
IPO Forum~IPO審査最前線、審査する側・される側、双方の視点で語る~-IPO Forum 2025/2/21-
IPOを目指される企業にとって「中期経営計画」はIPOの魂といっても過言ではないと思います。上場されたあと「イヤー、想いは達成できると思っていたんだけどね…」は通用しません。上場後大幅な業績の下方修正を行った企業の中には、株価が低迷し、投資家からは嘘つきと呼ばれ、従業員は優秀な人材から辞めていく等の非常事態へ転落したケースも散見されます。最近の上場審査においても「中期経営計画の確からしさ」が担保できずに審査をクリアできなかった事例もでてきています。
上場準備で行う中期経営計画の策定業務は取引所の審査をクリアするためのものではなく、上場後社長が自信をもって中期ビジョンを実践するための練習だと思ってください!マザーズ市場に上場し、成長された社長の多くが「経営計画の統制に自信がでた!」とコメントされています。私どもプロの見解としては、上場準備でどこまで予算統制制度を会社のものとできるかでその後の成長スピードも変化すると考えています。
さて、少し実務的な話しとなりますが、中期経営計画の策定にあたっては2つの大きな要素があります。
(1)ここがPOINT
中期経営計画の審査は過去、現在から未来の合理性を導き出す!
(2)解説:合理性のない経営計画はNG
多くの企業が企業成長を新規事業に求めます。しかしながら上場審査においては、根拠のない経営計画は認められません。過去どのような契機でどのように事業が大きくなってきたかを基軸に現在のビジネスモデルや課題に未来の計画を照らし合わせて経営計画の合理性を審査します。新しいことにネガティブなわけではありません。新規事業を計画に織り込んでいるのであれば、その実績や根拠がみたいということです。この確認は主幹事証券会社のご担当により毎月実施されます。予定されていないM&Aなども同様です。上場後の資金使途にM&Aを対象とできないのも実現可能性の観点からです。
(1)ここがPOINT
予算統制は上場審査の中で、最も重要な要素!
(2)解説:高すぎる予算はNG
多くの企業では予算統制の手法として「高めの予算」の設定を行い、各営業担当にストレスをかけていきます。実際の達成はうまくいけば100%を超えますが多くのパタ―ンでは90%位にとどまります。このような考え方が、上場審査ではNGとなります。もちろん上振れだったら良いというわけではありませんが、少なくとも予算が下振れしている状況では上場審査をクリアすることは難しくなります。
また、社内予算と外部予算の2重統制を取られるケースもありますが、きっちりと管理ができれば良いのですが、なかなか難しいのも現実です。また、●●部門は対予算達成率90%で▲▲部門では120%で全体として100%をキープしたような場合も、各部門の予算と実績の差異について相当な確認が行われます。