- 医療法人正和会
- 事業管理部次長
玉井 寛 氏
- 医療法人正和会
- 事業管理部総務経理課主任
柴田 俊太郎 氏
きっかけ
二重入力やチェックの負担とミスが多発
マンパワーの限界に直面
60年来、秋田県潟上市を拠点に、地元に根づいた医療を地元の方々に提供し続けている医療法人正和会は、現在5つの法人を包括するグループとして運営している。様々なニーズに応えるため、新たな施設を開設する頻度も高く、ここ十数年は毎年1施設以上新設、職員数・従業員数はグループ合わせて650名以上となっており、今後も施設が増え続ければ1,000名を超えることも考えられる。
成長し続ける同グループだが、規模が大きくなるにつれ、システムの問題が表面化してきた。それが給与奉行iとオリジナルの人事システムで起こっていた“連携ができないがゆえの問題”である。事業管理部次長 玉井寛氏はここ5、6年間の状況を次のように振り返る。
「給与計算は給与奉行iを、人事情報はオリジナルのシステムを使っており、それぞれのデータを連携させることができませんでした。そのために同じデータを2回入力しなければならず、手間に加えてミスも多く発生していました。給与計算は毎月処理を行うため、役職や資格情報などは更新されますが、人事システムへの入力は後回しになってしまい、人事考課時期になって給与と人事の情報に食い違いが出てくる事態が何度も起こっていたのです。そういった状態だったため資料制作も一苦労で、ある職員の過去と現在の賃金を比較した資料を出してくれと言われても、給与と人事のそれぞれからデータを引っ張り出し、計算して一から資料のためのデータを作成するという相当手間のかかる作業をしていました。給与は法人ごと、人事は通番で職員・従業員に番号を付番していたので、データを探すのにも時間がかかっていましたし、異動や出向があった際も管理が大変でした」
思い出したくないと付け加えるほど“混沌”としていた状況だったが、それでも何とか自分たちで対処しようとしたと玉井氏は続ける。
「これらの問題は人為的要因で起こる不具合であるとし、現状を打破しようと自分たちで解決を試みました。チェック体制をもっとしっかりしようとか、このタイミングで必ず全部の情報を更新しようとか。しかし、それでもミスは起こりますし、この作業だけに時間を割くわけにもいかず、その間にも職員・従業員数も増えていき、マンパワーでは限界となったわけです」
同時期、同社ではパソコンのOSを切り替えるタイミングを迎えており、オリジナルの人事システムでは新OS対応のために刷新が必要と言われており、かなりの金額も提示されていたため、OSが変わるたびに高額の経費がかかれば負担が大きいと判断し、この機会に人事システムの見直しも図ることとなった。
導入の決め手
データの移行も同期も容易に
OMSS LLSも選定の決め手に
給与・人事のシステムを見直すにあたり、選定の第一条件となったのが「同期がとれること」だった。二重で発生する入力やチェック作業で感じた教訓から、データの連携が可能で、尚且つ、今のデータを容易に移行できるという点も選定条件に加えた。ベンダーからはOBCを含め3社ほどの製品を提案されたが、最終的に上位版である給与奉行V ERPと人事奉行V ERPのGroup Management Editionを選択した。
「私たちの条件をすべて満たしてくれるのがOBCの製品でした。給与奉行iを使っていたので、データはそのまま移行できますし、データ移行後もすぐに作業可能です。人事のオリジナルシステムで作成したデータは、汎用データとして出力し、人事奉行の受入形式に加工すれば受入も簡単にできます。もちろん給与と人事が同シリーズで統一されれば、同期も問題ありません」(玉井氏)
当初、上位版のシステムは考えていなかったが、最終的には奉行V ERPのグループ版を選んだ。玉井氏は「将来を見据え、よりグループ運営に適したシステムを導入するに至った」と語る。
加えて、OMSS LLSも評価点のひとつだった。OMSS LLSとは、無償でバージョンアップを行うもので、常に最新のプログラムを使い続けることができるサービスだ。たとえOS変更や制度改正があっても、コストや更新漏れを気にすることなく新しいシステムを使い続けられるという特長がある。「OSや制度が変わるたびに新しいシステムに刷新するのは金銭的な負担が大きい。私たちはシステムを10年、20年で使わなくなるというわけではありません。今後何十年も先を見据えた運営を考えた時、長きに渡り問題なく使い続けられるシステムを選びたいと思ったのです。また、システムを開発する企業も重要でした。システムを提供する会社が突然なくなっては大変困ります。その点、OBCは多数の実績があり、信頼も厚い。正直、イニシャルコスト・ランニングコストは安くはありませんが、長く安心して使えることが重要であり、OBCの製品を選定した理由のひとつです。」(玉井氏)
導入効果
半日の作業が約1時間に短縮
入力や書類作成の手間もミスも大幅減
グループ間の異動や出向の管理も楽に
2014年夏に導入を決定し、15年6月から運用を開始。機能をきちんと理解し、疑問点を残さず操作をしっかり習得したいと、約10か月をかけて指導を受けた。
