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連結精算表を簡単&効率的に作る方法とは?Excelでの課題を解決するシステムの見極め方も紹介

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連結財務諸表は、グループ全体の経営状況を知るためにも欠かせない重要書類です。しかし、その作成過程は専門知識が求められる難しい実務と言われており、苦手意識を持っている担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、連結会計で使用する連結精算表に焦点を当て、Excelで作成する際の課題やシステム化する際のポイントなどを解説します。

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目次

連結精算表とは

連結精算表は、連結財務諸表を作成する際に使用するワークシートです。連結決算では、親会社がグループ個社の個別財務諸表を収集し、グループ全体の収支を連結財務諸表にまとめます。連結精算表は、その一連の流れで発生する合算から連結消去・集計仕訳までを行う際に用います。

一般的な連結精算表は、下記のように縦軸に勘定科目、横軸にグループ個社の個別財務諸表、単純合算、連結修正と並んでいます。各社の情報を一覧できるほか、連結に必要な全ての調整仕訳も確認でき、項目ごとに確認しながら右方向へ計算を進めれば、最右端の列に連結財務諸表の数値が表示されるようになっています。

※ 簿記学習では、横軸の各列に「借方・貸方」が表示されますが、実務では「借方・貸方」を分けずに設定することもあります。

連結精算表の役割は、連結財務諸表を作成するだけに留まりません。例えば、単純合算した金額からどのような調整を経て最終的に連結財務諸表として開示される金額に調整されたのか、連結調整の状態が一目瞭然となります。また、縦に見ていけば、「各調整項目でどのくらい資産・負債や損益が動いたのか」など、調整項目ごとの連結財務諸表への影響額を把握することができます。
このように、連結決算の全体像を網羅的に把握することができることから、連結精算表だけでもグループ全体の経営資料として役立ちます。

※ 管理連結については、コラム「管理連結とは?制度連結との違いや業務負担を軽減する方法を紹介 」を参照ください。

連結精算表を使った連結財務諸表作成の流れ

連結財務諸表を作成するためには、日常の経理業務とは異なり、「合算」と「消去」の2つの作業が必要になります。

「合算」とは、グループ個社の個別財務諸表を取りまとめることです。個別財務諸表は、グループ個社ごとに日々の取引を仕訳帳に記入、総勘定元帳に転記し、会計期間ごとに区切って作成されています。合算では、全ての子会社・関連会社の個別財務諸表と親会社の個別財務諸表を合計(単純合算)し、連結財務諸表の基本となる情報として取りまとめます。
しかし、もととなる個別財務諸表では、親会社の子会社への資本投資や子会社等との内部取引などに対する連結消去・修正仕訳は行われていないため、合算後に相殺消去する必要があります。そこで、連結精算表が活躍します。

連結精算表を使った大まかな作業の流れは、次のようになります。

  1. ① 個別財務諸表を書き出す
  2. ② 親会社を含めた各社の金額を合算し、「単純合算」欄に記入する
  3. ③ 連結消去・修正仕訳の内容に従い、「消去」「修正」各欄に入力する
  4. ④ 損益計算書項目の「当期純利益」に合計金額を記入し、損益計算書を完成させる
  5. ⑤ 株主資本等変動計算書(利益剰余金)の利益剰余金期末残高に「当期純利益」を転記する
  6. ⑥ 貸借対照表の利益剰余金に利益剰余金期末残高を記入し、資産合計・負債純資産合計を記入して、貸借対照表を完成させる

一見簡単そうに見えますが、各段階では様々な調整作業を行う必要があります。例えば、②の単純合算の前には、グループ個社との会計処理の統一を行う必要があります。これは、会計処理の手続きに必要な項目がグループ内で統一されていないことで、連結決算時に手違いや認識違いなどが発生するのを防ぐためです。 また合算前には、個別財務諸表について次の項目が一致しているかなど、整合性の確認も必要です。

