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給与支払報告書とは?
書き方や提出期限などの注意点を解説

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給与支払報告書は、従業員を雇用する企業が毎年1月末日までに作成・提出しなければならない書類です。給与支払報告書の目的や書き方、提出方法、提出期限などについて知っておきましょう。

本記事では、給与支払報告書の書き方のポイントや、提出時の注意点、簡単に書類を作成する方法などを解説します。給与支払報告書を作成する際の参考にしてください。

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目次

給与支払報告書とは、従業員の給与等の額を市区町村に報告する書類のこと

給与支払報告書は、従業員の住民税を算出するために、従業員が居住する市区町村宛に企業が提出する書類です。1~12月に支払った給与額や社会保険料額、各種控除額などが明記されています。提出先は、翌年1月1日時点で従業員が居住しているそれぞれの市区町村です。

各市区町村は、企業から提出された給与支払報告書の内容をもとに住民税額の計算を行い、5~6月に企業に対して従業員の住民税を通知します。企業はそれをもとに、6月分の給与から翌年5月分までの給与で徴収する住民税額を確認し、給与に反映します。

給与支払報告書の対象者

企業が給与支払報告書を作成する対象者は、前年の1月1日~12月31日に企業が給与を支払ったすべての従業員です。正社員や契約社員、アルバイトなどの雇用形態や給与の額、役職などは問いません。

なお、派遣社員については、雇用しているのが派遣先ではなく派遣元のため、派遣元が給与支払報告書を提出することになります。派遣先の企業が提出する必要はありません。

給与支払報告書の提出書類は2種類ある

給与支払報告書を提出する際には、「給与支払報告書(個人別明細書)」と「給与支払報告書(総括表)」の2種類を用意しなければいけません。

給与支払報告書(個人別明細書)は、従業員の氏名や住所、給与額、控除額といった情報を記載した書類で、源泉徴収票と同様の内容です。
給与支払報告書(総括表)は、給与支払報告書(個人別明細書)の内訳などを記載する用紙です。給与支払報告書(個人別明細書)の上に給与支払報告書(総括表)を重ねて提出しましょう。

給与支払報告書が不要なケース

前年中に退職した従業員のうち、1年間に支払った給与などの総額が30万円以下の従業員は、給与支払報告書を提出しなくていい場合があります。

ただし、退職者の給与支払報告書の扱いは、各自治体によって異なります。給与などの総額が30万円以下でも提出を求める自治体もあるため、個別に確認しましょう。

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給与支払報告書と源泉徴収票の違い

給与支払報告書と源泉徴収票は、従業員を雇用する企業が年末調整後に作成する書類です。どちらも従業員の給与支払額や控除額といった内容が記載されており、記載内容は基本的に同一です。ただし、作成する目的や提出先は異なります。

給与支払報告書は、前述のとおり市区町村に送付して住民税の計算に使用するものです。一方の源泉徴収票は、給与の支給額や源泉徴収した税額、控除額などを知らせるための書類で、従業員本人と税務署に提出します。
なお、源泉徴収票は年末調整の後以外にも、従業員の退職時など必要なタイミングで発行する必要があります。

給与支払報告書の書き方

給与支払報告書は、項目ごとに記載事項を正しく記入する必要があります。給与支払報告書を提出する際に必要な書類は、前述のとおり給与支払報告書(個人別明細書)と給与支払報告書(総括表)です。それぞれの書き方のポイントをご紹介します。

給与支払報告書(個人別明細書)の書き方のポイント

給与支払報告書(個人別明細書)は源泉徴収票と同一の内容で、源泉徴収票との複写式になっています。給与支払報告書(個人別明細書)の書式と書き方のポイントは下記のとおりです。