事業管理部総務経理課主任 柴田俊太郎氏は導入効果についてこう述べる。
「作業のスピードが格段に速くなりました。半日かかっていた作業が1時間に短縮された感覚です。帳票を出すのにも手間がなく、例えばグループとしての資料がほしい場合には、ボタンひとつで給与と人事の情報を合わせて出すことができます。今までは法人ごとに5回データを取り出してその都度すり合わせてという工程を踏んでおり、相当な時間と労力を費やしていましたが、データ連携により入力ミスや何度もチェックする手間が減りました。」
さらにグループ間でデータを管理できるようになったことも利点が大きいと柴田氏は続ける。
「5つの法人をバラバラに管理していましたが、グループで管理することでデータの受入も簡単になり、職員・従業員をグループ通番のユニークな番号で管理することで、細かい絞り込みが簡単に行え、データの検索や資料の作成が容易になりました。一方、行政機関などに提出する資料はグループ全体ではなく法人ごとという場面もあります。そういった場合にも慌てることなくこちらの希望通りの帳票を出せるので安心して作業することができます。出力したい帳票や作成したい資料は奉行VERPでほぼ完成します。行政機関に提出する書類は年々項目が細分化し、制度も複雑化しているので細かな設定ができることは大変助かります。また、グループでのデータ処理が整備されたことで、人事異動の管理も楽になりました」
導入効果のダイジェスト
- 給与・人事のシステムを奉行V ERPに統一し、データの連動(同期)が完了。1回の入力で両システムが更新できるようになり、大幅な作業時間の短縮と入力ミスの軽減が実現した。
- グループとしてユニークな番号を設定することで、データの閲覧や資料作成が容易になった。また、頻繁に行われるグループ間の異動や出向の際もデータの管理が楽になった。
- 無償バージョンアップ付年間保守サービスであるOMSS LLS(OBC membership Support & Service Long Lifecycle Support※)により、OS変更に対する経費面での不安が解消され、長きに渡って継続可能なシステムとして運用する体制が整った。
※OMSS LLSとは、常に新しい奉行シリーズを提供し、制度改正やITなどの環境変化への継続的な対応を可能にする充実したサービスのことです。
今後の展開
グループの成長とともに歩む
システムとして
今後施設や職員・従業員がさらに増えれば、必要になるシステムがまた出てくるはずと語る玉井氏と柴田氏は、様々な製品が充実しているOBCのシステムに対する将来への期待も込める。
「奉行V ERPの導入は業務面に様々な効果をもたらしています。OMSS LLSについてはまだ大きな効果をもたらしてはいませんが、今後何十年先には今回導入した製品の本当の価値を実感すると思います。また、OBCには我々のような業務担当者だけではなく従業員にとってもメリットが多い製品のラインナップが豊富です。会社全体の業務生産性があがる製品を今後検討していきたいですね。」(玉井氏)
今後もOBCや販売代理店と協力し、業務体制を整えていきたいと話す両氏。OBCの製品が長きに渡る同社のパートナーとして大きな役割を担っている。
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企業情報
1959年秋田県潟上市に小玉医院開設。94年に医療法人正和会設立。本部敷地内には内科、整形外科、眼科、歯科など複数の有床診療所と老健施設があり、連携を取りながら運営することで病院と同等の機能を持たせ、それに匹敵する役割を果たしている。現在は医療法人正和会、社会福祉法人正和会、福祉施設を運営する株式会社日本ケアシステム、福祉用具等の販売・貸与を行う株式会社ヘルツェン、配食を提供する有限会社トータルヘルスマネジメントの5法人を有するグループとして経営を行っている。
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- 会社名
- 医療法人正和会
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- 業種
- 医療業,福祉業
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- エリア
- 秋田県潟上市
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- 従業員数
- 693名(2017年6月末現在)
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- 売上高
- 316千万円(2016年4月期)
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- 事業所
- 病院1、診療所(歯科、眼科含む)5、介護老人保健施設2、事業所内保育園1、介護サービス事業所29(事業所数はグループ全体、所在地は潟上市、秋田市、南秋田郡ほか。2017年7月現在)