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【連載(第3回)対策!平成30年配偶者控除改正】年末調整計算は時間との勝負!
申告書のチェックから年末調整計算までを効率よく行う実務テクニック

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配偶者控除にかかわる法改正により、今年から年末調整の仕方が変わります。従業員が申告した配偶者控除額および配偶者特別控除額をもとに年末調整を行いますが、申告された控除額と実際の所得金額に基づいた控除額が変わる場合には、従業員に再度申告してもらい、年末調整を再計算することになります。
多くの企業では、今年最後に支払う給与や賞与で年末調整を行いますので、年末調整の再計算が必要となった場合には、初回の年末調整計算から再計算までを数日間で完了しなければなりません。そのため、労務担当者は年末の業務スケジュールを立てて、年末調整に必要な情報が早く揃うよう、従業員や各部署の責任者の協力を得ることが重要です。
今回は、配偶者控除等申告書のチェックから年末調整計算までを効率よく行うための実務について、具体的に紹介します。しっかり確認をして計画的に備えていきましょう。

<12月の業務スケジュールの例> ・勤怠締日:15日、給与支給日:25日(支給日の3営業日前が給与振込の期限)
・12月給与で年末調整を行う場合
給与振込までの3日間で多くの業務を行う必要がありますので、各業務をできるだけ早く・ミスなく行えるように準備することが重要です。

業務スケジュールの例

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1 申告書の回収・催促

申告書の提出期限を案内していても、従業員が忘れていたり後回しにしてしまうことが想定されます。以下のタイミングを目安に提出を促し、期日までに回収できるようにしましょう。各部署や拠点で回収担当者を設けている場合にも同様にタスク化してもらい、協力を仰ぎます。

提出期限の2週間前

全従業員へ各種申告書の提出依頼を行います。その際には、改正内容と変更点、申告書の記入方法、提出期限を案内しましょう。詳細な実務内容については、「「配偶者(特別)控除改正」を攻略する!従業員の申告業務における実務テクニックを徹底解説!」でご確認ください。

提出期限の1週間前

申告書の提出状況をチェックして、まだ提出していない従業員には個別に連絡をします。やむを得ず提出が遅れる場合には、その理由を確認して提出してもらう期限を設定しましょう。

従業員からの問い合わせ対応を最小限にするテクニック

配偶者控除等申告書に関する従業員からの問い合わせに対して、労務担当者は時間をかけずに対応できるように備えておくことが重要です。以下に従業員が抱きそうな疑問点と対策をまとめましたので、事前に確認してスムーズに対応できるようにしましょう。

疑問:自身の給与明細書を保管しておらず、給与所得の収入金額が分からない場合はどうしたらいいか?

対策:給与所得の収入金額は「給与と賞与における課税支給額の累計金額」となりますので、毎月の給与明細書に掲載して確認できるようにしましょう。その場合には、従業員が迷わないよう、以下の点を補足で説明してください。

・明細書に掲載している累計課税支給額は、「当該支給日時点までに支払われた給与と賞与の金額」であり、今後12月までの見込金額を加算する必要があること。
・累計課税支給額は、本年中の給与と賞与の「収入金額」の合計であり、「所得金額」は別途算出する必要あること。
<給与明細書への掲載例>
給与明細書への掲載例
疑問:給与所得以外の所得、例えば配偶者が受けた公的年金はどのように記載したらいいか?

対策:公的年金は「雑所得」に該当します。配偶者控除等申告書の裏面【③雑所得】に所得の計算方法が記載されていますので、その内容に沿って算出するように案内します。その他の所得についても同様に申告書裏面を確認し、判断がつかない場合には所轄の税務署に問い合わせするよう促します。

2 申告書のチェックと入力

申告書の回収ができたら、申告書が正しく記載されているかをチェックします。
「配偶者控除等申告書」のチェックポイントは、以下の3点となります。
①本人および配偶者の合計所得金額(見積額)と区分の判定
②配偶者控除額および配偶者特別控除額
③配偶者のマイナンバー情報

①本人および配偶者の合計所得金額(見積額)と区分の判定

従業員本人については、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」に記載された金額から判定した区分ⅠのA・B・Cが正しく転記されているか確認します。

給与所得者の配偶者控除等申告書①

配偶者については、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」に記載された金額から判定した区分Ⅱの①〜④が正しく転記されているか確認します。

