ここ数年、働き方改革や生産性向上が話題となっている中で、販売管理システムを導入していても、取引のスタートとなる受発注業務は未だにアナログ対応…という企業は少なくありません。特にコロナ禍においては、「受発注業務のためにテレワークができない」という声も多く聞かれました。
業務のデジタル化が進められる中、受発注業務をデジタル化することはできないのでしょうか?
今回は、アナログな対応が生み出す受発注業務の課題を整理し、どのようにすれば効率化できるかご紹介しましょう。
目次
受発注業務の効率化を阻む4つの弊害
受発注業務から手作業をなくす「企業間の電子取引」とは
おわりに
受発注業務の効率化を阻む4つの弊害
受発注業務には、発注書や納品書などの帳票作成、受領した注文データの管理、納期回答など、様々な作業があります。こうした書類で取り交わす情報を管理するために、多くの企業では販売管理システムが導入されていますが、なぜか業務のスタート地点である「情報の交換」は電話やFAXなど、アナログな対応をしている企業も多く見られます。
こうした業務の進め方は、次のような課題も生じさせます。
① 受付時の対応時間が長くなる
例えば、FAXで受注業務を行っていると、「何を書いているかわからない」「印字が擦れて読めない」「紙詰まりで届かなかった」などのトラブルがしばしば発生しがちです。書かれている文字が読みづらいと電話確認などの手間も増え、それを怠ると納品ミスにもつながりかねません。
また電話で受ける場合も、1件5分程度対応したとしても1日に受注する件数分だけ時間はかかってしまいます。ひっきりなしに受注を受け付けている企業では、担当者が長時間拘束されることになります。
発注時も、注文書が紙や電話で受付となっていると、注文書を手書きしたり電話をかけたりしなければなりません。発注するだけでもそうした手作業の時間が発生することになります。
② 人的ミスの不安がつきまとう
FAXや電話で受注すると、取引情報はいったんExcelデータにして情報を整理するか、直接販売管理システムに入力する作業を行います。その際、打ち損じなどの転記ミスや読み間違いなどでの入力ミスが生じることもあるため、人的ミスを防ぐためには入力後のチェックも入念に行わなければなりません。
自社が発注する際も、FAX注文用紙への記入時には慎重になります。商品番号や商品名、発注数を間違えると、大きな損害や返送・再発注などのトラブルが起こる可能性があるからです。
このように、手作業が生じることで起こるミスをなるべく防ぐためには、受注側・発注側ともに配慮が必要になります。
③ 慢性的に人手不足が解消しない
電話やFAXで受けた注文内容は、担当者が取引内容をExcelや販売管理システムに手入力し、ミスがないようチェックする業務が発生します。FAXで受け取った注文書は、その都度ファイリングすることになりますが、紙で保管すると検索性が落ちるため、過去取引を参照するなどの場合は作業も手が止まることもあります。紙を使う方法は手作業が生じてしまうため、どうしても1人の担当者が1件に費やす時間が長くなります。
電話での対応でも、潤沢に受注を受けられるようにするにはオペレータ人員が複数必要になることが多く、慢性的に人材不足と言われる時代に人材を確保することは用意ではありません。
そのため、多くの企業で人手不足が解消されない状況が続いているようです。
④ 取引業務にかかるコストが嵩む
受注用に紙のフォームを使用する場合、専用の注文書の印刷代や取引先に届ける郵送代のほか、書式変更のたびに印刷・廃棄処理などの費用がかかります。受注情報の入力ミスによる誤配送や、受け取った注文書を誤って紛失・破棄してしまうトラブルなどの危険性も高まるため、それらを防ぐ対策費用も必要です。
また、発注側でも、注文書フォームをデータで受け取っていた場合も手書きが基本であれば、プリントする際の紙の費用、インク代などが発生します。1件1件は些細な額でも、積もり積もると大きな出費となる可能性が考えられます。
販売管理業務で一番手間のかかる受発注業務が手作業などアナログ対応になっていると、たとえ販売管理システムを導入していても受発注業務の効率化は実現できません。アナログ対応のために生じている問題を解決するためにも、受発注業務のあり方を見直す必要があるのです。
受発注業務から手作業をなくす「企業間の電子取引」とは
受発注業務を効率化するためには、そのスタート地点となる受発注で「紙や口頭で対応」することを止め、データでやり取りする仕組み、つまり「電子取引」の仕組みに切り替えることが必要になります。
しかし、発注書や請求書、納品書といった取引で使う書類は企業ごとにフォーマットが異なるため、「他社の作成した請求書データを自社の販売管理システムには読み込めない」「PDFデータで受け取っても、結局は手入力が発生するのでは?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今、市場では取引データを企業間で交換できる仕組み=web-EDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)に対応したクラウド型の販売管理システムが多く提供されています。 web-EDI対応の販売管理システムを使えば、取引先から届く発注書や注文書、請求書などは自社のシステムに直接送信され、自動的に読み込んで伝票化することができます。受発注の発生時点からデータでやり取りできるため、伝票の手入力や管理表に手作業で転記することがなくなります。もし、自社の販売管理システムが在庫確認や出荷管理にも対応しているなら、注文から納品までの業務を自動化できるので、オフィス外からでも滞りなく業務を遂行することが可能になります。
また、受発注データは文書データとして販売管理システムに蓄積できるので、履歴の検索や売上分析、昨年対比の経営状況などの分析も簡単に行えます。発注側・受注側双方に記録が残るため、より健全な取引ができるようになるでしょう。
ただし、これまでのweb-EDIは、フォーマットや通信手段、業務アプリケーションを取引先ごとに統一することが必要だったため、機能を有効活用できる企業はそう多くありませんでした。
そこで2016年度から中小企業庁事業としてスタートしたのが、企業間ごとに異なる環境下でもデータで受発注が行える「中小企業共通EDI」です。
「中小企業共通EDI」は、見積書や注文書、請求書などのデータを「共通標準EDIフォーマット」を用いて標準化する仕組みで、この仕様に準拠した販売管理システムであれば、取引先とデータでやり取りすることができるようになります。
最近市場で提供されているクラウド型の販売管理システムには、「中小企業共通EDI」の仕様に準拠しているものが多くあります。
例えば、商蔵奉行クラウドの場合、中小企業共通EDI準拠サービス「EcoChange」と連携することで、蔵奉行クラウドで処理した発注データや商奉行クラウドで処理した売上データを、各取引先へ注文情報、出荷情報としてデータ送信することができます。
この仕組みを活用すれば、電話、FAX、メールなど、従来のような人を介した受発注作業を割愛することができます。
また、クラウドでデータを管理するため自社でサーバを導入する必要もなく、いつでも、どこでも利用できます。データ項目のマッピング機能を標準で備えているため、取引先ごとにマッピングを一度行えば、商蔵奉行クラウドとすぐに連携が可能になります。
こうしたシステム機能を使えば、受発注業務でのペーパーレス化が実現し、飛躍的に効率化を進められるでしょう。
おわりに
自社の販売管理システムで受発注をデータでやり取りすることができれば、手作業の時間を削減することができ、大幅な業務改善やコスト削減に貢献できます。
もし、販売管理システムをすでに導入しているなら、自社のシステムが「中小企業共通EDI」に対応しているか確認してみましょう。「中小企業共通EDI」に対応しているにもかかわらず、管理業務の入り口となる受発注対応がアナログ作業になっているなら、せっかくあるシステムの機能を充分に活用し切れていない可能性があります。また、もし対応していない場合は、今後リプレイスの際には、「中小企業共通EDI」に対応していることを条件として加えておくと良いでしょう。
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