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どうなる?2021年度IT導入補助金の補助率・補助額|「特別枠」は「低感染リスク型ビジネス枠」に再編!

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業務効率化や生産性向上を実現させるためには、今やITツールは欠かせない存在です。しかし、導入するとなると、「コストの捻出」という課題に直面し挫折するケースもしばしば見られます。
そんな中、初期投資の負担を大きく減らすことができると年々注目度が高まっているのが、「IT導入補助金」です。2020年度には、新型コロナウイルス対策として「特別枠」が設けられ、多くの企業が活用しました。
そして、IT導入補助金の2021年度の募集もいよいよスタートします。
今回は、新型コロナウイルスの猛威が収まらない中、IT導入補助金でどんなサポートが受けられるのか、2021年度の枠組みについて解説します。

目次

IT導入補助金とは

「IT導入補助金」とは、中小企業がソフトウェアやサービスなどのITツールを導入する際、その費用の一部を国が補助する制度のことをいいます。
働き方改革や被雇用者保険の適用拡大、電子申請・電子申告の普及、インボイス制度など、ここ数年で変更された制度は数多あります。こうした制度変更等に対応し、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図るためには、もはやITツールの導入は欠かせません。そこで、自社の強み・弱みを分析し、業務プロセスの改善と効率化のための方策としてITツールを導入する企業を国が支援する、というものです。
制度としての歴史は浅いものの、政府が重視している取り組みの一つでもあり、平成30年度で100億円、令和元年度で180億円、令和2年度には「生産性革命推進事業」の一環として「ものづくり補助金」などと合わせて700億円が計上されるなど、毎年大きな予算が設けられています。

IT導入補助金は、予算消化型であるため、これまでも申請が早いほど採択される割合が高くなる傾向にあります。過去3年以内に類似する補助金を受けている企業には、減点措置も講じられており、IT関連の補助金を利用したことのない企業に有利な補助金となっています。
また、補助金の交付が決まってからITツールを導入する流れになっているため、申請自体に一切のリスクがないのも特徴です。もし採択されなかった場合はITツールを購入しないという選択もできるので、予定外のコストがかかる心配もありません。

補助される事業にはいくつかの類型があり、類型によっては導入費用の1/2、1社あたり最大450万円を補助額として受け取ることができます。これは、仮に900万円の補助対象ツールを導入しようとする場合なら、半額の450万円で購入することができるという計算になります。

IT導入補助金の補助額の図

(注1)通常枠B類型の場合

2020年には、「通常枠」と言われるA類型・B類型に加え、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワーク環境整備などの前向きな投資を支援することを目的とする「特別枠」が設けられました。 2021年では、この特別枠の要件が見直し・再定義され、より新型コロナウイルス対策事業としての申請事由が明確になっています。

 

補助金の対象企業 〜日本企業の9割以上が対象です!

IT導入補助金の対象となる企業は、類型を問わず、原則として次のような国内の中小企業・小規模事業者となっています。

<中小企業>

(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)

中小企業

<小規模事業者>

小規模事業者

出典:IT導入補助金2021「事業概要」

日本の企業のほとんどは中小企業であることから考えると、国内の9割以上の企業が対象になります。(交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であることが前提です)
ただし、次のいずれかに該当する場合は補助金の対象外となります。

  1. ① 発行済株式の総数または出資価格の総額の1/2以上を同一の大企業が所有している。
  2. ② 発行済株式の総数または出資価格の総額の2/3以上を大企業が所有している。
  3. ③ 大企業の役員または職員が、役員として役員総数の1/2以上を占めている。
  4. ④ 発行済株式の総数または出資価格の総額を①〜③に該当する中小企業・小規模事業者が所有している。
  5. ⑤ 全役員が、①〜③に該当する中小企業・小規模事業者の役員または職員を兼ねている。
  6. ⑥ 確定している(申告済みの)直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えている。

