導入事例
株式会社ハイレックスコーポレーション
- 所在地
- 兵庫県宝塚市
- 従業員数
- 1,027名(2012年10月)
- 売上高
- 連結:1,396億8,700万円 (2012年10月)
課題と効果
- 課題
- IFRS準備を機に固定資産管理システムの統一を検討したが、コストが課題となった
- 効果
- 固定資産奉行V ERPを導入したことで、低コストでのグループ統一導入を実現
導入背景と課題
IFRS準備を機に固定資産管理システムのグループ統一導入を目指す
- 経理グループ 経理チーム
システム担当主査山本 浩一 氏
自動車の重要部品のひとつであるコントロールケーブルで、国内の圧倒的シェアを誇る株式会社ハイレックスコーポレーションは、自動車部品業界では数少ない、系列に属さない独立系企業である。同社は、世界10カ国に20拠点を置き、早くから業界に先駆けて積極的なグローバル展開を行ってきた。現在は、国内全ての自動車メーカーの他、米国ビッグ3をはじめ、海外の主要メーカーに製品を供給している。シンプルな構造と確実な操作性を備えた同社のコントロールケーブルは、世界的にも技術と品質が高く評価されており、自動車部品に留まらず、産業機械や医療機器など高い性能が求められる分野で広く利用されている。
同社が、長年利用してきた固定資産管理システムを刷新するきっかけについて、経理グループシステム担当主査の山本浩一氏は次のように振り返る。
「今回、グループ子会社も含めて固定資産管理システムの統一化を目指した背景にはIFRSへの準備がありました。IFRS対応を進めるために、会計制度が固まっている固定資産の分野から見直しを始めました。多くの上場企業が採用している手法と同じですが、段階的なIFRS準備の最初のステップとして、まずは固定資産管理システムをグループ会社間で統一し、将来、『定額法への変更』が必要になった場合でもスムーズに対応できる体制を整備しようと考えました。」
当初、同社が利用していた固定資産管理システムを最新版にバージョンアップし、グループ子会社にも展開しようと考えていた。しかし、検討を進める中で、財務会計ERPシステムとの密連携を図るカスタマイズが障害となり、簡単にバージョンアップが行えないことが判明した。その結果、想定を超えるリプレイスコストが大きな課題となった。
また、操作性についての課題もあった。既存の固定資産管理システムでは操作が難しく、グループ子会社での独自運用には適していなかった。
このような中、同社では、グループ企業が統一で利用できる全く新しい固定資産管理パッケージを検討することとなった。
システム選定のポイント
操作性の良さやコスト面でのメリットも選定のポイントに
新たな固定資産管理システムの検討候補として、最初に奉行シリーズの名前が挙がった。「奉行シリーズに白羽の矢が立った背景には、既にグループ子会社の統一財務会計システムとして勘定奉行を導入していた実績が大きかった」と、山本氏は語る。操作になじみがあり、また会計システムへのデータ連携も容易に描くことができる。
その他にも、グループ統一利用を実現するための要件を奉行V ERPはクリアしていた。
「グループ各社に負担を掛けず、無理なく利用してもらえるシステムであることが重要でした。既存の固定資産管理システムと比較して、操作性や分かりやすさは、奉行V ERPのほうがユーザーフレンドリーではるかに良いと感じました。また、各社がExcelなどで管理している固定資産データをスムーズに移行できる点や、システムの運用環境として、当社で一元管理されたサーバーに各社からネットワーク接続で利用できる点も重要でした。」
課題であったコスト面に関しても「大きく違いました」と評価する。
ただ、全ての要件がスムーズに解決した訳ではない。従来の固定資産管理システムがカスタマイズで実現していた一部の機能については運用でカバーした。山本氏は、パッケージの標準機能による運用にこだわった理由を次のように話す。
「カスタマイズは会社としてもやめようと考えました。制度が頻繁に変わる会計分野では、パッケージの標準機能に合わせることが、長期的には最もローコストな運用が行えます。情報システム部門での経験からも、カスタマイズは開発完了までは『資産』ですが、開発完了以降は、保守や更新を考えれば、大きな『負債』となってしまいます。」
奉行V ERPにおけるIFRS対応の将来性が評価できたことも後押しとなり、グループ統一で利用する新たな固定資産管理システムとして「固定資産奉行V ERP」の導入が決定した。
システム概要
- 固定資産奉行V ERPを本社と国内の関連会社6社に導入
- 本社で一元管理するサーバーに各社からネットワークで接続
- 償却計算の複数基準対応や、資産除去債務などを実現
- 固定資産に関する仕訳データを会計システムに連携
- 製造業のため資産の移動や分割が頻繁に発生するが一括変更機能により業務を効率化
- 償却予定一覧をExcel転送することで予算スケジュールの作成を効率化
- データの一元管理によりBCP(事業継続計画)対策を実現
導入効果
グループ全体がIFRSに備えられる環境に
導入決定から約6か月の期間を経て、固定資産奉行V ERPが本稼働を開始した。
グループ全体で固定資産の管理方法を統一化できたことで、連結決算業務の合理化につながり、また、IFRS対応が可能なシステムとなったことで、IFRSに備えられる環境を整えることができた。
導入後の業務効率化効果について山本氏は次のように語る。
「目に見える効果として、奉行V ERPの機能性によって業務も効率化されています。製造業ですので、設備の移動や分割が少なくありません。特に、ここ数カ月は製造部門の統廃合もあり、部門ごとに管理している固定資産の移動処理が多くありました。このような場合も、一括変更機能があるので非常に便利でした。その他にも、減価償却費の予定額一覧をExcelに転送できるので、各社で予算策定のためのシミュレーション資料を簡単に作成できるようになりました。」
グローバル展開を強みとする同社では、今後もビジネスを海外へとシフトしていく流れは続く。奉行V ERPの導入を弾みに、次は管理会計システム(標準原価計算)についても見直しを進める予定だ。
- PDF版ダウンロード
- こちらから導入事例のPDFを
ダウンロードいただけます。 - PDF版ダウンロード
本例での導入製品はこちら
会社概要
- 会社名
- 株式会社ハイレックスコーポレーション
- 所在地
- 兵庫県宝塚市
- 従業員
- 1,027名(2012年10月)
- 売上高
- 連結:1,396億8,700万円 (2012年10月)
- グループ企業
- 国内工場5拠点、海外工場10ヵ国に20拠点