  • 貸借対照表の資産合計と負債純資産合計
  • 損益計算書の当期純利益と、株主資本等変動計算書(利益剰余金)の利益剰余金期末残高
  • 株主資本等変動計算書(利益剰余金)の利益剰余金期末残高と、貸借対照表の利益剰余金

など

特に、海外に子会社がある場合は、外貨建てで試算表を作成されていることがほとんどのため、日本円ベースに換算替えした試算表を作成してから合算しなければなりません。このように、「合算」にはその前の調整業務も意外と多いのです。
また、③連結消去・修正仕訳では、主に次のような調整を行うため、専門知識がないと作業を進めるのも困難になります。

グループ内に決算期が親会社と異なる子会社がある場合、どの程度のズレが発生しているかによっては、「仮決算」を行った上で合算し、連結消去・修正仕訳を行う必要もあります。
これらのことからも分かるように、連結財務諸表は「連結精算表を使えば簡単に作成できる」という物ではなく、連結決算の基本を熟知していることが前提となります。「連結決算業務が苦手」という経理担当者が多いのは、こうした専門知識を要する点も起因していると思われます。

※ 連結決算についての詳細は、コラム「連結決算とは?対象範囲から業務の流れ、効率的な進め方までわかりやすく解説 」を参照ください。

Excelの連結精算表を使用する際のメリット・デメリット

経理業務でExcelを活用するのは、もはや一般化しており、連結財務諸表を作成する場合もExcelの連結精算表を使用している企業は多いことでしょう。実際、インターネット上ではExcelの連結精算表フォーマットが数多く提供されています。
Excelの連結精算表なら、追加の費用をかけずに連結精算表を作成でき、テンプレートを自社用にカスタマイズしやすいため、自社に必要な情報に合わせて使用することができます。しかし、Excelの連結精算表にはデメリットが多いのも事実です。
例えば、Excelの連結精算表で実務を進める際、次のような課題が挙げられます。

●作業に時間がかかりやすい

グループに属する個社数が多くなればなるほど、Excelに入力するデータ量が増えるため、個別財務諸表の入力だけで相当の時間がかかり、使いにくさを感じることがあります。個別財務諸表を取り込む前に、グループ全社のマスターを手作業で揃える必要もあるため、なかなかExcelで作業を進められないということも起こりやすくなります。

●人的ミスが起こりやすい

データ入力や修正は “手作業”が基本となるため、コードの変換ミスや二重計上など人的ミスが発生しやすくなります。「連結精算表で連結作業過程が一覧できる」とはいえ、そのミスがどのタイミングで判明するかによっては、誤り箇所の洗い出しに時間がかかることもあるでしょう。
Excelの連結精算表をカスタマイズすると、設定されている関数にずれが生じると連結に必要な調整が適切に行えないこともあります。Excelの連結精算表は、事務的に連結精算表を埋めていけば数値は算出されますが、適正な数値になっているかをしっかり確認することも重要になってくるため、連結決算業務に慣れていないと事務負担も大きくなる一方でしょう。

●専門知識を持つ人材の確保が必須

連結財務諸表の作成後には内部監査や会計監査人による監査も控えており、杜撰なやり方では会計監査人や内部監査人に不安に思わる可能性も否めません。特に、Excelの連結精算表で数値の正確性も管理するには、専門知識を有する経理担当者の知見が必須となります。

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では、連結精算表をシステムで作成する場合はどうでしょうか。
市場では、連結会計システムや連結パッケージなどが提供されていますが、これらのシステムで行えば、連結修正仕訳などの作業が自動化され、手作業のミスを減らすことができます。個社データが大量の場合も迅速に処理できるため、連結決算の初心者も簡単に業務をこなせるでしょう。
連結精算表をシステムで作成するだけで、Excelによる業務課題が飛躍的に改善されることが期待できます。

