電子帳簿保存法やインボイス制度などへの対応が求められる今、販売管理業務でもDX化は必要不可欠な取り組みです。しかし、販売管理業務では、以前からシステムを導入していても「Excel管理も併用している」という現場は意外と多いようです。
そこで今回は、販売管理業務にDX化が求められている背景から、DX推進で得られる効果や今後リプレイスの際に押さえておきたいDX化のためのポイントについて解説します。
目次
販売管理にDXが求められる背景
販売管理業務は、企業活動の3大資源のうち「モノ」「カネ」の流れを管理する業務です。受注・発注管理から売上・仕入管理、在庫管理、債権・債務管理など様々な業務が含まれます。それぞれの手間のかかりやすい業務のため、できるだけ効率化を図ろうと販売管理システムを導入している企業は多数あります。
しかし、システムが導入されているにもかかわらず、手作業の業務に追われているケースも多く見られます。実際、「システムは納品書と請求書を出すためにしか使っていない」「受注や回収予定などは別途エクセルで管理している」という企業は多く、次のような課題を実感しながらも、長年それが「販売管理業務の“当たり前”」と認識されていました。
<販売管理業務の現状>
- 伝票入力に時間を費やしている
- 別途Excelで管理が必要な作業が多い
- 請求書の印刷・送付に手間がかかる
- 他部門からの問い合わせ対応で業務が中断する
- サーバのおもりが大変
- 出社しなければ業務が滞る
- データがつながらず二重入力・二重管理が多い
今、こうした業務のあり方が変わろうとしています。テレワークやキャッシュレス決済、AI・ロボットの活用・・・と社会全体が大きくデジタルシフトしており、今後はデジタルへの対応力が経営力強化のカギとなります。また、電子帳簿保存法やインボイス制度などの影響で、請求業務や経理業務を中心にDX化が強く叫ばれています。電子取引の紙保存が完全に禁止される2024年には、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者にも否応なくビジネスプロセスのデジタル化が要請されます。
このようなデジタル社会で生き残るためには、販売管理業務のDX化はもはや避けて通れない重要課題と言えるでしょう。
販売管理業務のDX化で得られる5つのメリット
そもそもDX化には3つのステージがあり、アナログの情報をデジタルに変えるだけでなく、業務をデジタルデータでつなぐことでビジネスプロセス自体を変化させます。そうすることで、製品やサービスまでもデジタル化することができます。
※ 業務のDX化については、コラム「[DX戦略]中小企業こそ急務!経営者が知っておくべきDXの必要性と成功の秘訣とは」も参照ください。
販売管理業務でこのDXに取り組むと、次のような効果が期待できます。
①データを一元管理でき業務が自動完結する
販売管理業務をDX化すると、受注から全ての業務プロセスをデジタルデータでつなぐことができます。これにより、受注内容から売上伝票、発注伝票などが自動作成され、何度も手入力する必要がなくなります。
また、商品や取引先などのマスタ情報が一元管理されるため、これまでのようにExcelを使わなくても欲しい情報をすぐ取り出せるようになります。
このように従来のシステムでは管理しきれなかった業務がデジタル化することで、担当者は売上分析や売れ筋分析など本来取り組むべき業務に時間を割くことができ、業務効率が上がるだけでなく生産性の向上も見込めます。
②電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応できる
2023年10月以降は、インボイス制度の開始により請求書の記載項目が変わります。同時期には、デジタルインボイスの導入も予定されています。また、2024年1月には改正電子帳簿保存法の猶予期間が終了し、電子取引の電子データ保存が完全義務化されることになっています。
この2大改正では、法令で定められた要件を満たすことはもちろんですが、単純に「紙からデータへ」置き換えるだけでは対応しきれないため、業務プロセスそのものを見直すことも暗に求められています。
