023年上半期のIPO企業数
※各証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
▲2019年~2023年上半期IPO企業数
※各証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
過去5年間でみると、2023年上半期のIPO企業数は2021年に次いで2番目に多い社数です。
IPO企業が増加した要因としては、日本の株式市場が活況であった点が挙げられます。
2022年上半期は歴史的ともいえる円安やウクライナ侵攻等の世界的な景況感の悪化により、IPO時のバリュエーションが期待できないと判断されてしまいました。その結果、IPO企業数も2021年と比べて大幅に減少しました。
これに対し、2023年は日銀による金融緩和の継続、東証のPBR1倍割れ解消への要請、バークシャー・ハサウェイの日本株買い増しによる期待などから、海外勢を中心に日本の株式市場への投資が活発化しました。その結果、IPO時のバリュエーションも良化することが見込まれ、IPO企業にとって追い風が吹いたのです。
2022年と2023年の2年間は、世界経済およびマーケットの状況がIPOに及ぼす影響が如実に表れた年といえます。
また、上場前に上場承認を取り下げた企業は4社ありました(うち、1社は再承認され上場)。2020年のコロナ禍以降は、株式市況の悪化に伴い承認後に取り下げることが増えており、2022年は上半期だけで8社が上場を取り下げました(うち、1社は再承認され上場)。2023年は株式市場が順調なこともあり、昨年に比べて落ち着きを取り戻しつつあるといえます。
▲2022年、2023年上半期のIPO企業数
※各証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
▲2019年~2023年上半期IPO企業数
※各証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
過去5年間でみると、2023年上半期のIPO企業数は2021年に次いで2番目に多い社数です。
IPO企業が増加した要因としては、日本の株式市場が活況であった点が挙げられます。
2022年上半期は歴史的ともいえる円安やウクライナ侵攻等の世界的な景況感の悪化により、IPO時のバリュエーションが期待できないと判断されてしまいました。その結果、IPO企業数も2021年と比べて大幅に減少しました。
これに対し、2023年は日銀による金融緩和の継続、東証のPBR1倍割れ解消への要請、バークシャー・ハサウェイの日本株買い増しによる期待などから、海外勢を中心に日本の株式市場への投資が活発化しました。その結果、IPO時のバリュエーションも良化することが見込まれ、IPO企業にとって追い風が吹いたのです。
2022年と2023年の2年間は、世界経済およびマーケットの状況がIPOに及ぼす影響が如実に表れた年といえます。
3.2023年上半期、IPO企業分析
3-1.業種
3-2.業績
▲2023年上半期IPO企業の業績
※各証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
グロース市場は、売上高の最大値は35,314百万円(前期は11,671百万円)、最小値は13百万円(前期は458百万円)、経常利益の最大値は3,622百万円(前期は1,451百万円)、最小値は▲4,039百万円(前期は▲356百万円)となりました。
最大値と最小値の幅が前期より広がっており、2023年上半期はより幅広い業績の企業がIPOを実現していることがわかります。
詳細は割愛しますが、スタンダード市場も同様の結果となりました。
3-3.上場時の時価総額(公開価格ベース)
▲2023年上半期のIPO企業の時価総額(公開価格ベース)
※株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※TOKYO PRO Marketは含まない
各社の公開価格をもとに当社で時価総額を集計した結果です。
プライム市場は楽天銀行、スタンダード市場は住信SBIネット銀行が公開価格ベース・初値ベースともに時価総額は最大でした。各市場で売上・利益ともに最大であった金融業2社であり、予想通りの結果です。
一方で、グロース市場の時価総額規模はAnyMindGroupが公開価格ベースで最大でしたが、初値ベースではグロース市場における売上高1位のシーユーシーが最大になりました。公開価格時点では2社の時価総額はほとんど差がありませんでしたが、初値ではAnyMindGroupが56,986百円(初値騰落率0%)、シーユーシーが128,604百円(初値騰落率130.7%)と大きく水を開けられる展開になりました。
全体としては、公募価格割れは4社で2022年上半期の11社より大幅に減少し、平均騰落率も99.2%(2022年上半期は47.4%)と良い結果になりました。2022年上半期は市況の悪さが影響していることが、ここでも見てとれると同時に、2023年上半期の好調な結果を示しています。
3-4.主幹事証券会社
3-5.監査法人
4.上場数増加中!14社がTOKYO PRO Marketに上場
▲TOKYO PRO MarketIPO企業数推移
※東京証券取引所のデータをもとに株式会社船井総合研究所にて集計(2023年6月30日時点)
※2023年のIPO企業数は1月から6月の6か月間の合計値。2022年以前は1年間の合計値。
※IPO企業数には既に上場廃止となった企業も含む。
東証のプロ向け市場である「TOKYO PRO Market」へのIPO企業は14社でした。2017年からIPO企業数が毎年過去最多を更新しており、2023年も更新すると見られています。
また、TOKYO PRO Marketに上場した後に他市場にステップアップ上場を目指す企業が増えています。2023年上半期は2社がステップアップを実現しました(QLSホールディングス、ブリッジコンサルティンググループ)。
【関連コラム】 2022年のTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)の総括と2023年以降の展望
5.まとめ
2023年上半期は、日本の株式市場の株価上昇を追い風として、過去5年間で2番目の社数を誇る44社がIPOを実現しました。また、楽天銀行や住信SBIネット銀行といった大型案件も登場しました。
TOKYO PRO MarketへのIPOも、上半期だけですでに14社であり非常に好調です。
2023年はどこまでIPO企業が増えるのでしょうか。活況を呈するIPO市場に注目の1年となることは間違いありません。
■船井総研YouTubeでコラムを復習!
【動画】2023年上半期のIPO市場の動向と今後の展望(約20分)
【動画】2023年上半期のTOKYO PRO Marketの動向と今後の展望(約16分)
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2023年はどこまでIPO企業が増えるのでしょうか。活況を呈するIPO市場に注目の1年となることは間違いありません。
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執筆
株式会社船井総合研究所