■給与支払報告書(個人別明細書)の書式■給与支払報告書(個人別明細書)の書式

出典:総務省 PDF「給与支払報告書

■給与支払報告書(個人別明細書)の書き方のポイント

記載欄 記載事項
支払を受ける者 従業員の1月1日時点の住所、マイナンバー、氏名など
種別 「給料」や「給料・賞与」など、支払いの内容
支払金額 非課税通勤費を含まない、前年1月から12月までに支払った金額の合計額
給与所得控除後の金額 支払金額から給与所得控除を差し引いた後の金額
所得控除の額の合計額 給与所得控除後の金額から控除する社会保険料控除や生命保険料控除といった所得控除の額の合計
源泉徴収税額 支払金額から源泉徴収した所得税額
(源泉)控除対象配偶者の有無等 控除対象配偶者がいる場合に記載
  • 有:控除対象配偶者がいる場合
  • 従有:従たる給与等において源泉控除対象配偶者がいる場合
  • 老人:配偶者が老人控除対象配偶者に該当する場合
配偶者(特別)控除の額 配偶者特別控除を利用した場合の控除額
控除対象扶養親族の数 所得税における控除対象扶養親族がいる場合の人数
  • 特定:特定扶養親族
  • 老人:老人扶養親族
  • その他:特定扶養親族や老人扶養親族以外の扶養親族
16歳未満扶養親族の数 16歳未満の扶養親族がいる場合の人数
障害者の数
  • 特別:右側に扶養している特別障害者の数、左側にそのうち同居している人数
  • その他:特別障害者に該当しない障害者の人数
非居住者である親族の人数 扶養している親族や配偶者、配偶者特別控除の対象になる配偶者などのうち、非居住者の人数
社会保険料等の金額 給与から差し引いた社会保険料の金額と小規模企業共済等掛金の合計額
住宅借入金等特別控除の額の内訳
  • 住宅借入金等特別控除適用数:住宅借入金等特別控除が適用される数
  • 住宅借入金等特別控除可能額:年末調整で控除しきれなかった控除額(該当する場合のみ)
  • 居住開始年月日:該当の住宅に住み始めた年月日
  • 住宅借入金等特別控除区分:年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書に記載された控除区分
  • 住宅借入金等年末残高:該当の住宅を購入するための住宅ローンの年末残高
旧長期損害保険料の金額 地震保険料のうち旧長期損害保険料の金額
基礎控除の額 基礎控除の額(対象外の場合は「0」と記載)
控除対象扶養親族、16歳未満の扶養親族 それぞれの扶養親族の氏名とマイナンバー、区分
<区分の記載方法>
  • 居住者:空欄
  • 非居住者(30歳未満または70歳以上):01
  • 非居住者(30歳以上70歳未満、留学生):02
  • 非居住者(30歳以上70歳未満、障害者):03
  • 非居住者(30歳以上70歳未満、38万円以上送金):04

統括表の書き方のポイント

給与支払報告書(総括表)は、各市区町村によって書式が異なる場合がありますが、記載内容は基本的に同一です。
給与支払報告書(総括表)の書式と書き方のポイントは下記のとおりです。

■統括表の書式■統括表の書式

出典:総務省 PDF「給与支払報告書

■統括表の書き方のポイント

記載欄 記載事項
指定番号 市区町村が指定した番号(わからない場合は未記入)
所得税の源泉徴収をしている事務所又は事業の名称 本社以外の支社で給与計算を行っている場合などに記載する(給与支払者の氏名又は名称と同一の場合は「同上」とする)
連絡者の氏名、所属課、係名及び電話番号 実務を行っている担当者の情報
関与税理士等の氏名及び電話番号 税理士に依頼している場合に情報を記載する
事業種目 業種(小売業、製造業、サービス業など)
受給者総人員 1月1日時点の全従業員の人数
報告人員 該当の市区町村に給与支払報告書を提出する人数
  • 特別徴収対象者:住民税を特別徴収する報告人員数
  • 普通徴収対象者(退職者):退職により住民税を普通徴収する報告人員数
  • 普通徴収対象者(退職者を除く):退職以外の理由で住民税を普通徴収する報告人員数
  • 報告人員の合計:上記の合計人数
給与の支払い方法及びその期日 給与の支払い方法と支払日(月給/毎月10日払いなど)

給与支払報告書に関する手続きの流れ

給与支払報告書に関する手続きは、下記のような流れで進めます。
なお、ここでは紙で給与支払報告書を提出する場合の方法について解説します。電子申告を行う場合は、後述する申請システムの案内に沿って手続きを行ってください。

<給与支払報告書の手続きの流れ>

  1. 給与支払報告書(総括表)の受領
  2. 年末調整の実施
  3. 給与支払報告書(個人別明細書)・給与支払報告書(総括表)の作成
  4. 市区町村へ提出