販売管理業務には請求の発行・受領を中心とした請求業務や入金・支払管理が含まれており、当然これらの法対応が求められます。DX化を進めることで、従来の業務プロセスがデジタル化し、必然的に法対応を進められるため、個別に対応を検討するよりも時間も経費も最小限に抑えることができます。
③リアルタイムな経営分析で経営判断がスピードアップする
昨今「データドリブン経営」という言葉が注目されているように、企業経営にデータを活用することは、大企業のみならず中小企業においても重要な手法となっています。
販売管理業務のDX化を進めると、受注の段階からデータを効率よく集めることが可能になります。先述したように収集されたデータは一元管理されるため、例えば売れ筋商品や部門別売上など、状況に応じて必要な視点でデータの可視化や分析を容易に行えるようになります。また、担当者だけでなく、経営者もリアルタイムで欲しい情報にアクセスできるため、迅速かつ精度の高い経営判断を行えるようになります。
④業務連携で機会損失の予防になる
販売管理業務は複数の部門が関わり、それぞれに管理したい情報があります。しかし多くの場合、販売管理システムは業務担当者が利用しており、各部門は欲しい情報を業務担当者に問い合わせるのが通例です。
DX化を進めると、クラウド上で全ての販売管理データを管理することになるため、営業や倉庫担当者など関連部門も必要なタイミングで必要なデータにアクセスできるようになります。それぞれが主体的に業務を進められることで、売り逃しなど機会損失を防ぐこともでき、迅速な顧客対応で満足度向上も期待できます。
⑤働き方改革が実現し採用力強化にもなる
業務のDX化が進むと、これまで人の手によって行われてきた作業の多くを大幅に削減できます。また、インターネットを通して、いつでもオフィス外でも業務が行え、働き方の多様化も実現します。
働き方の多様化や残業が発生しない職場は、従業員満足度の向上が期待できるとともに、人材の確保が難しい現代においてデジタルネイティブといわれる若手世代の採用力強化も期待できます。
販売管理DXサービス選びで押さえておきたいポイント
DXに必要なITツールはどのように選べばよいかと悩む企業は少なくありません。関係する部門の要望を聞こうにも、何を優先すべきか悩むことも多いでしょう。また、市場には様々なDXサービスが提供されていますが、それぞれに特長や強みがあり、自社にとって最適なサービスを探し出すのも一苦労です。
DXサービス選ぶ際には、次の4つのポイントを確認することが重要です。
- DXポイント1 販売管理業務プロセス“全体”をデジタル化し時間削減できるか
- DXポイント2 請求業務プロセスをデジタル化できるか
- DXポイント3 ⼊⾦管理業務プロセスをデジタル化できるか
- DXポイント4 スピーディーな経営判断に活かせるか
DXポイント1
販売管理業務プロセス“全体”をデジタル化し時間削減できるか
DX化を進め業務効率を上げるには、特定の業務だけをデジタル化するのではなく、関連する業務を含むビジネスプロセス全体でデジタル運用できるかが最大のポイントになります。
例えば販売管理の領域においては、受注業務だけをDX化しても、その後の業務にデータを活かせる仕組みがなければ、販売管理業務のDX化にはつながりません。受注情報をデータで取得し、そのデータを活用して在庫管理、請求管理、入金・支払管理といった一連の業務全体で見て、デジタル運用できるサービスを選ぶことが重要になります。
例えば、奉行クラウド 販売管理 DX Suiteは、受注業務から発注・売上仕⼊・債権管理や在庫管理など、12業務を網羅してデジタル運用できます。
特に受注業務においては、ECやPOSレジなどとAPI連携して受注伝票を自動登録できるため、出荷担当者は受注データの出荷予定日を見て指示を待たずにピッキングの開始ができるようになります。
また、受注伝票の登録と同時に、在庫状況から発注伝票を自動作成するため、在庫補充の確認時間も削減できます。
