導入事例
名鉄グループ
その基盤システムとして奉行V ERPシリーズを導入した
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 従業員数
- 33,186名
- 売上高
- 6,200億4,600万円
厳しい経営環境が長引く中、「グループ経営改革の推進」を中期経営計画に掲げ、グループが一体となった経営体制のさらなる強化に力を注いでいる。そして、グループ全体の効率化実現に向けた、重要な取り組みのひとつとして進めているのが「人事給与シェアードサービス」である。
同グループ全体の人事給与シェアードを推進・けん引する部門として、名古屋鉄道株式会社 人事部にシェアードセンターを設立。基盤システムのひとつに「奉行V ERPシリーズ」を採用し、サービスをスタートした。
課題と効果
- 課題
- 幅広い規模・業種のグループ企業へ提供できる人事給与シェアードサービスの構築。
- 人事給与業務に関する専門知識を持った人材を、グループ各社で確保・育成するには、労力的負担やコスト的負担がかかるため非効率であった。
- 各社バラバラのシステムを採用しているため、法改正等への適切な対応に不安があり、グループ統制が取れていなかった。
- 効果
- 幅広い規模に適合できる標準機能とアドオン開発可能な柔軟性により、グループ企業に向けた人事給与シェアードサービスの構築が可能に。
- 統一システムの運用を通じて、グループ企業間で専門知識の共有がはかれるようになった。人材の確保・育成への負担軽減につながり、グループ各社が本業に専念できるようになった。
- システムの統一により、グループ企業内での法改正への適正な対応が可能となった。
導入前の課題
グループ各社のシステムを統合し、管理・維持コストの削減・人材育成の効率化を図る
近年、法改正や内部統制への対応、環境の変化へのスピードある対応などを目的に、再度「グループ効率化」への取り組みが加速している。名鉄グループにおいても、経理部門では既に6年前よりシェアードサービスを構築し、連結決算の早期化・効率化への取り組みを行ってきた。
シェアードサービスによりグループ内のシステムを統一することはメリットも大きい。例えば、法改正などへの対応を、システムの設定や操作方法という実務言語で共通化することができるため、専門知識を持つ人材の育成や確保への負担を軽減することができる。また、それにより、本来グループ各社が担うべき本業へエネルギーを集中してもらうことができる。
同グループが新たに人事給与シェアードを構築することとなったきっかけについて、名古屋鉄道株式会社 人事部 給与シェアード担当課長の岡田氏はこう振り返る。
「当社グループには、大きい会社から小さい会社、様々な規模の企業があります。人事給与については法的な知識が必要となりますが、専門知識を持つ人材を各社で確保、育成するのが難しいという課題がありました。また、業務を支援するシステムについても各社で全く異なるという状況でした。そのような中で、内部統制への意識の高まりもあり、グループ統制として人事給与シェアードによる標準化・共通化をやるべきではないかという議論が内部から起こりました。」
さらなるグループ効率化を目指す同社では、いわば、必然的な流れの中、人事給与シェアードサービスの構築を進めることとなった。そして、グループ各社に提供するサービスの基盤システムのひとつとして採用されたのが「奉行V ERPシリーズ」であった。
選定ポイント
小規模から大規模まで、幅広い企業層に適合できるシステムを選定
名古屋鉄道株式会社
人事部
給与シェアード担当課長岡田 典夫 氏現・株式会社名鉄
マネジメントサービス名古屋鉄道株式会社
人事部
課長谷口 浩一 氏現・株式会社名鉄
マネジメントサービス
株式会社メイテツコム
事業統括本部
ITソリューション部
マネージャー福田 豊久 氏株式会社メイテツコム
事業統括本部
ITソリューション部
リーダー野田 倫己 氏
奉行V ERPシリーズの選定理由について、岡田氏は次のように振り返る。
「当社の場合、グループ各社の企業規模は、従業員数で言えば、200名規模の企業を中心に、下は50名から上は4000名以上と、非常に幅がある構成となっています。さらに、業種も非常に多様であるといった特徴があります。こういった特徴を持つ中で、グループ統一で運用できるシステムを選定する必要がありました。
