- AAR Japan 認定NPO法人 難民を助ける会
- 経理 山田 泰子氏
- AAR Japan 認定NPO法人 難民を助ける会
- 支援事業部長 久保田 和美氏
検討のきっかけ
海外拠点における会計管理強化と
業務効率化が喫緊の課題だった
当会(以下AAR)は、1979年に当時のインドシナ難民支援を目的として設立された団体です。「困ったときはお互いさま」という日本の善意の伝統からスタートしたこの43年間の活動では、65を超える国と地域で支援活動を展開してきました。現在、東京本部のほか海外に14拠点を置いています。 最近では、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ウクライナ隣国のポーランドからウクライナ国内で避難生活を送る方々に支援物資を届けたり、モルドバを拠点に子どもたちが安心して過ごすことができる場づくりや避難生活で必要な家電の提供など、ウクライナから避難してきた難民の方々への支援活動を行っています。
2000年に特定非営利活動法人(NPO法人格)を取得、2003年には国税庁より認定NPO法人の認定を受けました。認定NPO法人は、情報開示を通じた市民の選択および監視を前提としており、前事業年度の事業報告書等を作成しすべての事務所において備え置いた上で、その社員および利害関係者に閲覧させる義務を負っています。
また、条例で定めるところにより、毎事業年度1回、事業報告書等を所轄庁に提出しなければなりません。このような情報開示義務は「アカウンタビリティ」と呼ばれ、この義務を適切に果たすことはAARが社会的信頼を得て、継続的に活動するために極めて重要です。
というのも、AARの支援活動の主な原資は寄付金や助成金であり、国や企業、一般の方からのご支援がなければ活動できないからです。助成金は使途があらかじめ決められているもので、その使途に沿った支出を行うとともに、それを助成団体に、正確に報告する必要があります。また、寄付をいただく支援者の方々には、その使い途や収支について、正確に伝える責任があります。そのため、すべての職員が「適切な会計管理あってこその支援活動」という気持ちで日々の会計業務に取り組んでいます。 東京にある本部事務所では、経理・財務の専門スキルを持ったスタッフが会計管理を行っていますが、海外事務所では専門スキルを持ったスタッフを雇用することが難しいのが現状です。アカウンタビリティを果たすために極めて重要な会計管理ですが、専門的な会計知識を持たない職員が、企業、一般の方からのご支援がなければ活動できないからです。助成金は使途があらかじめ決められているもので、その使途に沿った支出を行うとともに、それを助成団体に、正確に報告する必要があります。また、寄付をいただく支援者の方々には、その使い途や収支について、正確に伝える責任があります。そのため、すべての職員が「適切な会計管理あってこその支援活動」という気持ちで日々の会計業務に取り組んでいます。
東京にある本部事務所では、経理・財務の専門スキルを持ったスタッフが会計管理を行っていますが、海外事務所では専門スキルを持ったスタッフを雇用することが難しいのが現状です。アカウンタビリティを果たすために極めて重要な会計管理ですが、専門的な会計知識を持たない職員が、一般的な会計システムを使いこなすことは難しく、海外事務所ではExcelを使った手作業で会計管理を行っていました。
Excelでの会計業務は煩雑であり、多くの時間を要していたことも課題でした。例えば、現地ではExcelの会計報告フォーマットに日々の入出金を記録するのですが、この入力作業に駐在員や現地スタッフが業務時間の多くを費やしてしまうことも珍しくありませんでした。また、東京本部においては、現地より送られてきたExcelの会計報告をもとに、そのExcelの関数計算もチェックしつつ、拠点ごとに収支の確認を行っていたのですが、提出された報告書の確認作業に、多くの時間が割かれていました。こうしたなかで、会計業務の効率化に取り組む必要がありました。
導入の決め手
全14カ所の拠点で利用できることに加え、会計の専門知識がない現地スタッフでも操作に困らない分かりやすさがあった
AARには元銀行員や教師、SE、記者、調理師など、さまざまな経歴の駐在員がいますが、入職して初めて会計業務を担当することも珍しくありません。そのため、複式簿記の知識がなくても簡単かつ効率的に入出金の記録ができるシステムを探していました。また、世界14か所に拠点があるため、基軸通貨をドルとした多通貨対応が必須でした。
勘定奉行クラウドGlobal Edition(以下、勘定奉行GE)では、取引明細入力という単式簿記のように入力する機能が用意されています。そのため、会計の専門知識のない職員でも簡単に入力が可能でした。驚いたのは多通貨対応なのに利用金額が抑えられていたことです。多通貨対応できる海外製の会計システムは非常に高額であるため、これまで導入を躊躇していたのですが、勘定奉行GEには“お得感”がありましたね。