例年12月になると、住民税の特別徴収を行っている企業に対して、各市区町村から給与支払報告書(総括表)が送付されます。ただし、給与支払報告書(総括表)は前年の実績にもとづいて送られるため、これまで報告人員がいなかった地域に住む従業員を新たに雇用した場合は、役所に連絡して給与支払報告書(総括表)の送付を依頼しましょう。

並行して年末調整を行い、従業員の収入や控除の額を確定します。その後、源泉徴収票と給与支払報告書を作成してください。給与支払報告書を提出先の市区町村別に分類して内訳を給与支払報告書(総括表)に記入したら、各市区町村宛に提出して手続きが完了します。

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給与支払報告書の提出における注意点

給与支払報告書の提出を行う際は、漏れや抜けがないように計画的に業務を進めることが大切です。下記の点に注意して給与支払報告書を提出しましょう。

給与支払報告書の提出期限を厳守する

給与支払報告書は、毎年1月31日までに市区町村に提出しなければいけません。31日が土日祝日に重なった場合は、翌平日が期限です。提出期限日に必着のため、郵送にかかる時間も踏まえ、余裕を持って提出する必要があります。

提出方法は「書面(郵送または窓口へ持参)」「光ディスク等による提出」「電子申告(eLTAX)による提出」の3種類です。
ただし、前々年に税務署に提出した源泉徴収票が100枚以上の企業は、書面での提出ができません。光ディスク等または電子申告で提出する必要があります。

給与支払報告書が未提出の場合、罰せられる可能性がある

給与支払報告書の提出は、地方税法の「給与支払報告書等の提出義務」で定められた企業の義務です。提出を怠った場合や虚偽の申告を行った場合は、事務担当者や法人に対して1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

システムを活用して給与支払報告書をスムーズに提出しよう

給与支払報告書の提出は従業員を雇用する企業の義務のため、期日までに必ず対応しなければなりません。とはいえ、従業員の人数によっては手作業ですべての従業員の給与支払報告書の作成を行うのは困難といえます。年末調整や源泉徴収票、給与支払報告書の発行を自動で行える給与計算ソフトの活用も検討しましょう。

OBCの「給与奉行クラウド 」なら、年末調整の申告書類に記載された保険料や扶養親族などの情報を入力するだけで、年税額や過不足税額を自動計算できます。源泉徴収票、給与支払報告書(個人別明細書)・給与支払報告書(総括表)も自動で作成できるため、年末調整や給与支払報告書の提出をスムーズに進められます。
さらに、年末調整の申告書の配付や回収を自動化できる「奉行Edge 年末調整申告書クラウド 」を併せて利用することで、従業員から申告書の情報をデータで収集し、給与奉行クラウドに自動連携させることが可能です。さらに、「法定調書奉行クラウド」を利用すれば、e-Tax、eLTAXと直接連携して電子申告でき、社内にいながら申告まで完了できます。年末調整業務の効率化に、ぜひご活用ください。

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よくある質問

給与支払報告書とは何ですか?
給与支払報告書とは、従業員に支払った給与額を市区町村に知らせるために提出する書類です。各市区町村は、企業から提出された給与支払報告書をもとに、従業員の住民税額を計算します。計算された住民税額は5~6月に企業宛に通知され、6月分の給与から翌年5月分までの給与で徴収されます。
給与支払報告書の提出期限はいつ?
給与支払報告書の提出期限は、毎年1月31日です。31日が土日祝日に重なった場合は翌平日が期限となります。
給与支払報告書の提出先は、翌年1月1日時点で従業員が居住している市区町村です。郵送の場合は期限日が必着のため、遅れないように注意しましょう。
給与支払報告書の提出方法は?
給与支払報告書の提出は、郵送、光ディスク等による提出、電子申告(eLTAX)が可能です。ただし、前々年に税務署に提出した源泉徴収票の枚数が100枚を超える事業者は、電子申告または光ディスクによる提出が義務付けられており、郵送での提出はできません。
石割 由紀人

■監修者
石割 由紀人

公認会計士・税理士、資本政策コンサルタント。PwC監査法人・税理士法人にて監査、株式上場支援、税務業務に従事し、外資系通信スタートアップのCFOや、大手ベンチャーキャピタルの会社役員などを経て、スタートアップ支援に特化した「Gemstone税理士法人」を設立し、運営している。

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