給与所得者の配偶者控除等申告書②

②配偶者控除額および配偶者特別控除額

①で確認した区分ⅠのA・B・Cと区分Ⅱの①~④を申告書下段の「控除額の計算表」に当てはめて、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらに該当するか、またその控除額が所定の欄に正しく記載されているかを確認します。
また、給与計算システムで「合計所得金額の見積額」から「配偶者控除額および配偶者特別控除額」を自動計算できる場合には、システムで計算された控除額と配偶者控除等申告書に記載された控除額が一致するかを確認します。
いずれかの方法でチェックし、申告書の記載内容に誤りがあった従業員には、差し戻して再度申告をしてもらいます。

【例:給与計算システムと申告書の記載内容を確認する方法】

給与所得者の配偶者控除等申告書③

③配偶者のマイナンバー情報

配偶者控除等申告書にて配偶者のマイナンバーの提出を受けた場合には、マイナンバーを管理・利用する給与計算システムや専用システムに入力します。

従業員から提出された各種申告書の記載内容に沿って年末調整を計算することになりますので、申告書のチェックと入力はこのタイミングで終えておくと安心です。お使いの給与計算システムにて、年末調整の計算に先立って申告書の内容だけを入力することができる場合には、チェックが済んだ従業員の分から入力作業を始めましょう。

配偶者の所得金額が年末調整までに確定しない場合の対応
配偶者控除等申告書を提出した後に、配偶者の所得金額が確定し、見積額から大幅に変わることが想定されます。確定した所得金額によって区分Ⅱの段階(下図の配偶者の所得[区分Ⅱ]の1〜11)が変わる場合には、従業員から再度申告してもらう必要があります。配偶者の所得金額が年末調整までに確定すれば正しい所得金額をもとに年末調整の再計算を行いますが、間に合わないケースもあります。その場合には、当初の申告内容を元に一旦年末調整を行いましょう。その後、所得が確定した時点で再度申告をしてもらい、過不足税額を計算して1月の給与で精算するようにします。

<配偶者控除額および配偶者特別控除額の計算表>
配偶者控除額および配偶者特別控除額の計算表

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3 今年の最後に支払う給与もしくは賞与の計算

給与もしくは賞与を計算して1年間の給料を確定します。給与計算に必要な情報として以下の情報をできるだけ早く提出するよう、各部署に対して依頼しておくと安心です。

身上異動届

扶養家族や住所などの社員情報が変わる従業員が所定の期日までに届出書を提出するように、12月初めに告知をしておきましょう。

勤怠情報

勤怠締日の翌日に全従業員の勤怠情報が揃っていないとその後の業務に支障を来たします。タイムカードや勤怠届出書を随時回収してチェックするようにしましょう。

変動手当

各従業員の実績に応じた手当やインセンティブが確定したら事前に入力する、あるいはExcelファイルから取り込めるようにしておくと入力時間を短縮できます。

4 年末調整の計算

必要な情報が揃ったら年末調整を計算して源泉徴収税額との過不足額を求めます。年末調整の計算方法自体に変更はありませんので、例年通りの流れで行ってください。

紙の配偶者控除等申告書を電子化するメリット

年末調整申告書をWebで提出できる年末調整申告書クラウドを利用すれば、従業員が本人および配偶者の給与所得について収入金額を入力するだけで所得金額が自動計算され、「配偶者控除・配偶者特別控除の判定」と「控除額の計算」も自動化できるため、従業員の記載間違いや計算ミスを防ぎ、簡単に申告することが可能です。また、申告データをそのまま給与計算システムへ反映できるので、すぐに年末調整計算へ取りかかれます。この機会にクラウドサービスを検討することもお勧めです。

さいごに

今回は、申告書のチェックから年末調整までの実務とテクニックについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?労務担当者は、できるだけ早く年間の給料等の金額を確定し、年末調整を行う必要があります。そのためには、従業員からの申告書や各部署からの勤怠情報の提出が計画通りに行われるように、働きかけをすることが大切であることをお分かりいただけたかと思います。

これから今年の年末調整業務が本格化しますが、業務をスムーズに完了できるよう、タスクと期限を決めてご自身のスケジュール管理に書き加えるなど、確実に進める仕組みを整えていきましょう!

  • ※ 第4回は「給与所得のチェックと申告・年末調整のやり直し」に必要な業務について解説します。
  • ※ OBCのFacebookページでも、「OBC360°」に新しい記事が公開されるとお知らせしていますので、ぜひチェックください。

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