- 米久株式会社
- 管理本部
経理担当部長/川端 和彦氏
- 米久株式会社
- 管理本部
総務担当主任/阿部 寿代氏
- 米久株式会社
- 管理本部
担当課長/稲葉 真之氏
- 伊藤ハム米久システム株式会社
- 運用管理室 沼津運用チーム
主事/佐野 達也氏
- 伊藤ハム米久システム株式会社
- 運用管理室 沼津運用チーム
チームマネジャー/庄司 雅彦氏
きっかけ
膨れ上がる保守管理コスト
連結決算業務や人事管理の効率化が課題に
米久株式会社は、テレビCMでおなじみの『御殿場高原あらびきポーク』や『米久の肉だんご甘酢たれ』などのヒット商品を手がける食肉類の製造および販売会社。グループ企業は計8社、営業所は国内28か所、工場は国内外9か所、従業員数は822名に上る。2016年4月1日、米久は、伊藤ハム株式会社とこれまで培ってきた技術やノウハウなどの強みを持ち寄り、シナジー効果を発揮して成長するために、共同持株会社「伊藤ハム米久ホールディングス株式会社」を設立し、経営統合を行った。その後も米久グループは、創業精神である「感動を創る」を掲げ、食品業界のリーディングカンパニーを目指している。
現在、米久グループは全社で勘定奉行V ERPを運用中。米久グループのなかで最後に導入を決めたのが親会社である当社であった。管理本部経理担当部長の川端和彦氏は5年前を振り返ってこう語る。「勘定奉行V ERP以前は、海外ERPを使用していましたが、バージョンアップを迎え、切り替えるかどうか議論になっていました。海外ERPは、バージョンアップに億単位のコストがかかるだけでなく、保守管理コストも膨大。コスト削減は喫緊の課題になっていました。また、海外ERPは、カスタマイズしなければならない部分が多く、パッケージで簡単に運用できないことも不満でした。当時は、消費税制改正のタイミング。改正までに時間が少ないなかで、迅速かつ確実に対応できるシステムを探していました」
グループ会計の必要性が声高に叫ばれるなか、グループ全体の財務データを迅速に把握することが求められている。連結決算業務は、別システムで運用しており、システムの入れ替えにあたっては、接続性や連結決算業務のさらなる効率化も議論されていた。
一方、米久グループが成長を遂げるなか、課題として浮上したのが人事管理だ。業種上、さまざまな雇用形態の従業員を管理せざるを得ず、膨大な人事データを処理しなければならない。管理本部総務担当主任の阿部寿代氏は「給与奉行V ERPを導入するまで、既存のシステムを“つぎはぎ”しながらなんとか使ってきました。しかし、マイナンバー制度が開始されることになり、既存システムでは追いつかない部分が出てきました。当社の場合、勤怠締めから給与支給まで10日しかなく、しかも振り込みのための伝送データを銀行の2営業日前に作成し、提出しなければなりません。パートタイマーやアルバイトを含む1400人もの給与計算を効率化しなければパンクしかねない状況でした」と当時の窮状を打ち明けた。
導入の決め手
安定性やコスト削減メリット
連結決算業務システムとの連携などを評価
保守管理コストの削減や消費税制改正への対応、連結決算業務および給与計算業務の効率化。これらの課題の解決に資するのが奉行シリーズだった。
「税制改正に対応したシステムを4社程度比較検討しましたが、最終的に子会社で使い慣れている勘定奉行V ERPに決めました。選定のポイントは、導入までのスピード感と確実性。これまでの子会社での運用実績から、勘定奉行V ERPならきっと大丈夫だろう、という期待がありました。実際、システムの選定から運用開始まで約1年しかありませんでしたが、問題なく移行することができ、これまでトラブルなく安定稼働を果たしています」(川端氏)
伊藤ハム米久システム株式会社運用管理室沼津運用チーム主事の佐野達也氏と同チームマネージャーの庄司雅彦氏は、コスト削減メリットと使い勝手のよさについて強調する。
「海外製ERPと勘定奉行V ERPでは、保守管理コストが一桁違う。将来的に、グループ会社全体でシステムを管理していく体制を構築しようという機運があるなかで、保守運用コストが厳しく問われるようになってきました。システム部門として、経営陣の期待に応えられるシステムが勘定奉行V ERPだったんです。コストが下がるだけでなく、海外製ERPより使い勝手がよいのも魅力ですね。特別な訓練をせずともユーザーが直感的に操作できるので、現場の負担が少なくて済みます。それに、日本のセキュリティ事情に適しているのも選んだ理由のひとつです。さらに連結会計システムであるDivaSystem 10と連携が容易であったことも導入の後押しになりました」
導入効果
データ統合により決算早期化を実現
人事データが容易に把握できるように
勘定奉行V ERPを運用して約6年。どのような導入効果があったのか。