伝票作成も、売上伝票から仕⼊伝票、⼊⾦伝票、⽀払伝票と全て⾃動作成できるため、二重⼊⼒による人的ミスや、個別の⼿作業管理もなくせます。結果として、奉⾏クラウド販売管理DX Suitでは、年間1,281時間、約231万円の⼈件費削減につながることが実証済みです。
DXポイント2
請求業務プロセスをデジタル化できるか
販売管理業務でも電子帳簿保存法とインボイス制度への対応は必須のため、DXサービスを選定するにあたっても、この2大改正への対応は外せません。そのため、法令の要件を満たすことと合わせて、請求業務プロセスがどのようにデジタル化できるかもチェックしておくことが肝心です。
例えば、奉行クラウド 販売管理 DX Suitの場合、受注データから簡単に請求書を発行することができます。請求書の作成から印刷、押印、区分け作業、封入・封かん、投函といった請求書発行までの手作業が全て必要なくなり、ビジネスプロセスは「請求データを確定させる」だけでよくなります。
また、請求書だけでなく納品書のデジタル化にも対応しているため、取引先から納品書のデータ送付要請を受けてもすぐに切り替えることができます。 もちろん、電子帳簿保存法に則ってタイムスタンプを自動付与するので、取引先の負担もなく、自社でも控えデータをそのまま保存できます。今後はデジタルインボイスにも対応予定のため、今後のインボイス制度への対応も安⼼です。
DXポイント3
⼊⾦管理業務プロセスをデジタル化できるか
販売管理業務における入金管理業務には、回収予定の把握や入金の確認などチェック作業が多くあります。しかし、取引先ごとに回収条件や回収予定が異なるため、これまでの販売管理システムでは管理しきれず、Excelを使用している企業も多く見られます。こうした管理方法では、回収予定表の作成や入金消込などを手作業で行うことになるため、入力ミスなどのトラブルが発生しやすいという問題があります。
奉行クラウド 販売管理 DX Suitの場合、取引先ごとに異なる回収条件に柔軟に対応して各金融機関から入出金情報を自動取得し、回収予定と自動突合して入金消込まで自動化することができます。入金伝票や債権残⾼一覧表や滞留債権年齢表などの資料も自動作成されるため入力作業も一切なくなり、手作業は自動作成された伝票や仕訳の結果、消込結果などをチェックするだけとなります。
DXポイント4
スピーディーな経営判断に活かせるか
企業にとって、販売戦略は経営戦略の要です。ビジネス上で取得したデータを活⽤し経営戦略に役⽴てることは、販売管理業務における最⼤のミッションとも言えるでしょう。
DXサービスを導入すれば、集約したデータをもとにして多角的に経営分析を行うことも可能になり、業績の把握や市場ニーズの予測などもリアルタイムで確認できるようになります。
例えば奉行クラウド 販売管理 DX Suitでは、24種類の集計方法が標準装備されており、受注・発注、売上・仕⼊、⼊荷・出荷の実績データをもとに多角的に分析することが可能です。集計軸や集計期間を選択するだけで瞬時に欲しい情報が集計できるため、現在の経営状態をリアルタイムで把握できます。データは全てクラウドで管理されているため、分析結果もクラウド上で確認でき、外出先からでもすぐに把握でき、迅速な経営判断が可能となります。
おわりに
販売管理業務のDX化は、顧客サービスなどの対外的なDXではなく、自社内のビジネスプロセスを変革することが中心です。そのため、全社的なDX戦略を策定中でも取り組み始めることができます。
また、複数の部門が関わる販売管理業務でDXに取り組むことは、関連部門の業務効率化や生産性向上も同時に進めることができ、経営分析結果を活用してDX戦略を牽引していくこともできます。
特に2022年度は、受発注業務のDXサービス導入にIT導入補助金を活用しやすくなっており、コスト負担のリスクを抑えながら始められる絶好のチャンスです。
社会のデジタル変化の波に取り残され、市場競争に遅れを取らないためにも、適切なDXサービスの導入で効率的な販売管理を実現させましょう!
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