毎月発生する請求書の発行業務を効率化するため、今、多くの企業が「請求書の電子化」を進めています。
市場でも、数多くのクラウド型の請求書発行システムが提供されていますが、特徴や機能、料金形態など様々な特徴があり、どのシステムを選べばいいのか判断に困っている担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、クラウド請求書発行システムの導入メリットを解説するとともに、昨今市場で提供されているクラウドサービスのタイプや選定時の比較ポイントについてご紹介します。
目次
- クラウド請求書発行システムとは
- クラウド請求書発行システムがもたらす6つのメリット
- クラウド請求書発行システムのタイプ
- クラウド請求書発行システムを選ぶ際に押さえておきたい5つの比較ポイント
- おわりに
クラウド請求書発行システムとは
クラウド請求書発行システムは、クラウドサービスで提供される、請求書の作成から送付までを行うシステムのことです。請求書の発行業務がオンラインで完結でき、「Web請求書システム」「Web請求書発行ソフト」などとも呼ばれています。
業務のデジタル化が進む昨今、請求書を紙ではなく電子データで送付する企業が増えています。しかし、請求書のPDFデータをメール送信する方法は、発行件数が多いと作業量も膨大になり、送付ミスも起こりやすくなります。また、PDFデータをパスワード付きZIPファイルにしてメール送信しても、「セキュリティ対策としては脆弱」と問題視されています。(PPAP問題)
その点、クラウド請求書発行システムは、請求書の作成から送付、送付後の書類データの管理もクラウド上で一元管理できます。クラウドサービスのためテレワークなどにも活用でき、請求書の自動作成や自動送信機能など多彩な機能で、業務効率を大幅に向上できると期待されています。また、クラウドサービスを提供するベンダーのセキュリティ体制を利用できるため、自社でセキュリティ対策を講じる手間もありません。
請求書の発行業務は典型的な定型業務の1つですが、作成から送付まで手間がかかる業務でもあります。また、非常に重要でミスできない業務でもあり、「効率よく」「ミスなく」「安全に」請求書を作成・送付するクラウド請求書発行システムを導入する企業が相次いでいます。
クラウド請求書発行システムがもたらす6つのメリット
クラウド請求書発行システムを導入すると、請求書の発行業務において次のようなメリットがあります。
●請求書を簡単に作成できる
クラウド請求書発行システムは、販売管理システムなどと連携して、請求情報から請求書を作成することができます。販売管理システムなどで管理する取引先情報や品目等のデータを、請求書フォームに落とし込めるため、入力時間の短縮にもつながります。奉行Edge 発行請求書DXクラウドのように、あらゆる販売管理システムと連携できるシステムなら、自社の基幹システムがメーカー違いでも安心して利用できます。また、奉行Edge 発行請求書DXクラウドは、取引先から指定されたフォーマットに合わせる祭も、簡単にカスタマイズできます。
※奉行Edge 発行請求書DXクラウドの場合
●送付作業の手間を削減できる
取引先の了承を得られるなら、郵送よりも電子送付のほうが業務負担を大幅に軽減できます。
クラウド請求書発行システムを使えば、指定のメールアドレス宛にボタン1つで請求書を送信できるため、毎月大量に請求書を送付する場合では圧倒的に処理が早くなります。メール文も定型文が用意されており、その都度個別にメール文を作成する必要はありません。
請求データの確定からポストへ投函するまでの業務プロセスが1/6まで短縮でき、これを奉行Edge 発行請求書DXクラウドで試算すると、紙の請求書と比べて作業時間を年間約99%削減できる計算になります。
※奉行Edge 発行請求書DXクラウドの場合
●人的ミスを減らせる
請求書を大量に発行していると、誤入力や誤送付などの人的ミスが起こりやすくなります。
クラウド請求書発行システムは、販売管理システムなどと連携することで入力作業をなくすことができ、送付先のメールアドレスはあらかじめ登録するため、送り間違いのリスクも減らせます。万が一入力ミスがあっても、迅速に訂正・再発行が行えます。中には、毎月の自動送信機能や未請求件数の表示・入金予定の確認などができるものもあるため、こうしたシステムを活用すれば請求漏れも防げます。
