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[2025年1月・健康診断結果報告等の電子申請が義務化]健康診断結果をデータ管理するメリットや注意点を解説!

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企業には、労働安全衛生法により健康診断を実施・把握する義務があります。中でも、「一般健康診断」の診断結果は5年間保存することも義務づけられており、社員数が多い企業では紙での診断結果保存に辟易している担当者も多いのではないでしょうか。
実は、健康診断結果はデータ保存も認められています。2025年には健康診断の結果報告に電子申請が義務化されることもあり、今後ますますデータで管理する重要性が高まってくるでしょう。
そこで今回は、健康診断結果の保管方法について、データ化した場合のメリットや注意点、効率的な管理方法などについて解説します。

目次

健康診断に関する企業の義務範囲

雇入れ時健康診断や定期健康診断は、労働安全衛生規則第66条によって企業に実施が義務づけられています。対象となる従業員は正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトでも一定の条件を満たせば健康診断を受けさせなければなりません。
雇入れ時の健康診断は入社時に、定期健康診断は年に1回実施することになっており、実施する検査項目も次のように定められています。

出典:厚生労働省 PDF「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう

また、これらの健康診断の実施後は、「その結果を受診者全員に通知すること」「診断結果に基づき健康診断個人票を作成して5年保存すること」「健康診断結果を遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告すること」も企業に義務づけられています。特に、報告義務に違反すると、罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。
健康診断の結果、二次検査が必要になった場合の再検査については、受診するかの判断は本人に委ねられるため、二次検査の結果までは保存義務はありません。しかし、社員の健康管理は労働契約法によって企業に義務づけられているため、二次検査が必要な従業員へは受診を促し、その結果も管理するのが妥当でしょう。

なお、個人情報保護法では、病歴、身体障害、健康診断結果、診療録等(表)は“要配慮個人情報”になっており、その取得や第三者への提供は「あらかじめ本人の同意を得ること」が原則となっています。先述した基本11項目以外に健康診断や検査を受ける従業員がいた場合は、健康診断結果を保存する際、本人の同意が必要であることに注意しなければなりません。

※ 報告書の提出義務があるのは、「常時使用する労働者」を50人以上有する事業場のみです。事業場を1単位とするため、例えば50人に満たない支店・営業所等には報告義務はありません。ただし、報告義務がないだけで、健康診断自体は実施が義務づけられているため注意しましょう。

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これからの健康診断結果の保存方法は「データ保存」が基本に

健康診断結果の保存は、これまで紙で管理することが一般的でしたが、近年はデータ保存が進んでいます。その背景には、政府が主体となって“コラボヘルス”が進められていることが上げられます。コラボヘルスとは、労働者・事業者・健診機関・保険者で診断結果を共有し、労働者の健康維持増進を図りつつ、企業の生産性向上・経営改善・経済成長を目指すことです。
この一環として、厚生労働省でも健康・医療・介護施策としてデータの利活用を可能にする「データヘルス改革」が進められており、2023年からマイナンバーと連携させて、診断結果を電子データでいつでも見られる仕組みが整備されました。これにより、保険指導実施者や医師、患者本人も、経年データを確認できるようになります。また、居住地を移したり加入する保険組合を変えたりした場合でもデータの引継ぎが容易になり、時間や場所を問わずデータを活用した指導や診察が可能となります。

出典:厚生労働省 「40歳未満の事業主健診情報の活用に関する広報サイト

この仕組みの実現のため、現在は、自治体や健康保険組合も診断結果を電子化して提供するように求めています。2020年以降は、健康診断個人票や定期健康診断報告書等への医師等の押印・電子署名も不要になっており、健診結果の申請・管理もデータ化・ペーパーレス化しやすい環境が整っています。

さらに、2025年1月から一部の労働安全衛生関係の手続きに対して電子申請が義務化されることになり、定期健康診断の結果報告およびストレスチェックの結果等報告も原則、電子申請になります。

出典:厚生労働省 PDF「労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます

電子申請が困難な場合、従来の紙の「定期健康診断結果報告書」での提出も一定期間認められますが、あくまで一時的な措置となるため、今後は健康診断結果のデータ保存・管理が必然となるでしょう。

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業務担当者の視点で見る健康診断結果をデータ管理するメリット

健康診断結果をデータ管理すると、次のようなメリットが生まれます。

●管理業務の効率化ができる

健康診断結果を紙で管理すると、従業員への配付やファイリング・コピーなど保存業務が煩雑になりがちです。一般健診では5年間保存義務があるため、従業員が多いと物理的なスペースを確保するのも大変になるでしょう。また、産業医と面談するなどの場合、過去の健診結果を確認することがありますが、対象者の紙の健診結果を引っ張り出すのは手間にもなります。
データ管理ができれば、これらにかかる作業が不要となります。健康診断結果の提示が必要になった場合も瞬時に見つけやすくなり、担当者の検索作業の負担を軽減できます。

●紛失・流出のリスク対策ができる

健康診断結果は、要配慮個人情報に該当する情報も含まれます。紙で管理すると、資料の出し入れや保管場所の移動などによって、紛失や外部に流出する可能性があるため、取扱いには特に配慮が求められます。
診断結果をデータで管理すれば、アクセス制限を設定することでプライバシーの保護ができます。また、専用のシステムで管理すれば、システムのセキュリティ体制により紛失・流出のリスクを低減することも可能です。

