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所得税とは?源泉所得税の計算方法や税率をわかりやすく解説

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給与などの所得に対して課税される所得税。しかし、企業に勤める従業員は、みずから所得税を納めることはありません。従業員の給与から企業が所得税を差し引いて徴収し、本人に代わって国に納付します。そのため、企業は正しく所得税を計算することが求められるのです。
この記事では、所得税の概要と計算方法についてわかりやすく解説します。

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目次

所得に対して課税される所得税

所得税とはどのような税金なのでしょうか。所得の種類のほか、源泉所得税と年末調整についても見てみましょう。

所得税は所得の種類によって計算方法が変わる

所得税とは、所得に課税される税金です。所得税法では、所得を下記の10種類に分類しており、所得の種類によって計算方法が変わります。給与所得は、企業などからもらう給与や賞与、役員報酬などの所得です。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

所得税は、その年の1月1日から12月31日までの所得に対し、所得控除を行った上で課税されます。また、所得税には所得が増えるほど税率が高くなる超過累進税率が採用されており、税率は一律ではありません。所得の少ない人に比べて、所得の多い人はより多くの所得税を支払う仕組みになっています。

申告所得税と源泉所得税

所得税の種類としては、申告所得税と源泉所得税があります。本来、所得税は確定申告でみずから申告して納付するもので、これが申告所得税です。しかし、企業に勤める従業員の場合、企業があらかじめ給与から所得税を天引きし、本人に代わって国に納付します。これが源泉所得税で、企業は源泉徴収義務者として徴収した源泉所得税を所轄の税務署に納付しなければなりません。
なお、天引きした源泉徴収税を払いすぎていたり、少なかったりした場合は、年末調整で処理を行います。払いすぎていた場合は、その分の金額が還付されます。

年末調整については、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
年末調整とは?対象者・確定申告との違い・効率的な手続きのしかたなどを徹底解説

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所得税の計算方法

所得税は、所得の種類によって計算方法が異なります。ここからは、給与所得における所得税の計算方法を説明しましょう。
所得税の額は、下記の計算式で求められます。

所得税額=課税所得金額×所得税率-控除額

まず、収入から給与所得控除や生命保険料控除などを引くことで課税所得金額を求めます。そこに所得税率をかけた上で、所定の控除額を引くことで求められます。では、具体的にどのように計算していくかを見てみましょう。

1. 給与所得を計算する

まずは、給与所得を計算します。給与所得とは、企業などからもらう給与や賞与、役員報酬などの収入から、給与所得控除額を引いたものです。
自営業者などの事業所得者であれば、収入金額から必要経費を引いた額が所得額ですが、給与所得者は必要経費の代わりに給与所得控除額を引くことになっています。給与所得控除額は、収入金額によって下記のように定められています。

■給与所得控除額の計算方法
国税庁「No.1410 給与所得控除」

出典:国税庁「No.1410 給与所得控除

例えば、給与収入が500万円の場合、給与所得控除額は下記の計算式で求められます。

500万円×20%+44万円=144万円

給与所得は、給与収入の500万円から給与所得控除額144万円を引くことで求められ、356万円となります。

給与所得控除については、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
<年末調整の基礎知識> 給与所得控除とは?所得控除との違いや控除額の計算方法をわかりやすく解説

2. 課税所得金額を計算する

給与所得を求めたら、そこから課税所得金額を計算します。課税所得金額とは、給与所得からさまざまな所得控除額を引いたものです。所得控除には、基礎控除や配偶者控除、医療費控除、生命保険料控除などがありますが、ここでは基礎控除の控除額について紹介します。

■基礎控除の求め方
国税庁「No.1199 基礎控除」

出典:国税庁「No.1199 基礎控除

給与収入が500万円だった場合の給与所得は356万円で、基礎控除は48万円です。ほかにもさまざまな控除がありますが、基礎控除のみと仮定した場合の課税所得金額は308万円になります。

3. 所得税額を計算する

課税所得金額が求められたら、所得税額を計算します。所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる超過累進税率で計算され、超過累進税率は7段階に区分されています。課税所得金額が決まれば、下記のとおり所得税の速算表から簡単に計算できます。

■所得税の速算表
国税庁「No.2260 所得税の税率」

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率

課税所得金額が308万円だった場合は税率が10%なので、308万円に10%をかけて、控除額の9万7,500円を引いた額が所得税額となります。計算式は下記のとおりです。

308万円×10%-9万7,500円=21万500円

2037年まで復興特別所得税が徴収される

2037年までは、源泉所得税と合わせて復興特別所得税が徴収されることになっています。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源確保のために課税される税金です。
復興特別所得税の税額は、所得税額の2.1%となります。所得税が21万500円だった場合の復興特別所得税額は4,420円(1円未満切り捨て)です。

源泉所得税とは

給与所得者は、月々の給与や賞与から所得税が源泉徴収されています。これを源泉所得税と呼びます。源泉所得税と申告所得税の違いや、源泉所得税の算出方法について解説します。

申告所得税と源泉所得税

所得税には、申告所得税と源泉所得税の2種類があります。申告所得税とは、確定申告によって納税者本人が申告し、納める所得税です。しかし、企業に雇用されている人は、給与から所得税が天引きされます。この場合、税額は納税者本人ではなく、企業が給与額をもとに計算します。これが源泉所得税です。