例えば奉行Edge 発行請求書DXクラウドの場合、送信前に請求データ一覧と請求書PDFを確認でき、送信不可となる不備などが見つかった場合には警告メッセージも表示されるようになっています。
※奉行Edge 発行請求書DXクラウドの場合
●コスト削減になる
クラウド請求書発行システムの導入には初期費用や利用料が必要ですが、一度導入すれば請求書の発行業務は全てオンラインで完結するため、紙の請求書に必要な印刷・封入・郵送にかかる紙代・インク代・封筒代・郵送費などの費用は一切かかりません。紙の請求書の場合、発行件数が多いほど物理的コストも人件費も嵩むことから、長い目で見れば経費削減につながると言えます。
例えば奉行Edge 発行請求書DXクラウドで試算すると、次のようなケースでは郵送経費を年間40%・約22万円削減することができます。
※奉行Edge 発行請求書DXクラウドの導入効果の数値算出方法
請求書発行:月200件(締め2回)、業務担当者:1名、業務担当者の時給:1,800円、用紙代:2円/枚、印刷代:14円/枚、封筒代:17円/枚、郵送代:84円/通を想定しています。(OBC調べ)
●電子帳簿保存法・インボイス制度に簡単に対応できる
今後、請求書の発行業務においては、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が求められます。
電子帳簿保存法では、電子取引の保存要件ではデータの真実性を担保する措置に「発行側がタイムスタンプを付与する」ことが含まれています。あくまで選択肢の1つですが、取引先への配慮の観点だけでなく自社発行の真実性の担保としても有効な手段です。
また、インボイス制度では、インボイス(適格請求書)の記載要件に準じた請求書の発行が必要です。インボイスは控えの保存も義務づけられており、電子帳簿保存法により電子データで送付した請求書(電子取引)の控えは電子データでそのまま保存しなければなりません。
さらに、インボイス制度の開始とともに、デジタルインボイス「Peppol」も運用が開始されます。デジタルインボイスに関しては、取引先の要望がどの程度あるかによって必要性の有無が変わってきますが、将来的な可能性も含めて検討することが大切です。
市場で提供されているほぼ全てのクラウド請求書発行システムは、この2大改正に対応すると明言しており、システムを導入するだけで簡単に対応することができます。
もちろん、奉行Edge 発行請求書DXクラウドも、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しています。請求書のPDFデータにはタイムスタンプが自動付与されるため、取引先は受領したままで「データの真実性の担保」要件を満たすことができます。また、「インボイス」「返還インボイス」を発行することができ、請求書データはシステム上にデータとして登録し、電子取引として適正に保存・検索ができます。さらに、デジタルインボイス「Peppol」での発行にも標準対応します。
●万全なセキュリティ体制で情報漏洩を防止できる
クラウド請求書発行システムは、通信の暗号化や請求データの閲覧権限の設定など、クラウドサービスごとにセキュリティ対策が施されており、メールに請求書を直接添付するよりも情報漏洩のリスクを減らすことができます。
例えば奉行Edge 発行請求書DXクラウドでは、世界トップレベルのセキュリティを誇るマイクロソフト社の「Microsoft Azure」で24時間365日監視・運用しています。奉行クラウドEdgeへの通信およびデータセンター間の通信など、あらゆる通信をSSLで保護しており、データは全て暗号化され、他のユーザーのデータとは隔離された状態で安全に保管されます。また、財務報告に係る内部統制を対象とした「SOC1 Type2」報告書※1、セキュリティに係る内部統制を対象とした「SOC2 Type2」報告書※2を取得しており、独立した第三者監査人により安心して利用できることが証明されています。
※:アウトソーシング事業者が委託されている業務のうち、委託会社の財務報告に係る内部統制の適切性・有効性を対象とした保証報告書
※2:ある一定期間におけるクラウドサービス会社のセキュリティの内部統制を評価する保証報告書
クラウド請求書発行システムのタイプ
請求書の発行業務には、発行前後にも重要な業務が多くあります。そのため、クラウド請求書発行システムはベンダーごとに多種多様な機能が搭載されています。一見、いろいろなタイプがあるように見えますが、基本的な機能は次の①・②で、最近は③も標準搭載しているものが増えています。