ただし、いくつか注意点もあります。
連結会計システムの場合、導入費用が一般的な会計システムよりも高額になり、運用・保守にもコストがかかります。操作も複雑なものが多く、経理担当者が使いこなせるようになるには時間がかかる恐れもあります。また、子会社・関連会社情報はExcelやCSVデータでインポートして取り込むタイプが一般的で、連携するにあたって手作業がなくなることはありません。親会社と異なる勘定科目を使用している場合は、会計処理の統一を行ってから合算する必要があり、ここでも手作業での処理が発生します。
連結パッケージの場合は、子会社・関連会社の経理担当者との連携も重要になります。フォーマットに沿って入力してもらうため、子会社・関連会社の経理担当者も連結決算に関する専門知識が求められることになり、子会社・関連会社に負担を強いる可能性もあります。

連結決算にシステムを活用する場合は、「子会社・関連会社に負担をかけずデータを収集できるか」「合算から連結修正までの業務で手作業がどのくらい残るか」という点をしっかり確認することが肝心です。

例えば奉行V ERPクラウドGroup Management Modelは、SaaS型で提供しているERPシステムで、グループ全体でプラットフォームを簡単に統一することができます。親会社は、Excelや連結パッケージを使うことなくグループ個社の会計データを単純合算でき、連結修正、連結財務諸表の作成まで、簡単な操作であっという間に処理できます。また、任意のタイミングでいつでもクループ全体の実態を把握することが可能です。

※ 連結財務諸表を完成させるには、連結会計システムとの連携が必要です。

グループ個社が親会社と勘定科目が異なる場合は、名称の一部一致で自動マッピングするため、勘定科目の組替作業をする必要がなくなります。グループ個社の決算期が親会社と異なる場合(期ずれ)や月中締めの法人を合算する場合も、任意に合算対象月を設定することができるため、わざわざ「仮決算」を行う必要はありません。
連結精算表も高い精度で作成でき、グループ個社の個別財務諸表の金額や合算後の金額、連結仕訳ごとに集計した金額を一覧形式で確認することが可能です。 ※連結精算表は今後搭載予定です。

連結会計では開示制度や会計基準が頻繁に変わるため、つねに最新の制度情報を把握しておく必要もありますが、奉行V ERPクラウドGroup Management Modelのようにクラウド型なら、自動でプログラムがアップデートされるため、つねに最新基準で管理することができます。

また、システムを選ぶ際は、内部統制に対応することも重要になります。連結財務諸表は、提出前に会計監査をクリアする必要があるため、次の4つの要件を満たすシステムを選ぶことが肝心です。

●システムに求められる内部統制要件

  • IT業務処理統制(アプリケーション統制)
  • IT全般統制(業務処理統制における運用、プログラムやデータへのアクセスなど)
  • 防止的統制(入力ミスなどを未然に防ぐためのロック機能や、IT全般統制の中のアカウントやIDによってアクセス自体を制限するなど)
  • 発見的統制(ログ管理など)

奉行V ERPクラウドGroup Management Modelなら4つの要件全てに標準対応しており、各監査法人のチェックを受けて開発された監査に貢献する機能が搭載されているため、会計監査の際も安心です。

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おわりに

連結財務諸表を作成するには、ただ個別財務諸表を合算するだけでなく、連結消去・修正を適切に行う必要があります。連結財務諸表は一覧で作業内容が把握できるため、ミスを遡って確認・検証しやすい特徴もありますが、そもそも合算する前からミスが起こりにくい仕組みにしておくことも肝心です。
奉行V ERPクラウドGroup Management Modelのように、子会社・関連会社と決算期や勘定科目が異なっても、最小限の手作業でデータを調整することができれば、連結決算業務の負担をかなり軽減することができます。グループ全体の経営管理を目的とする“管理連結”にも着手しやすく、経営層の求めに応じて月次レポート業務も負担なく行えます。

連結決算業務の混乱と遅延を防ぐためにも、親会社・子会社・関連会社ともに連結決算業務への負担が少ないシステムで、グループ全体のさらなる発展につなげましょう。

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