- 株式会社マイクロアド
- コーポレート本部 経営管理部
進行管理グループ エグゼクティブ
上野 里奈氏
- 株式会社マイクロアド
- コーポレート本部 経理管理部
財務・経理グループ マネージャー
木島 美和氏
検討のきっかけ
IPOを控える中で債権管理・請求書発行業務の部分最適化を実現できるシステムを探し始めた
マイクロアドは、サイバーエージェント内で事業を開始後、2007年に分社化されました。消費者のオンライン・オフラインの膨大な消費行動データを集約したデータプラットフォーム「UNIVERSE」を軸に、業界業種に特化した様々なマーケティングプロダクトを展開しております。また、アジア圏を中心とした海外でのマーケティングコンサルティング事業を行っております。
インターネット広告配信事業は、顧客企業の契約状況によって請求金額が異なり、入金管理が複雑です。例えば請求額の計算では、PCやスマートフォンに「1回インプレッション(広告表示)されるごとに1円の請求が発生」「ワンクリックされるごとに10円の請求が発生」「コンバージョン(購入)されると1万円」など、様々な課金の形態に応じた計算が必要となります。それらの課金状況を顧客企業ごとに集計し、請求書を発行・送付して入金管理を行う必要があります。
従来、債権管理や請求書発行業務の他、債務管理、会計処理は、大手企業・中堅企業向けのERPシステムを利用し、業務を行ってきました。導入当初は自社業務に合わせて細かくカスタマイズしたシステムとして運用していましたが、企業の成長に合わせて組織や業務が変化し、最終的に日常で使用する機能はごく一部となっていました。債権管理においては、一部Excelによる別管理を余儀なくされている業務が発生している実態もありました。
そうした中、IPOの検討とERPシステムの現行バージョンの保守が一定期間後に終了することとなり、システム更新を行うか、システムの切り替えを行うかの選択が必要となりました。IPOは長年の悲願ですが、上場後に保守切れのシステムを使い続けることや、一部とはいえExcelに頼った煩雑な業務処理は許されず、多忙を極める中、システムと業務の見直しを行うことが急務となったのです。
ERPシステムをそのまま全て更新することも検討しましたが、一部Excel管理となっている債権管理業務は改善効果が見込めない上に、多大な更新費用もかかります。社内の都合上、会計・債務管理はどうしてもシステム切り替えができませんでしたが、債権管理・請求書発行業務にフォーカスを当てたシステムを検討することで、部分的なコストカットと業務最適化に期待ができると考えたことが奉行シリーズの検討きっかけです。
導入の決め手
絶対条件である「前受金管理」が可能な債権奉行クラウドが本命 部分最適化で入金消込、請求書業務の負担が大幅に軽減
債権奉行クラウドと発行請求書DXクラウドの導入検討にあたり、以下3つの理由が導入の決め手となりました。
①ERPシステムでは実現できなかった前受金管理業務の部分最適化を図れることが一番の決め手
当社では顧客企業から前受金を受け取り、お客様の広告運用にあたって発生した費用を前受金から充当する仕組みを取り入れています。しかし、当時の債権管理システムには前受金管理機能がなく、売掛金の計上と売掛金回収の入金計上しか対応できていませんでした。そのため、まず、Excelで前受金管理を行う販売管理担当の営業事務員が、経理社員に「この会社からこの日に入金がある」とメールで連絡。それを受け、経理社員が前受金としての入金仕訳ではなく、売掛金回収としての入金仕訳を一度債権管理システムへ計上し、さらに会計システム上で別途、前受金の入金として処理するための振替仕訳の作成作業を行っていました。前受金管理の機能がないため、本来必要のない仕訳の振替作業を行う必要があり、煩雑な業務フローを余儀なくされていたのです。
また、会計システムの仕訳振替を手動で対応しつつ、前受金残高はExcelで別管理も行っていました。手入力と煩雑な工程がネックになり、会計システムとExcel上での債権残高や入金残高の不一致や、整合性がとれないケースが多数発生し、営業事務員と経理の部署間でトラブルの種になっていたのです。
私たちにとってこの前受金管理こそが最大の業務課題であり、それが円滑にできるシステムであることが絶対条件でした。また、前述の通り、現行システムは会計システムまで切り替えが行えないため、債権管理のみにフォーカスを当てたシステムの選定が必須でした。前受金管理を初めとした債権管理の効率化が実現可能なことと、会計システムは変更せずに部分的に導入が可能なこと、この2つの条件を満たすことのできるシステムであったことが、奉行シリーズ導入の大きな決め手です。
②銀行入金明細との自動突合機能が標準搭載
前受金管理だけでなく、経理側で大きな負担となっていたのが入金消込業務です。従来は、入金データをCSVファイルでシステムにインポートし、一件ずつ手作業で売掛金の消込を行っていたのが実態でした。メンバー総動員で丸一日かけてようやく終わる作業です。何より、経理部員の表情がつらそうで、何とか状況を変えたいと考えていました。
こうした課題に対し、債権奉行クラウドであれば、銀行の入金明細データを自動取得し、入金の突合・消込が可能なため、作業の自動化に期待ができました。
③請求書発行だけでなく、請求書作成の作業時間そのものを省略