OBCのグローバルパートナー(世界約30の直営拠点で会計コンサルティングを提供する株式会社フェアコンサルティング(以下、フェア))による手厚い導入支援を受けられることも導入の後押しになりました。システムの導入によって、現地スタッフから混乱の声が上がることも想定されるなかで、会計管理のやり方をすべて自分たちで変え切るには無理があると考えており、信頼できるパートナーが必要だと感じていたのです。
導入効果
データ貼付や月末の評価替えなどの単純作業を徹底削減してボタンひとつで報告に必要な帳票を作成
会計管理の基盤整備で支援活動に一層注力できるように
まず10拠点において勘定奉行GEの導入を開始しました。会計への理解度や言語、IT能力のレベルもさまざまな現地スタッフを対象とした研修をフェアさんの支援を受けながら行い、システム導入という大きな一歩を、抵抗感少なく踏み出すことができました。現在は拠点ごとに課題をまとめ、フェアさんの指導を受けながら順次対応しています。会計の専門家でない現地スタッフでもスムーズに会計報告ができそうだと感じています。そうなれば、すべてのスタッフが支援活動により一層注力できます。
会計管理業務:東京本部から10拠点の会計業務を支援できるように
これまではExcelの報告書が提出されるまで、東京本部では現地の状況がまったく見えない状態でしたが、勘定奉行GEになったことで、リアルタイムで会計データを確認できるようになりました。そのおかげで、会計処理で困っている現地スタッフをサポートしやすくなりましたね。転記ミスなどが起きないような体制を整え、会計データの信頼性を向上させていきます。
業務効率化:東京本部ではボタン1つで瞬時に帳票作成が完了
東京本部では業務効率を上げることができています。導入前は、入出金をまず入力し、その後、別の帳票を3つ作成するために、同じデータを別の箇所にコピー&ペーストして作成したり、月末の評価替えを科目ごとにひとつずつ計算したりという作業が発生していました。その過程で計算がズレることがあり、その原因究明に時間がかかることもありました。
勘定奉行GE導入後は、入出金や資金移動の仕訳を入力するだけで、元帳など必要な帳票が自動作成されるようになったほか、次月繰越や月末評価替えは、ボタンひとつで、あっという間に行えるため、帳票間の整合性などを心配することがなくなりました。
導入効果
- 勘定奉行GEによって本来行うべき支援活動により一層注力できるように
- 会計管理の基盤を整備認定NPO法人としてアカウンタビリティを更に向上
- 現地の状況をリアルタイムに把握でき、東京から各国のスタッフをサポートできるように
- 会計知識のないスタッフでもスムーズな会計報告ができるように
- Excelによる煩雑な会計管理が0に
今後の展望
アカウンタビリティを果たして支援の輪を広げ
世界中に広がる難民問題の解決にさらに貢献したい
難民問題が今なお広く世界で進行するなか、必要なところがあれば拠点を広げ、支援をより多くの人々に届けていきたいと考えています。こうしたなかで、今回の勘定奉行GEの導入は、支援活動を広げるための会計基盤の強化につながる出来事であり、今後に大きなインパクトをもたらすものと言えます。
Excelによる煩雑な会計管理から勘定奉行GEに変わったことで、現地スタッフは会計管理についてストレスを減らしながら、支援に集中できると思います。
そして、勘定奉行GEの導入により、認定NPO法人としてアカウンタビリティを今まで以上に向上できる環境になりました。これからは勘定奉行GEを活用することで、会計管理の“質”を継続的に上げていき、不断の努力でアカウンタビリティという責任を果たしていきたいと考えています。勘定奉行GEには時代に合った変化を遂げてもらい、私たちを支え続けてほしいですね。
AARはこれからも社会的責任を果たして「困ったときはお互いさま」という日本の伝統に基づいた支援の輪を世界に広げていきます。
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企業情報
1979年に「インドシナ難民を助ける会」として発足し、2003年に認定NPO法人に。「難民支援」「地雷・不発弾対策」「障がい者支援」「災害支援」「感染症対策/水・衛生」「提言/国際理解教育」という6つの分野に注力。困難な状況にある人々のなかでも、特に脆弱な立場に置かれた人を対象に長期的な視点で支援を行う。
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- 会社名
- 認定NPO法人 難民を助ける会(AAR Japan)
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- 業種
- その他
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- エリア
- 東京都
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- 従業員数
- 日本国内61名、海外事務所180名(2022年3月31日現在)