- トーテックアメニティ株式会社
- 経営管理本部
管理部財務経理グループ課長/
糸魚川 清人 氏
- 経営管理本部
管理部財務経理グループ/辻村 裕也 氏
検討のきっかけ
サブプログラムの乱立でブラックボックス化したERP
将来のリスク回避のために標準化を目指す
トーテックアメニティ株式会社は1971年の設立。情報システム構築支援と製造業向けに技術開発支援を手がけている。グループ会社を4社擁し、従業員は毎年約200名ペースで増加、順調に業容を拡大させてきた。
こうしたなか、財務会計を中心としたERPシステムのブラックボックス状態に危機感を持つようになった。経営管理本部管理部財務経理グループ課長の糸魚川清人氏が語る。
「実は財務経理グループとしては業務上の明確な課題があったわけではないんです。それはシステムに精通した1人の社内SEが10年以上にわたって現場の要望を聞きながら、ERPにサブプログラムを設計・追加し対応してきたことで部分的に最適化されてきたからです。これらのサブプログラムによって業務の利便性が高まったのは事実ですが、社内SEしか全体像がわからないブラックボックス状態となり、当社が成長するなかで、いずれ業務に支障を来すのではないかという危機感がありました」
ERPシステムでよく言われるブラックボックス化と業務の属人化が検討のきっかけになり、具体的な問題が顕在化する前に将来を見据えて標準化を目指した。では具体的にどのようなリスクを危惧したのか。糸魚川氏はこう付け加える。
「感じていたリスクは3つありました。1つ目はサブプログラムの乱立によってシステムの全体像をだれも把握できないことです。仮に担当の役割に変更があった場合、どの数字がどのように流れているか理解しているメンバーが誰もいないわけですから、業務に支障が出ることは明白でした。そして2つ目は個別業務への対応が難しいことです。通常業務は問題なく処理できていますが、個別業務となると話は別。具体的には管理会計では予実比較表や見通し帳票を作成していますが、今までは社内SEに頼んでSQLから直接データを抽出し帳票を作成していましたが、当然SQLの仕組みを理解している人しか作成できません。財務経理グループとしてはそういった属人的なリスクを解消するために標準化して誰でも作成できるようにしたかったという思いがありますね。3つ目はメンテナンスの問題です。消費税改正など目まぐるしく変わっている環境の中でこのままではいずれ変化にスピード対応できなくなるのではないかと感じていました」
さらに経営管理本部管理部財務経理グループの辻村裕也氏が話す。「管理会計だけでなく固定資産関連の帳票作成でも属人的なリスクを感じていました。固定資産関連では部門別の減価償却費を把握するために負担部署一覧表といった帳票を作成していますが、ここでも社内SEに頼らざるを得なかったんです」
導入の決め手
属人化で生じていた
3つの課題を奉行V ERPがすべて解決
同社が奉行V ERPを選択したのは上述した3つの問題を解決できるからだ。1つ目のシステム全体像の把握についてはどうか。糸魚川氏はこの問題について「OBCとタッグを組み、システムの全容を明らかにしながら、奉行V ERPの機能に置き換えて業務プロセスを構築していったため、自然と解決できましたね。また、業務フローやパラメータ設定などをドキュメントとして納品してもらったので、だれでも全体像の把握が容易になりました」と語る。奉行V ERPでは専任のコンサルタントが導入支援を行い業務プロセスの標準化を支援しているが、その点も決め手の1つになったようだ。2つ目の問題であるSQLなどのデータベースから抽出しながら個別の業務を行う点についてはどのように解消できたのか。
「一番の決め手はここでしたね。従来までわざわざデータベースから欲しい情報を抽出しなければならなかったのですが、どこまで標準機能として実現できるか検討の際にしっかり確認しました。すると、ほとんどの帳票が標準機能で出力できるということがわかりました。また、一部は標準機能で出力できないものも実際あったのですが、標準的に出力できる帳票を組み合わせることでSEがいなくてもほぼすべて完結できるようになったんです。これなら属人化を解消でき、安心できると思いましたね」(糸魚川氏)
3つ目の問題であるメンテナンス。これは運用を奉行V ERPに任せることで“メンテナンスフリー”を実現できた。
「奉行V ERPは制度改正に自動的に対応できるため、安心できました。それに従来の仕組みであったバグへの対応などもしなくてよいのも大きいですね。これまでバグが生じた際は大小にかかわらず社内SEに頼まなければ修正できませんでしたからね」(糸魚川氏)
導入効果
ERPシステムの持続的な利活用を実現
財務経理グループのミッションを確実に果たす