「決算業務の早期化への貢献が大きいですね。勘定奉行V ERPを利用してから、業務改善効果もあって、米久単体での締めが15営業日から5営業日にまで短縮されました。経費明細など、各部門のデータを簡単にダウンロードできるようになったことから、予算作成も容易になりましたね。もし、勘定奉行V ERPを導入していなければ、これほどまでの決算早期化は実現していなかったかもしれません」(川端氏)
決算早期化に加えて「目的に応じたさまざまな帳票がダウンロードできるので、他部署からの問い合わせについてスムーズに対応できることもプラスですね。また、改めて記入作成せずとも、自動で消費税申告書の付票と本表を作ることができるなど、業務効率のアップに役立っています」と導入効果について川端氏がさらに付け加える。当社の導入によってグループ全社が勘定奉行V ERPで統一されたが、それに伴うメリットは出ているのだろうか。
「勘定科目を統一したことによって、データ統合が容易になりました。前システムの場合、企業間で科目体系が異なっていたため、勘定科目の数が膨大な数に上っており、収拾がつかない状態でした。当社特有の勘定科目を子会社に合わせるなど、細かい作業がありましたが、グループ全体の連結決算業務の早期化につながりましたね。グループ全体の財務データが迅速、容易に把握できるため、経営の意思決定にも役立っています」(川端氏)
一方、人事管理ではどうか。管理本部担当課長(当時)の稲葉真之氏はこう話す。
「企業価値を高めていくためには、勤怠・人事情報を共有し、グループガバナンスを強化していく必要があります。今後は、会計同様に給与奉行V ERPで、子会社のデータを取得できる環境を整え、グループ全体の人事データを把握することで、人材交流などに活かしたいですね。今年度から無期雇用転換が本格化することもあって、人事データの重要性はさらに増しています。当社においても、人口減少社会が進むなかで、データを駆使した人材の積極的な活用がさらに問われるようになるでしょう」
また、阿部氏は、業務効率の向上について「データを一元で管理できるメリットは大きいですし、これまで手計算をしていた部分が自動計算され大幅な業務削減になりました」と現場の負担が軽くなったことを強調する。
導入効果のダイジェスト
- 保守管理コストの削減に成功。さらに、生産性の向上、業務改善を実現。
- 米久グループ各社から人事データを取り寄せる手間を削減し、人事のコア業務に集中できるようになった。
- 米久単体での締めが15営業日から5営業日にまで短縮され、決算業務の早期化を実現。
今後の展望
グループ全社の財務データを“見える化”
さらなる決算早期化とシステム統合を目指して
伊藤ハム米久ホールディングス株式会社が設立されて2年が経過した。環境変化に伴う迅速経営が要請されるなか、さらなる決算早期化を目指していく必要があるだろう。川端氏は勘定奉行V ERPへ期待を込めてこう語る。
「将来的に連結決算業務に勘定奉行V ERPが使えるようになるのが理想ですね。しかし、現在は、連結会計が勘定奉行V ERPにラインナップされていない。実は、システムのなかに会社領域を別途作り、子会社をひとつのセグメントやグループとして取り扱うことによって、勘定奉行V ERPで連結財務諸表を作っていたことがありました。連結特有の取引相殺仕訳や資本連結等の自動仕訳ができるようになれば、現場の負担はさらに軽くなるはず。データや残高移行が簡単にできるのにもったいないですよね」
米久グループの成長をバックアップする奉行V ERP。最後に佐野氏は「決算月など、繁忙期にはサポートセンターに大変助けられています。OBCのメンバーはスキルもコミュニケーション能力も高く、本当に頼りになる。今後も期待しています」と語った。
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企業情報
1965年12月に創業。国内だけでなく海外にも工場を擁し、食肉類(牛・豚・鶏・その他食肉)、加工品(ハム・ソーセージ・デリカテッセン)の製造および販売などを手がける。2016年4月1日、伊藤ハムグループとともに、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社を設立し、食品リーディングカンパニーとして、さらなる企業価値の向上を目指している。
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- 会社名
- 米久株式会社
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- 業種
- 製造業、小売業
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- エリア
- 静岡県沼津市
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- 従業員数
- 773名(2020年3月現在)