システムの選定にあたっては5社を比較検討しましたが、正直なところ機能としては目立った大きな差はありませんでした。しかし、自社の特徴に適合するシステムを客観的に判断するものはなんだろうと考えたとき、奉行シリーズは非常に市場シェアが大きく、その市場シェアこそが、幅広い業種・規模の企業でも活用できるということの実証であると感じました。また、全国に拠点をもっておりサポート力が優れている点が他社と比べても大きな安心感がありました。」
同社には既に大規模企業向けのERPパッケージが導入されていた。当初は、この大規模ERPパッケージをシェアードシステムとして運用することを検討したが、グループ全体への導入を前提とした場合に、導入・運用コストが見合わなかった。さらに、機能が豊富な分、パラメーター設定が複雑であるという問題もあった。パラメーター設計に詳しい専門人員を育成しなければならないという、新たな問題までも発生してしまうことになる。
「大規模パッケージでは機能が過剰である場合、奉行V ERPシリーズを選択できるというように、企業規模やニーズに応じて採用するシステムを選択できるよう、システムのすみ分けができることも選定の上では重要なポイントでした。」と岡田氏は語る。
そしてここにも奉行V ERPシリーズの強みがある。
奉行V ERPシリーズは、給与・賞与計算から年末調整、社会保険・雇用保険処理などの標準機能の網羅性はもちろん、項目数の拡張機能や自動データ連携機能など、グループ運用で重要となる機能を搭載。さらに、計算式設定や帳票集計の柔軟さも備えている。
また、セキュリティ機能やログ管理機能など、内部統制に対応した機能も搭載。そして、これらの機能性をシンプルで親しみやすい操作性で提供しているのが特徴である。
同グループがシェアードサービスとして提供するシステムは、機能性を備えつつ、よりシンプルなものである必要があった。そういう点からも、奉行V ERPシリーズは機能的に合致したシステムであったと言える。
また、奉行V ERPシリーズの成長性についても、岡田氏は次のように評価する。
「奉行V ERPシリーズが新たに中堅規模をターゲットとした機能を搭載し、幅広い企業層に適合できる製品としてまだまだ成長途上であるという点が、今後、グループ企業を同一システムで運用していきたいという当社の将来的な展望と一致したのも大きかったですね。」
導入工程を標準化することで、短期導入を実現
また、名古屋鉄道の情報システム部門を担う、株式会社メイテツコム様にも、グループ各社にシェアードシステムの導入を行う立場から奉行V ERPシリーズ採用の経緯を伺った。ITソリューション部 マネージャーである福田氏は次のように語る。
「当グループは、業種も様々ですし、運輸業特有の多様な給与手当も発生しますので、各社の給与計算をパッケージにどのように反映させていけるかという点は当初から課題と感じていました。奉行V ERPシリーズは、パッケージに無い機能をアドオン開発していける柔軟さがありますので、そういった課題も解決できるのではないかと考えました。」
グループ全体のシェアードサービスを推進する場合、各社の業務内容が多岐にわたるため、統一システムを導入することの難しさがある。しかし、同社では、導入前における要件整理や機能差異の洗い出しも、ツールの活用により標準化したことで、アドオン開発を最小限に抑えるための運用提案が可能となった。導入企業とのスムーズなやりとりができるため、システムの移行から本稼働まで、最短で3カ月という、驚くべき短期導入を実現している。
ITソリューション部 リーダーの野田氏は、「システムの保守を行う立場としては、導入企業に安心していただける環境を作っていく必要があります。現在は導入前・導入後のプロセスを標準化することで、品質良く保守できる体質を作っています。」と語る。
グループ企業への効率的な導入について、福田氏は次のように述べる。
「利用者が奉行パッケージを意識せずに導入できるよう、導入プロセスには工夫をしてきました。標準化した設定シートを使って社内規則を整理、システム化作業を細分化し、導入企業・名古屋鉄道の人事部・システム会社の3社で作業の役割を明確にしていくことでスムーズにシステム導入が出来るよう取り組んできました。」

- 給与計算システム、人事管理システムをサービスとして提供
- 経理シェアードシステムとのデータ連携や退職給付引当金計算など一部アドオン開発を加えることで、グループ企業に合わせたサービスの提供が可能に
- セキュリティ機能やログ管理機能により、内部統制対応を実現
導入効果と今後の展望
グループ全体の効率化を目指し、人事給与シェアードサービスをさらに加速させる
現在、名古屋鉄道様では、人事給与シェアードを立ち上げて2年目となるが、16社8600名と順調に導入企業数を増やしてきた。今後、2014年までに68社20000名の導入を目指す。