補助金の類型と補助率・補助額、補助対象となるITツール

類型は、A類型からD類型まで4種類(C類型はさらに2種類)あります。中でも「低感染リスク型ビジネス枠」は、2020年度に新設された「特別枠」を再定義したもので、C類型(低感染リスク型ビジネス枠類)とD類型(テレワーク対応枠類)に分類されています。

各類型における補助額の上限・下限、補助率、対象となる経費、ツールの要件は次のようになっています。

いずれの類型においても、ソフトウエアの購入費用だけでなく、機能拡張となるオプション製品や保守サービス、導入にあたっての指導・研修など役務にかかる費用が補助対象となります。
ただし、C類型・D類型は、オフィス外で業務を行うテレワークなどへの転換や、対人接触機会を減らす(業務形態の非対面化)など、「業務の非対面化」で生産性向上を狙う“非対面化ツール”であることが必須となることから、A類型・B類型と共通の補助対象に加え、連携型ソフトウェアの購入費や、PC、タブレットなどハードウェアのレンタル費用も補助対象に含まれます。
※ 幅広く業務をカバーするものではなく単一の処理しかできないソフトウェアや、既に購入済みのソフトウェアに対するライセンスの追加購入、大幅なカスタマイズが必要なもの、ハードウェアの購入費などは対象外です。

2020年度との違いは、「特別枠」が「低感染リスク型ビジネス枠」に再定義されたことで、「サプライチェーンの毀損への対応」枠がなくなった点と、テレワーク対応への転換に対する補助率が3/4から2/3に、上限金額も450万円から150万円に引き下げられた点になります。(A類型・B類型には2020年からの変更はありません)

交付を受けるITツールは、事前に事務局に登録されているITツールの中から自社に合ったものをIT導入支援事業者に相談して選びます。その際、次のプロセスのうち類型ごとに数種類以上を含んでいることが求められています。

<申請するソフトウェアに求められる保有プロセス数>

  1. A類型:1種類以上
  2. B類型:4種類以上
  3. C類型:2種類以上
  4. D類型:2種類以上

また、B類型、C-2類型で申請する際には、次の要件をすべて満たす3年間の事業計画を策定し、申請前に従業員に表明していること(賃上げ目標)も必須となっています。

  1. 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
    ※国民年金法改正により、短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件が、2022年に101人以上、2024年に51人以上と段階的に引き下げられます。この制度改正に先駆けて、「被用者保険の適用拡大」の対象企業が任意適用に取り組む場合は、年率平均1.0以上増加が要件となります。
  2. 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上の水準にする

(1)は事業計画終了時、(2)は事業計画中の毎年3月の時点で、上記の目標が未達の場合、補助金の全額あるいは一部の返還を求められますので、注意が必要です。
IT導入補助金の活用を検討する際は、自社の目的がどの類型に相当し、どの要件を満たす必要があるかをしっかり確認しておきましょう。

政府が運営するホームページ「IT導入補助金2021」には、この補助金を活用したことで、サービスの品質向上や業務効率化、営業利益率向上などの様々な事例が掲載されています。こうした事例を参考にしつつ、IT導入補助金を自社のどのような業務課題に活用できるか、IT導入支援事業者に前もって相談するとよいでしょう。

 

IT導入補助金の採択率アップを狙うなら加点項目にも注目!

審査においては、事業面からの審査に加え、加点項目の審査もあります。年々人気が高まっているIT導入補助金の採択率を上げるためには、加点項目を最大限活用することが鍵となるでしょう。

加点対象となる取り組みには、次の5つがあります。

(1)地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること

地域未来投資促進法とは、地域の特性を活用して経済的波及効果を生み出す「地域経済牽引事業」を促進する法律です。地方公共団体が策定した基本計画に基づき、事業者が策定する地域経済牽引事業計画を、都道府県が承認している場合、審査の加点となります。ただし、補助金の公募開始日が当計画の実施期間内であるものに限ります。なお、申請にあたっての申告は不要です。