●従業員への健康促進、健康経営に活用できる

健康診断結果をデータ管理すれば、様々な取り組みにデータを活用することで、健康経営を実現しやすくなります。
例えば、システムで管理する場合、データを自動集計する機能があれば、まだ健康診断履歴がない従業員をリストアップして、早めに受診を促すことができます。また、データが蓄積されることで経年変化も見える化できることから、従業員の変化にも気付きやすく、早めの対処も可能となります。産業医がシステムへのアクセス権限を持てば、連携もスムーズになるでしょう。
部署ごとの傾向などの把握にも活用でき、健康問題によるトラブルを防ぐとともに、予防を含めた健康づくりの支援にもつながります。

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健康診断結果のデータ管理で押さえておきたい3つのポイント

健康診断結果をデータ化して管理するには、次の点に注意が必要です。

① 手間なくデータ化する方法を検討する

多くの健康診断実施機関では、診断結果を紙で提供することが通例となっています。その理由は、「紙でしか対応できない」「受診者が少ない」「個人情報保護のため」など様々です。しかし近年は、受診期間を絞ったり、企業側の個人情報に関するコンプライアンスを伝えたりすることで、電子データで提供してもらえる機関も増えています。
実施機関から診断結果をデータで提供されれば、管理作業は一気にやりやすくなります。まずは、実施機関に健康診断結果をCSV形式等のデータで受け取れるかを確認してみましょう。
データで提供してもらうことが難しい場合は、自社でデータ化する必要があります。外部にデータ入力を委託する方法もありますが、どうしてもコスト面と個人情報の取り扱いに対するリスクが伴います。また、内製化するにしても、診断結果を見る上で専門知識が必要になり、医療機関によって異なるフォーマットを比較・分析しやすいように統一したフォーマットにまとめ直す手間が発生します。そのため、できるだけ手間なく、リスクの少ない方法でデータ化することを検討しましょう。
例えば、近年は書類をスキャンしてOCR処理することで、テキストデータにすることができます。この方法であれば、担当者はテキストデータの内容をチェックするだけで済むため、効率的にデータ化できるでしょう。

② 分析や履歴を活用しやすい管理方法を考える

健康診断結果データは、テキストやExcel、PDF、画像などでも管理できます。しかし、保管したデータを蓄積して比較・分析などに利活用することを考えれば、分析・閲覧しやすい状態で管理することが重要です。
市場には様々な健康管理システムが提供されていますが、総務人事奉行クラウドの場合、社員情報として年度別に健康診断履歴を管理できます。テキスト化されたデータを取り込めば、社員情報の健診タブで身長・体重などの結果をフォーマットに合わせて自動入力できます。また、健康診断票をファイルとしてアップロードして管理することも可能です。

また、個別の確認だけでなく、様々な軸で簡単に集計ができます。まだ受診していない従業員のリストアップも簡単に行えるうえ、「所見あり」の項目を入力しておけば該当する従業員だけを集計することもできます。

ストレスチェック結果や調査票にも対応し、API連携対応のストレスチェックシステムを利用していれば自動で結果情報を取り込めます。

③ 個人情報の保護、セキュリティ体制を整備する

健康診断結果のデータは、従業員の私的な情報を含むため、プライバシーの保護などに充分配慮しなければなりません。
特に、要配慮個人情報に該当する情報は、従業員の同意なく取得することや第三者に提供することが禁止されています。健診結果のデータ化を外部に委託する場合や、社内でのデータ化に健診結果を見られる役職以外の担当者が対応する場合は、従業員の同意を得て行う必要があります。
また、データ化した後も、故意・過失を問わず情報漏洩が起こらないよう、万全なセキュリティ体制が必要です。クラウドサービスで提供されているシステムで管理すれば、ベンダーのセキュリティ体制で守られるため、自社サーバーやパソコンのみで管理するより低コストで強靱な体制が整います。
例えば総務人事奉行クラウドの場合、アクセス権限を付与された担当者のみ閲覧可能に設定できるため、守秘義務も遵守でき、厳重な情報管理が可能です。

システム構造には世界トップレベルの堅牢なセキュリティを誇る「Microsoft Azure」を採用しており、暗号化やWAF設置、OBCiDなど、OBC独自の対策と合わせて盤石なセキュリティ体制を整えています。セキュリティに係る内部統制を対象とした「SOC2 Type2」報告書を取得し、金融情報システムセンター(FISC)が策定するFISC安全対策基準にも準拠しているため、重要な業務システム基盤として安心して利用できます。
※奉行クラウドのセキュリティについては、コラム「クラウドの安全性と情報漏洩リスクを奉行シリーズの対策から解説 」も参照ください。

総務人事奉行クラウド

健診結果のデータ管理はシステムを賢く活用しよう!

健診結果報告の電子申請義務化は、2025年1月1日以降の手続きからとなっていますが、すでに政府では準備が整っています。厚生労働省では、定期健康診断結果報告書が作成できる 入力支援サービスを提供しています。このサービスを利用すれば、入力エリアの先頭の項目から順に入力を行っていけば、報告書が完成するようになっています。

出典:「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス

個別に手入力することもできますが、ファイルを読み込んで自動入力することもでき、そのまま印刷して紙で提出することも、電子申請することも可能です。
マイナポータル連携などコラボヘルスが進めば、早晩「健康診断結果のデータ管理」が当たり前の時代となるでしょう。定期健康診断結果報告書の提出義務がある企業は、今のうちに健康診断結果のデータ化に取り組み、電子申請にも対応できる体制を整えておきましょう。

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