<基本搭載機能>
- 請求書作成
会計ソフトや販売管理システム、CRM、SFAなどの周辺システムと連携し、請求データから請求書を自動作成するのが基本ですが、中には請求情報を直接入力できるシステムもあります。
請求書フォームも、多くのシステムで複数の印刷テンプレートが用意されています。また、カスタマイズできるものもあります。 - 請求書送付
基本的に電子データで送付しますが、中には郵送代行を行うものもあります。紙の請求書を必要とする企業向けには郵送代行ができると便利です。またデータを送付する方法には、電子メールだけでなくWeb上からダウンロードやFAX送信などがあり、ベンダーによって異なります。
その他、日時を指定し自動送信するなど、送付作業を効率化する機能を搭載したものもあります。 - 入金管理
銀行口座から入金データを取り込み、自動で入金消込を行います。中には、未入金に対して督促をする機能を持つものもあります。単独で債権管理機能を持つものから、債権管理システム等と連携するタイプなどがあります。
これらの機能を業務の対応範囲に当てはめると、次のように4つのタイプに分けることができます。
<クラウド請求書発行システム・4つのタイプ>
- A:請求書の作成・送付に特化したタイプ
- B:システム上で口座連携し入金確認までできるタイプ
- C:システム上で入金確認・消込・未払催促業務に対応できるタイプ
- D:販売管理システムなどと連携して入金管理業務までを行うタイプ
タイプAやタイプBは、最低限の機能にはなるものの会計システムとの連携は標準化されており、無償で利用できるものもあるため、必要な機能を安く利用したい個人事業主・小規模企業や、毎月の発行件数が比較的少ない企業におすすめです。また、タイプAには送付・受領の両方に対応するものもあり、通信手段として導入を考えるならこのようなタイプもよいでしょう。
タイプC・タイプDは、入金管理業務までサポートするもので、「大量の請求書をスピーディーに作成・送付したい」「請求にかかわる業務全般を効率化したい」という企業に向いています。この2つの違いは、タイプCがクラウド請求書発行システムだけで業務を完結させるのに対し、タイプDは債権管理システムと連携させて業務を自動化します。現状、入金管理・消込業務をExcel等で管理している場合は、入金管理・消込機能まで搭載したタイプCがおすすめですが、すでに債権管理システムを利用している場合は、自社システムと連携できるタイプDのほうがおすすめです。
ただし、先述したように、ベンダーによって多種多様な機能が搭載されています。稼働してから「欲しい機能がなかった」ということにならないよう、選定時は次のような違いもしっかり確認しておくことが肝心です。
- 作成できる帳簿の違い
請求書のみか、納品書・見積書・領収書などその他の帳票も作成できるか/li> - 入力方法の違い
販売管理システムからの取り込みか、直接入力も可能か - 送付方法の違い
ダウンロード・メール添付のみか、郵送代行・FAX送信など別の方法もあるか - 帳票デザインの違い
提供するテンプレートのみか、テンプレートのアレンジが可能か、オリジナル作成できるか - 承認フローの有無
- 導入支援の有無
導入支援がある場合は、有償サービスか、無償サービスか
特に、システムの初期設定は利用者側が行うケースが多く、設定中に不明点があった場合にどのような支援を受けられるかは非常に大事です。また、利用中のサポートも、ベンダーによって手段や回数、支援してもらえる内容が異なるため、導入支援については入念にチェックすることをオススメします。
クラウド請求書発行システムを選ぶ際に押さえておきたい
5つの比較ポイント
自社の運用にあったクラウド請求書発行システムを選ぶには、まず先述した4タイプのうち自社に必要なタイプで絞り込み、その上で次のようなポイントを比較しながら検討しましょう。
1 自社の販売管理システムや債権管理システムとどう連携するか
販売管理システムなどと連携して請求書を自動作成する際、既存のシステムとの連携方法は意外と重要です。CSV連携の場合、システムに取り込む際に手作業が発生します。より手間を省くなら、API連携など自動連携できる方法を選ぶのが肝心です。