奉行V ERPの導入後に“事件”が起きた。ERPシステムのキーマンである社内SEがついに異動したのだ。恐れていた事態が現実のものとなったのである。しかし、業務を滞りなく進められているという。糸魚川氏が笑顔で話す。
「業務全体を奉行で標準化することで、属人化を解消できていたわけです。これでERPシステムを持続的に利活用できています。属人化のリスク解消を狙って標準化をしましたが、まさか本当にSEが異動するなんて思ってもみませんでした。旧システムのままだったらと思うとぞっとしますね」 奉行V ERPの効果は属人化の解消に留まらない。導入支援で帳票レイアウトなどのすりあわせをOBCと入念に行ったことも相まって、稼働後4か月で高い業務効率化を実現。部門の負担が確実に減っているという。
「従前はSQLからデータを抽出し、さらにエクセルの切り貼りを人海戦術で行い、予実比較表や見通し帳票を作成していましたが、ヒューマンエラーがたびたび発生し、業務効率が落ちていました。ところが、奉行の導入後はこれらの作業が一掃され、ボタンひとつで予実比較表や見通し帳票が作成できるようになったんです。おかげで“早く正確に”業務を進められるようになりました」(糸魚川氏)
予実比較表作成に伴う業務時間を毎月6時間、見通し帳票は毎月10時間の削減に成功。管理会計帳票の提出は締め日の翌日という短期勝負。それだけに、これだけの業務時間が削減されたのは大きい。残業が減ったほか、精神的に余裕を持って業務を進められているという。奉行は固定資産帳票の作成にも威力を発揮している。
「特に効果を感じているのは別表16(固定資産台帳兼減価償却計算表)の作成。従前は固定資産台帳から必要なデータを抜き出し、手作業で作成していましたが、現在はボタンひとつで出力できています」(辻村氏)
現在の財務経理グループのメンバーは9名だ。このうち、財務経理をこれから学ぶ入社2年未満の社員は3名。奉行によって経理業務が標準化された現在、変化に強い財務経理グループを作れていると糸魚川氏は言う。
「今後、入社や異動によってメンバーに変化があるでしょう。これまでのシステムは人に依存するものでした。しかし、奉行がこの状況をガラッと変えた。たとえ人が変わっても業務を今まで通りに継続できる体制になったわけです」
今後の展望
奉行V ERPの効果を実感するのはこれから
グループ会社の連結決算にも生かす
奉行V ERPの本格稼働から約4か月が経過。まだ十分に使いこなせていないのが現状だという。「今は過渡期。これから段階的に業務を改善していきたいですね。標準機能を使いこなせるようになったら、相殺など、一歩進んだ使い方も試してみたい。そうすることで、さらなる業務効率化を実現できそうです」(糸魚川氏)
グループ会社を奉行V ERPで統一したメリットが出てくるのはこれからだ。グループ合算などの機能を活用することで少ない手間で連結決算を進められると見込む。決算早期化を実現できれば、経営陣に対し、財務情報をリアルタイムで提供できるようになるだろう。
「管理会計帳票は経営の羅針盤。それを“早く正確に”出せる仕組みを構築していきたいですね」(糸魚川氏)
トーテックアメニティ株式会社は人員数が毎年約200名ペースで増加している成長企業。企業が成長すれば財務経理グループの負担が増加するのは必然だ。また、成長に伴い、経営の状況を確実に把握する必要性は増している。こうしたなかで、財務経理グループの重要性は高まっていると言えるだろう。これからの財務経理グループの着実なミッション遂行に寄与するのが奉行V ERPなのだ。
企業情報
さまざまな分野における情報システム構築を支援する「ITソリューション事業」のほか、自動車や航空機、FAシステムなど、製造業の技術開発業務を支援する「エンジニアリングソリューション事業」を展開。自治体や学校など、公共系の情報システム構築に強み。子会社にトーテックビジネスサポート株式会社、トーテックフロンティア株式会社、株式会社日本サーキット、株式会社JDRONE、株式会社ブール・ジャパンの5社。連結売上高約285億円(2020年3月期)、連結従業員数2845名(2021年1月時点)。
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- 会社名
- トーテックアメニティ株式会社
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- 業種
- 情報通信業
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- エリア
- 愛知県
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- 連結従業員数
- 2845名(2021年1月時点)
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