- 株式会社上田組
- 代表取締役社長
上田 修平氏
- 株式会社上田組
- 総務部・総務経理課
課長補佐/鈴木 邦明氏
検討のきっかけ
対応が必要な残業時間の
上限規制労働時間の実態把握が必要不可欠に
創業以来、草地整備のパイオニアとして確かな実績を築き上げてきた上田組。従業員がさらに働きやすい環境を構築するため、代表取締役社長の上田修平氏が旗振り役となって2017年10月に発足したのが「働き方改革委員会」だ。上田氏が当時を振り返ってこう語る。
「社内アンケートで残業時間の実態を調査したところ、総務で把握している数値と大きな誤差がありました。世間で働き方改革が推進されるなか、このような状態では従業員が安心して働ける職場とは言えないでしょう。そこで、労働時間を適正に把握するため、勤怠管理システムを導入することにしたんです。また、労基法改正によって、2024年には建設業にも残業時間の上限規制が適用されることが決まり、対応が必要なことも導入の背景にあります。奉行Edge勤怠管理クラウドに決めたのは、他の奉行シリーズと連携することで会計分野も含めて網羅的に業務の生産性を向上できることやスマホ打刻などの便利な機能を備えており、私のイメージとピッタリだったからです」
従業員の働き方の変化
打刻ツールの使い分けで労働時間を適正に把握
自然と早めの帰宅を心掛けるように
奉行Edge勤怠管理クラウドの導入前、どのようにして勤怠管理を行っていたのか。総務部・総務経理課課長補佐の鈴木邦明氏が説明する。
「自己申告に頼っていたので、申告漏れがあってもわからない状態でした。しかし、勤怠管理クラウド導入後は適正に労働時間を把握できています。打刻ツールはICカードとスマホを活用しています。当社には本社のほか、釧路市や埼玉県入間市(いくら丼うえだ)にも事業所がありますが、各所の就業実態に応じて打刻ツールを使い分けています。労働時間が可視化されたことで、時間に対する意識に変化が見られるようになっており、現場の従業員から“できるだけ早く帰ろう”という声が上がっています」
今では従業員が打刻ツールを難なく活用しているが、導入当初は不安もあった。
「ITリテラシーの低い高齢の従業員が多いので、使いこなせるかどうか不安でした。しかし、心配は杞憂に終わりましたね。導入当初は打刻漏れがありましたが、本人と上長に通知が来るため、徐々に減っていき、今ではほぼゼロになりました」(鈴木氏)
残業時間の管理は奉行Edge勤怠管理クラウドに実装されているアラート機能を活用している。
「規定の残業時間を超えたらアラートメールが来る仕組み。20時間、40時間、60時間と20時間刻みで設定しています。本人のほか、総務や私もメールを受信しており、必要に応じて上長に対し、業務の調整を指示しつつ、残業抑制を図っています」(上田氏)
総務の業務時間削減
集計作業は不要になり数分のチェック作業だけで完結
2018年4月から本格的に運用し約半年が経過した。総務業務にはどのような変化があったのだろうか。
「総務が月末に報告を受けて残業時間と残業代を集計するフローになっていましたが、すべての作業を終えるのに1週間かかっていました。しかし、導入して2か月で数分のチェック作業だけで済むようになりました。面倒な深夜残業の計算も自動でしてくれますし、あまりにも楽なので、“今までの苦労はいったい何だったんだろう”と思ってしまうほどです。さらに、印刷ボタンを押すだけで帳票が出力されるから、経営陣への報告も楽々。そして、必要なデータはExcelに出力できて加工が可能なので、労働時間の分析作業も簡単に行えます」(鈴木氏)
打刻漏れがなくなり、タイムリーに労働時間を把握できるようになると、総務の負担は急激に軽くなったという。
導入効果のダイジェスト
- 打刻による勤怠管理が定着し、従来自己申告に頼っていた労働時間管理が適正化。総務部門では数分のチェックで勤怠管理業務が終わるようになり、工事部門を含めて全社の生産性向上を目指せる環境が構築された。
- クラウドで建設現場も含めた勤怠管理ができるようになった
- 打刻ツールの使い分けであらゆる就業実態に応じた勤怠管理が可能になった
- 打刻漏れのアラート機能により、打刻による勤怠管理が定着し労働時間を適正に把握できるようになった
- 勤務実績照会機能により、従業員が労働時間を意識し早めの帰宅を意識するようになった
- 残業超過のアラート機能により、業務の調整による残業抑制が実現できるようになった
- 残業時間の自動集計や帳票の自動作成で、1週間かかっていた勤怠管理業務が数分で完了するようになった
- 他の奉行シリーズとの連携で、会計分野も含めて網羅的に業務の生産性を向上できる環境が整った
- 2024年に建設業に適用される残業時間の上限規制に対応できる体制が手に入った
今後の展望
働き方改革の必要性をトップが語る
5年計画で残業抑制を図る
2024年には建設業にも残業時間の上限規制が適用され、原則月45時間以内、年360時間以内となる。
「残された時間はそう多くはありません。今から取り組まないと手遅れになるでしょう。残業抑制は急にできるものではないから、時間をかけて取り組むことが必要。当社では5年計画で、段階的に残業抑制を図る方針です」(上田氏)
残業抑制と聞くと「コスト削減ではないか」と不安や反発を覚える従業員もいる。間違ったメッセージが伝わると従業員のモチベーションが落ちる恐れがある。
「働き方改革の趣旨を従業員に丁寧に説明し、理解してもらいました。この取り組みは次代の上田組を創るためには必要であって、決してコスト削減のためにやっているのではないと。とはいえ、言葉だけでは信用されないでしょう。そこで、給与体系を抜本的に見直し、残業時間が少なくなっても給与が減らない形にしました」(上田氏)
トップが行動で決意を見せたからこそ、働き方改革が着実に進展しているのだ。今後の展望を聞いた。
「残業を抑制するには生産性向上が必要不可欠。現場向けに奉行シリーズと連携できる工事原価管理システムを合わせて導入したことで、総務部門のみならず工事部門でも仕事のやり方が変わりつつあります。将来的には各部門における事務作業を簡素化し、生産性を上げることで、残業が少なく、休日を取得でき、高い利益も出せる企業にしたい」(上田氏)
創業65周年を迎えた株式会社上田組。創業100周年を見据えた働き方改革への挑戦は始まったばかりだ。
この事例での導入製品はこちら
製品をご検討中の方へ
ご購入される方が安心して製品をお選びいただくため、無料体験や、導入相談を行っています。
下記の専用フォームまたはお電話にてお問い合わせください。
企業情報
農業施設工事や草地整備のほか、道路や橋梁、河川工事などを手がける地域密着型の総合建設会社。2014年には外食事業に進出し、地元産の鮭を使用した「いくら丼うえだ」を埼玉県入間市に開業。創業65周年を迎え、働き方改革に注力している。主な受注先は釧路開発建設部、根室振興局、標津町、日本製紙、三井不動産商業マネジメントなど。
-
- 会社名
- 株式会社上田組
-
- 業種
- 建設業・工事業
-
- エリア
- 北海道標津郡標津町