奉行Edge 発行請求書DXクラウドでは、請求書印刷時に「Microsoft Print to PDF」のドライバーを選択してPDFを作成すれば、どんな販売管理システムでも自動連携できるため、現有の販売管理システムをリプレースしなくても請求書を電子発行できます。指定スケジュール設定や取引先マスタを同期することも可能です。
また、債権管理システムと連携するタイプDで検討する場合も、自社の債権管理システムとAPI連携など自動連携できれば、入金管理業務まで効果的に効率化できます。
例えば、奉行Edge 発行請求書DXクラウドは、債権奉行クラウドと自動連携して、作成された請求データを使って入金管理・債権管理まで業務を完全自動化することができます。
2 自社の月間・年間発行件数に適した利用プランがあるか
クラウド請求書発行システムは、基本的に発行件数によって利用プランが設定されているため、企業規模ではなく毎月の発行件数に合わせて選ぶことになります。市場には、無料で請求書を作成・送付できるものもありますが、毎月の発行件数の上限が概ね月50件以下となっているため、安易にコストだけで選ぶと対応できない可能性があります。システム選定の際には、事前に1ヶ月あたりの発行件数を把握し、対応できる利用プランを選びましょう。
例えば奉行Edge 発行請求書DXクラウドの場合、年間600件以上の発行に対応しており、年間契約で1ヶ月あたりの発行件数に応じたプランをご用意しています。( 詳細はこちらからお問い合わせください)
3 取引先に合わせた方法で発行できるか
クラウド請求書発行システムの中には、郵送代行やFAX送信など代替サービスを提供しているものもあります。全ての取引先に対して電子発行できればよいですが、紙の請求書を希望される取引先がいる場合には、このような代替サービスがあるかもチェックすることが重要です。
奉行Edge 発行請求書DXクラウドは、PDFのダウンロード専用URLをメール送信する方法を標準とし、郵送代行オプションサービスが利用できます。ダウンロード専用URLは、取引先ごとに専用サイトを設ける形になるため、取引先はいつでもダウンロードでき、過去の請求書の確認・再発行も可能です。また、紙の請求書を希望する取引先へは、システム上から簡単に郵送依頼ができるため、社内を完全ペーパーレス化しながら紙の請求書が必要な取引先にも対応できる体制が整います。
4 導入・運用のサポート体制が充実しているか
システム選びでは、サポート体制の充実度を比較検討することも重要です。メールやチャット、オンライン、電話などの通信方法や、回答の回数制限、返信にかかる時間、有償・無償の範囲など、サポート内容はベンダーによって異なるため、自社にとって利用しやすいかどうかも確認しましょう。
クラウド請求書発行システムの多くは、ユーザーが初期設定を行うため、「初期設定中の伴走サポートがあるか」はITに不慣れな担当者にとって重要な選定基準になるでしょう。
例えば、奉行Edge 発行請求書DXクラウドでは、初期設定から本稼働まで丁寧に解説した動画「導入完全ガイド」を標準提供しています。
運用上の相談にも、チャットボットやヘルプセンター(Web)で案内するほか、サポートセンターによるリモートサポート、Webオンライン、電話、FAXなどで個別対応するほか、利用者専用のコミュニティサイト「まなぼ〜ど」でも相談できます。
<コミュニティサイト「まなぼ〜ど」での相談例>
5 請求書以外の帳票を電子発行したい場合に対応するか
クラウド請求書発行システムには、請求書以外にも納品書や見積書など、その他の帳票を電子発行できるものもあります。ベンダーによって対応する書類が異なるため、取引先からどのような帳票の電子化が求められているかを整理し、ニーズによって必要な書類が電子発行できるタイプを選びましょう。
おわりに
クラウド請求書発行システムは、ベンダーごとに特徴は様々です。まずは、今回ご紹介した4つのタイプから自動化したい業務範囲でタイプを絞り、じっくり機能や使い勝手を比較して選ぶことが重要です。 市場で提供されているクラウド請求書発行システムの中には、無料トライアルや、奉行Edge 発行請求書DXクラウドのようにデモ画面を確認できるなど、導入前に体験サポートを設けているものもあります。こうした体験サポートを利用しながら、自社に合ったクラウド請求書発行システムを比較検討してみてはいかがでしょうか。
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