一方、営業事務側では請求書発行業務に負担を感じていました。請求書は約800社分あり、元となるCSVファイルを都度作り込みしながら、専用システムへ取込作業を行い、1件ずつ請求書を発行していたため、作成から発行までとにかく時間がかかっていました。また、CSV取込の際にエラーが発生した場合、エラー対応のために、ファイル上の項目を一つずつ確認しながら修正する必要がありました。この作成にかかる作業時間も請求書発行業務の負担を大きくしていた原因の一つです。
その点、奉行Edge発行請求書DXクラウドでは、CSVデータをもとに請求書の作成行う場合でも、CSVファイルの作り込み箇所が少なく、仮にエラーが発生しても修正が必要な個所をシステムが教えてくれるため、作成や修正にかかる作業時間を大きく削減することができると思いました。また、メールによる電子送信を利用して請求書を一括送信も可能なため、従来の送付方法と比較しても大幅に業務の省略化できると感じたことも決め手の一つです。
導入効果
システムに合わせて業務を変えることで効率化を実現。結果、業務に追われて「つらそうにしていた顔」がなくなった
上場後、提案から稼働まで僅か半年で債権奉行クラウド、奉行Edge発行請求書DXクラウドの短期導入と業務効率化を実現できました。最終的に今回奉行2製品を導入し、システム改善と業務改善に成功したことで、プロジェクトのベストマネージャーとして社内表彰も受けるほどでした。今回、奉行シリーズの導入においては、特に以下の3つはシステムの導入効果による業務改善であると感じています。
①前受金管理機能で従来の業務が抜本的に改善
債権奉行クラウド導入により、従来Excelで別管理していた前受金残高の一覧表は廃止され、売掛金を前受金の入金として、都度振替仕訳の作成作業を行う煩雑な業務フローもなくなりました。過去の履歴は簡単に追えるようになり、請求や入金の金額の更新もリアルタイムとなるため、残高の不一致や整合性がとれなくなるといった事態も回避できています。また、クラウドで利用できるので、部署間における情報の可視化と一元管理も実現できました。
②入金消込自動化で月末の繁忙を回避
債権奉行クラウドが銀行データを自動取得し、入金消込を自動で実行でき、当社でもよく発生していた親子入金に対する入金消込も簡単に処理できます。経理側は、不明な入金、未入金、過入金をチェックして処理するだけで済み、月末の繁忙が回避でき、今では他の業務を行う余裕さえあります。銀行のアプリを開かなくても入金が債権奉行クラウドの画面で確認でき、非常に楽になりました。
③請求書作成から発行までの業務が圧倒的に速くなった
課題だった請求書発行業務も改善されました。従来も請求書発行は電子化に対応していましたが、発行請求書DXクラウドに切り替えることで発行業務だけでなく作成作業も更に楽になり、従来よりも業務時間が効率化されています。
具体的には、一つの画面から様々な情報の一括修正ができたり、送付済みと未送信がステータスで分かりやすく管理されており、直感的な作業が行えたりする点がポイントです。結果、請求書発行は作業時間が従来の4分の1に短縮され、電子送付も圧倒的にスピードアップしています。夜中までかかっていた請求書業務が夕方以前に終わるようになり、営業の問い合わせ対応や営業業務支援に多くの時間を充当でき、会社全体としての生産性向上にもつながりました。
また、奉行Edge発行請求書DXクラウドはインボイス制度対応なので、制度対応が同時にできて非常に助かりました。
- 導入効果
- 債権奉行クラウドで煩雑な前受金管理がミスなく円滑に
- 業務効率化で生まれた時間は、営業支援などコア業務に注力。会社全体の業務生産性の向上を実現
- 銀行データとAPI連携し入金情報の自動消込を実現。月末の消込作業が大幅短縮
- 奉行Edge請求書電子化クラウドで請求書業務が従来の1/4に
今後の展望
グループ全体の子会社への奉行製品の横展開を構想
グループ全体のシステム改善と生産性向上にまい進
マイクロアドには、国内の子会社と海外の現地法人を合わせて10社ほどの関連会社を保有しており、今回その中の2社でも債権奉行クラウドと奉行Edge 発行請求書DXクラウドを導入しました。そのうち1社は以前の旧システムによる運用ができず、債権や請求書業務の作業は長い間Excel頼みでした。ただし、同社では、Excelのマクロ機能を使って50枚の請求書を作成していましたが、手入力のため時折ミスが発生していたのが実情です。
そうした中、今回の奉行2製品の導入を親会社同様に展開し、子会社同様に効率化を実現しています。子会社によって、担当者のレベル感は異なりますが、奉行製品であればUIが見やすく、誰でもミスなく簡単に操作できます。この点を評価し、今後もグループ各社への導入拡大を目指していきたいと考えています。
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企業情報
2007年設立。消費者のオンライン・オフラインの膨大な消費行動データを集約したデータプラットフォーム「UNIVERSE」を軸に、業界業種に特化した様々なマーケティングプロダクトを展開。
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- 会社名
- 株式会社マイクロアド
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- 所在地
- 東京都渋谷区桜丘町20-1 渋谷インフォスタワー13F