シェアードサービスを導入した企業間では、情報共有による業務の標準化と、担当の負担軽減が進められている。シェアードシステムの運用を支援する名古屋鉄道 人事部の谷口氏は、シェアードサービスによる効果について次のように語る。
「給与業務上の情報は、操作・運用マニュアルだけではなく法改正や年次のイベントの対応方法をグループの電子掲示板などを活用して、各社に周知しています。システムが統一されたことで、グループ各社の担当が、同じシステム、同じ画面を見ていますので、各社とスムーズに意思疎通を図れるようになりました。また法改正対応のための共通部分の設定を、シェアードサービスセンターで管理することによって各社の負担が軽減されているのではと感じています。」
また、岡田氏もその効果を次のように評価する。
「法改正の際に、適正なプログラム対応ができているか、また、それが改正に間に合っているのかは、非常に危うい状態でしたので、システムを統一することで、改正対応が担保できるようになり、不安を払拭することができています。今はまだまだ導入企業数が少ないですが、ひとつの土壌ができましたので、これからは、法改正などを同じ土俵上で同じ言語で話をすれば、同じように理解をしてもらえる、同じように動けるようになります。こういった標準化による意思疎通のスピード化が、グループ全体の底上げとなるのではないかと感じています。」
シェアードサービスの導入を加速するためには、まだまだシステム改善の余地も多い。シェアードサービスを継続的に提供・拡大していくためには、システムの機能性はもちろん、サービス提供の在り方も成長させていく必要があると語る。奉行シリーズの成長性にも大いに期待がかかる。
シェアードとは、様々な業種業態・規模の企業をまとめ、全体効率化を図る作業である。同社では、単にシステムの統一による運用の効率化だけではなく、シェアードサービスを通して、様々ある企業個社間のITレベルの向上や情報共有、知識共有を行う中で、グループ一体となった企業力の向上を見据えている。
最後に名古屋鉄道株式会社 常務取締役人事部部長(※)の横井氏に今後の展望をお話いただいた。
「当グループは、様々な業種の集団で、各社の制度や業務のやり方はバラバラとなっています。システムを統一する上で、整理すべきところは整理し、それをなるべくシンプルにやっていかなければならない。シェアードを進める側は、業務の重要性・必要性を見極め、標準化・効率化を考えていく必要があります。本格的なシェアードサービスの推進は、本当にこれからだろうと思っております。シェアードを通じて業務を広く汎用化させていくことが、業務改革のみそであると考えていますから、グループ全体のシェアード化を今後もスピード感を持って進めていきたい。今後も奉行シリーズには最大限の協力をいただかなければなりません。」(※ 2010年5月取材当時)
2010年7月1日、名古屋鉄道 人事部における人事給与シェアードサービス担当部門は、株式会社名鉄マネジメントサービスに移管され、シェアードサービス業務が完全分業化されることとなった。業務標準化や制度整備を進め、グループ企業間の連携と効率性を追求する部門として専業化体制が整った同社。
グループ効率化のさらなる実現に向け、益々本格的なシェアード展開を開始している。
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- 給与奉行V ERP
- 法定調書奉行V ERP
- 人事奉行V ERP
- 項目拡張オプション for 給与奉行V ERP
- 自動実行管理 for 奉行V ERP
- OBC Management Studio
- BACKUP奉行V
会社概要
- 会社名
- 名古屋鉄道株式会社
- 所在地
- 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目2番4号
- 設立
- 大正10年6月13日
- 資本金
- 841億8,552万円(平成22年3月末日現在)
- 従業員数
- 5,155名
- 事業内容
- 鉄軌道事業、開発事業
- グループ会社
- 連結子会社141社、持分法適用会社17社 計158社(平成22年3月末日現在)
- グループ従業員数
- 33,186名
- グループ売上高
- 6,200億4,600万円(平成22年3月期)
- URL
- http://www.meitetsu.co.jp/
株式会社メイテツコム
http://www.meitetsucom.co.jp/