(2)地域未来牽引企業

経済産業省が、地域未来投資促進法における地域経済牽引事業の担い手の候補として選定している「地域未来牽引企業」は、「地域未来牽引企業」としての目標を経済産業省に提出していることで、加点ポイントになります。「地域未来牽引企業」の選定は、2017年、2018年、2020年の3回行われ、すでに4,700社あまりの企業が選定されています。
なお、補助金の申請にあたっての申告は不要です。

(3)ITツール導入にクラウド製品を選定していること

2018年に各府省庁情報化統括責任者(CIO)連絡会議で決定された「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」のクラウド・バイ・デフォルト原則に基づき、クラウドツールの導入を促しています。そのため、クラウドサービスやクラウドシステムなどを導入すると、加点されます。また、テレワークへのシフトを目的としたクラウド型のITツールであれば、さらなる加点も期待できます。

(4)ITツール導入にインボイス制度対応製品を選定していること

インボイスに対応するITツールを選定することも加点ポイントの1つです。インボイス制度は2023年に導入予定となっており、会計システムや販売管理システムなどのインボイス制度対応ITツールを導入すると、加点対象になります。

(5)事業計画を策定し従業員に表明していること(賃上げ目標)

B類型・C-1類型では必須要件になっている「賃上げ目標」は、その他の類型においては、そのまま加点要件となります。

ここで注目しておきたいのは、加点要件(3)・(4)です。
市場には、すでに様々なクラウドサービスが提供されており、多くの企業でバックオフィス業務のクラウド化が進んでいます。新型コロナウイルス対策として在宅勤務やテレワークを導入している企業、または導入する予定の企業はもちろん、まだ自社サーバ管理の企業がクラウド移行する場合も、クラウドサービスの導入を進めやすくなります。
また、IT導入補助金の使い道を会計システムや販売管理システムで検討されている場合なら、2023年に導入が予定されているインボイス制度にも対応するクラウドサービスを選べば、さらに上記(4)の加点要件もクリアすることができます。
※インボイス制度については、コラム「インボイス制度とは〜適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響〜」を参照ください。

申請スケジュールと導入のステップ

2021年度のIT補助金の交付申請と事業実施期間は、以下の通りです。

公募の締切日は複数回設定され、締切日までに受け付けた申請で審査し、交付決定がされます。交付決定を受けることができるのは原則1回ですが、不採択になったり交付決定後に申請の取り下げを行ったりした場合は、次回以降の締切日までに再度申請することができます。
また、申請にはIT導入支援事業者の協力が必要です。IT導入支援事業者との商談で導入するITツールを決定した後、交付申請の事業計画を策定し、IT導入支援事業者との共同作成で申請する方法がとられます。
申請の手続きは、IT導入支援事業者が中心となって行いますが、次のように中小企業・小規模事業者も行う事項があります。
申請は「gBizID」ホームページからのみ受け付けられるので、事前に「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要ですので、申請手続きの前に取得しておきましょう。

<交付申請の手順>

  1. IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
  2. 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
  3. IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
  4. 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。

IT導入補助金2021ホームページより抜粋

交付申請が終わり、事務局から「交付決定」を受けた後に、にITツールの発注・契約、納品、支払いなどを行うことができます。
補助金を受け取るには、実際にITツールの発注・契約、納品、支払いなどを行ったことが分かる証憑(事業実績報告)を提出します。事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、補助金が交付されます。補助金額については、交付前に『申請マイページ』で確認することができます。
ただし、交付決定の連絡が届く前に発注・契約・支払いなどを行った場合は、補助金の交付を受けることができないので、注意が必要です。
補助金が交付された後も「事業実施効果報告」の提出が必要ですが、これは IT導入支援事業者が「IT事業者ポータル」から代理提出することになっています。

 

おわりに

テレワークや遠隔での操作に対応するクラウドサービスは、今や企業規模にかかわらず注目を集めているITツールです。生産性向上を狙う企業はもちろん、新型コロナウイルスの影響を多分に受けている企業も、IT導入補助金は大いに役立つはずです。 早めに補助金の活用を検討して、IT導入支援事業者に相談しながら準備を進めましょう!

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