年末調整 とは
OBC360°用語集
年末調整は、毎月の給与から天引きしてきた所得税1年分と本来支払うべき年間の所得税を照合し、その差額をまとめて精算する業務のことをいいます。所得税は、その年の所得が確定するまで正確な金額がわからないため、年末調整の計算完了後に還付または徴収を行います。
通常12月に行う年末調整は、年末まで勤務している全ての従業員が対象となりますので、正社員や派遣社員(2ヶ月以上の長期雇用の場合のみ)、アルバイト、パートタイム就業者も含みます。派遣社員の場合は、派遣元の企業が実施します。
ただし、以下の条件に該当する従業員は、年末調整の対象になりません。
- 年収が2,000万円以上ある場合
- 災害被害による災害減免で所得税の支払い猶予や還付をすでに受けている場合
- 副業等で2ヶ所以上からの収入があり、他の給与支払者が扶養控除等(異動)申告書を提出している場合
- 非居住者の場合
- 日雇い労働者など、継続して雇用していない場合
なお、以下の条件に該当した場合は、年の途中で行う年末調整の対象となります。
- 海外勤務による非居住者となった場合
- 企業在籍期間中に死亡し、退職となった場合
- 心身障害などを理由に退職し、再就職が見込めない場合
- 12月の給与を受け取った後に退職した場合
- パートとして働いている従業員が退職し、その年に受け取る給与総額が103万円以下の場合
(※ただし、他勤務先の給与と合計して103万円以上が見込める場合は除く)
年末調整を実施する上では、全ての従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が、また、該当者ごとに以下の書類が必要となります。
- 給与所得者の保険料控除申告書と控除証明書類:所得控除が受けられる保険料や確定拠出年金(iDeCo)等の掛金がある人
- 給与所得者の配偶者控除等申告書:配偶者控除を受けられる人
- 住宅借入金特別控除申告書:住宅ローンを利用しマイホームの取得等をした人
特に中途入社の従業員は、前職の企業が発行する源泉徴収票も必要になります。
そして、年末調整の計算は以下の手順で実施します。
- 給与と徴収税額を集計し、給与所得控除後の給与等の金額を計算
- 扶養控除額等の合計額を計算
- 所得控除額の合計額を計算
- 課税給与所得金額の計算と算出所得税額を計算
- 年調年税額を計算
- 過不足を計算
ここまでの計算ができたら、「源泉徴収票」「法定調書合計表」「支払調書」「給与支払報告書」を作成し、翌年1月末までにそれぞれの提出先となる税務署や市町村へ提出します。
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