給与などを支払う法人や個人は、源泉徴収義務者として、給与などから徴収した源泉所得税を取りまとめて所轄の税務署に納付します。ただし、所得税はあくまでも年間の所得に対してかかる税金です。月々の給与額や賞与額から算出した金額とは、ずれが生じる場合もあるでしょう。こうしたずれは、年末調整によって差し引きされ、払いすぎていた場合は還付され、足りなかった場合は追加で徴収されます。

年末調整については、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
年末調整とは?対象者・確定申告との違い・効率的な手続きのしかたなどを徹底解説

源泉徴収税額表の見方

月々の給与から源泉徴収する所得税の金額は、「給与所得の源泉徴収税額表」に記されています。

給与所得の源泉徴収税額表
出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分)

給与支給額からその月の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料)を引いた後、税額表で扶養親族等の数に応じた源泉所得税額を確認してください。なお、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出していない従業員は、「乙」欄を参照して源泉徴収税額を確認します。

例)

残業代を含む給与支給総額(非課税通勤費を含めない)から社会保険料を引いた金額が21万5,000円だった従業員(扶養親族0人)の源泉所得税額は、5,340円です。

なお、給与計算ソフトで源泉徴収税額を計算する場合は、月額表の甲欄を適用する給与に限り、税額表とは異なる計算式を利用することが認められています。そのため、給与計算ソフトの計算結果と上記の税額表は一致しない場合があります。差異があったとしても年末調整で調整されるため、問題ありません。

賞与の源泉徴収税額

賞与にかかる源泉徴収税額は、下記の手順で求めます。

<賞与に対する源泉徴収税額の求め方>

  1. 賞与支給月の前月の給与から社会保険料等を差し引く
  2. 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に、「1」の金額と扶養親族の人数をあてはめて税率を確認する
  3. 賞与の支給額から、賞与にかかる社会保険料を差し引く
  4. 「3」に「2」の税率を掛けて源泉徴収税額を算出する
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
出典:国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

例)

6月の給与支給額から社会保険料を差し引いた金額が21万5,000円だった従業員(扶養親族0人)の場合、賞与にかかる源泉徴収税率は4.084%です。賞与から社会保険料を差し引いた金額に4.084%を掛けることで、源泉徴収税額を求められます。

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)の記入方法と納付方法

給与や賞与、退職金などから源泉徴収した所得税は、原則として給与などの支払い月の翌月10日までに納付します。納税額に「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を添えて、最寄りの金融機関または所轄の税務署窓口に提出しましょう。

徴収高計算書
出典:国税庁「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)の様式及び記載要領

「年度」欄には数字のみを記載します。令和5年であれば「05」と書いてください。整理番号は、事業所ごとに指定されている番号です。
税額は、「給与」「賞与」「退職手当」といった項目別に、支給人数と支給額、徴収税額の合計をそれぞれ記載します。支払年月日欄には、実際に支給した日を書きましょう。給与支払日が月に2回以上あった場合は、最後に支払った日です。

ただし、従業員が常に10人未満の企業は、毎月納付ではなく年2回の納付にできる特例制度を利用できます。特例を利用する場合の納付期限は、1月から6月の給与や賞与に対する源泉所得税が7月10日、7月から12月の源泉所得税が翌年1月10日です。希望する場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署に提出してください。

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給与計算を自動化・省力化できる「給与奉行クラウド」がおすすめ

所得税を求めるには、さまざまな控除や複雑な計算が必要になり、非常に煩雑な作業です。給与計算を行う担当者には、正しく計算することが求められます。
所得税はもちろん、社会保険料、残業手当などの計算を完全自動化できる「給与奉行クラウド」であれば、給与関連の作業が正確になるだけでなく、作業効率もアップします。年末調整の自動計算も標準仕様で利用できますので、ぜひご検討ください。

よくあるご質問

所得税ってどんな税金?
所得税は、1月1日から12月31日まで、1年間の所得に対してかかる税金です。所得は、所得税法によって10種類に分類されており、事業主が従業員に対して支払う給与や賞与は「給与所得」、退職金は「退職所得」に該当します。
所得税は通常、納税者本人が申告と納税をします。しかし、給与所得の所得税は、事業主が給与や賞与から源泉徴収して納付するため、本人の申告はありません(一部のケースを除く)。年間の所得額から算出される正確な所得税額との差は、年末調整で調整します。
給与所得にかかる所得税の計算方法は?
給与所得の所得税は、下記のステップで計算します。

<給与所得に対する所得税の計算方法>

  1. 1月1日から12月31日に支給された給与と賞与の額を合計する
  2. 1.から給与収入額に応じて決まる「給与所得控除額」を引く
  3. 2.から所得控除の額を引く
  4. 3.の金額を「所得税の速算表」にあてはめて税額を計算する
  5. 4.の金額から税額控除の額を引いて所得税額を求める
  6. 5.の金額に復興所得税率2.1%を掛ける(2037年まで)
  7. 5.と6.の税額を足す
源泉所得税はどうやって納付する?
源泉所得税は「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、最寄りの金融機関または所轄の税務署で納付します。納期限は、原則として給与や賞与を支払った月の翌月10日です。
ただし、従業員が10人以下の事業所は、源泉所得税の納期の特例を利用できます。特例の承認を受けている事業主は、毎年7月10日と1月10日に、半年分の源泉所得税をまとめて納付します。
石割 由紀人

■監修者
石割 由紀人

公認会計士・税理士、資本政策コンサルタント。PwC監査法人・税理士法人にて監査、株式上場支援、税務業務に従事し、外資系通信スタートアップのCFOや、大手ベンチャーキャピタルの会社役員などを経て、スタートアップ支援に特化した「Gemstone税理士法人」を設立し、運営している。

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