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CAPEXとOPEXの違いとは?
管理・削減の方法やOPEX化のポイントを解説

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CAPEXとOPEXは、どちらも企業会計の支出を意味する言葉です。ただし、CAPEXとOPEXでは、会計上の扱いや税金のかかり方などが異なります。
CAPEXとOPEXの定義を理解し、適切に管理することで、キャッシュ・フローを健全に保ちやすくなるでしょう。また、CAPEXとOPEXの特徴を知れば、経費の適切な削減方法も見えてきます。

本記事では、CAPEXとOPEXの定義や経理・会計上の違い、コスト削減を考えるときのポイントに加え、近年注目を集めているCAPEXのOPEX化について解説します。CAPEXとOPEXの適正化を図る際の参考にしてください。

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目次

CAPEXとOPEXの定義

CAPEXとOPEXは、どちらも企業会計の支出を示す言葉です。それぞれどのような支出が該当するのか、定義を見ていきましょう。

CAPEX:資本的支出

CAPEX(キャペックス)は、Capital Expenditureの略称です。Capitalは資本、Expenditureは支出という意味で、「資本的支出」と訳されます。
CAPEXは、企業が保有する資産の価値を維持・向上させる目的で支出される費用で、設備投資ともいわれます。例えば、設備や不動産の購入・維持するための費用、耐久年数を延ばすためのメンテナンスにかかる費用などです。サーバの購入やシステムの構築費用もCAPEXに分類されます。

CAPEXは特性上、支出が高額になりがちです。支払ったコストは、時間をかけて利益として回収を目指します。経費の計上も一度にはできないため、投資したタイミングでの負担が大きい支出だといえるでしょう。設備投資は企業の成長に欠かせないため、企業が成長するタイミングでは、一時的にCAPEXが大きくなることがあります。

OPEX:事業運営費

OPEX(オペックス)は、Operating ExpenseまたはOperating Expenditureの略称です。日本語では「事業運営費」と訳されます。
OPEXは、事業を継続するために必要な費用のことで、販売管理費ともいいます。CAPEXが一時的な支出であるのに対し、OPEXは継続して発生する費用と考えましょう。

人件費や広告宣伝費に加え、不動産業における固定資産税などもOPEXに含まれます。一方、不動産の外壁塗装工事や不動産取得費などはCAPEXです。
OPEXに含まれる具体的な費用の例は、下記のとおりです。

<OPEXに含まれる費用の例>

  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 開発費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 不動産の固定資産税

CAPEXとOPEXの違い

CAPEXとOPEXには、会計上の取り扱いや税金の扱いなど、大きな違いが4つあります。ここでは、CAPEXとOPEXの違いを詳しく解説します。

■CAPEXとOPEXの違い

  CAPEX OPEX
目的 設備投資 販売管理費
会計・経理上 資産 経費
管理方法 キャッシュ・フロー計算書 損益計算書の販売管理費
税金 固定資産税の対象 非課税

会計・経理上の扱いが異なる

会計・経理において、CAPEXは「資産」、OPEXは「経費」に該当します。

CAPEXは企業が持つ資産のため、購入時に全額を経費計上することができません。減価償却をして複数年にわたって計上していくことになります。損益計算書に固有の項目として記載されないため、具体的な支出を把握しにくいといった特徴があります。「設備投資にいつ・いくら支払ったのか」といったCAPEXに該当する支出について、固定資産管理台帳などに記録する必要があるでしょう。

OPEXは、支払いが発生したらその都度計上を行い、当期の経費として扱います。ただし、一定額を超える交際費など、経費として認められない支出もあるため、すべてを経費計上できるわけではありません。また、ローンの金利や減価償却費など、OPEXに含まれない費用もあるため注意が必要です。
なお、OPEXの金額は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上される金額とおおよそ同一です。勘定科目別に金額が計上されていくため、いくら支出したのかは簡単に確認できます。

管理方法が異なる

CAPEXとOPEXは、支出の管理方法が異なります。CAPEXもOPEXも、事業が拡大すれば増大するため、それぞれの事業規模に応じて、適切な範囲に収まるように管理しなければなりません。
CAPEXとOPEX、それぞれの管理方法は下記のとおりです。

・CAPEX:キャッシュ・フロー計算書による管理

CAPEXは、財務三表のひとつである「キャッシュ・フロー計算書」で管理します。キャッシュ・フロー計算書には「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」「キャッシュの増加・減少額」「キャッシュの期首残高」「キャッシュの期末残高」がそれぞれ記載されます。CAPEXは、投資活動によるキャッシュ・フローに記載する支出です。「有形固定資産の取得による支出」などを記入する欄があるため、当期のCAPEXの額を把握できます。
なお、上場企業以外の企業には、キャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられていません。しかし、キャッシュ・フロー計算書の作成や確認を行わずに設備投資を行っていると、CAPEXをコントロールできなくなる可能性があります。黒字倒産といった大きな問題に発展することも考えられるため、上場企業以外の企業も作成することをおすすめします。

・OPEX:損益計算書の販売管理費による管理

OPEXは、損益計算書の販売管理費を見れば確認できます。販売管理費の適切な金額やバランスは、業種などによって異なるため、同業他社と比較したり自社の推移を見たりして、適切な水準をキープしましょう。年次決算だけでなく月次決算を行うと、月別のOPEXの推移や繁忙期や季節要因による変動なども確認できます。
なお、OPEXを見直したい場合は、短期的に目先の経費削減を行うのではなく、長期的な視点で計画的に削減していく方法がおすすめです。

税金の扱いが異なる

CAPEXは、固定資産の購入や自社が持つ資産の価値を向上させるための支出であることから、固定資産税の対象です。毎年1月1日時点で該当の資産を保有している企業に対して課税されます。
個人事業主を除く個人の固定資産税は、土地や建物などの不動産にかかりますが、法人の場合は土地や社屋のほか、機械設備や事業用の車、パソコンなどの償却資産も課税対象です。

なお、CAPEXのうち、一部の支出については「DX投資促進税制」の対象です。DX投資促進税制は、クラウドサービスへの移行に必要な初期費用のうち、ソフトウェア、繰延資産、器具備品、機械装置などについて、支援する取り組みです。
具体的には、データ連携やDX認定の取得、全社レベルでの売上上昇見込みといった認定要件を満たすことで、300億円までの投資額について、最大5%の税額控除または特別償却30%の措置がとられます。

一方、OPEXは基本的に税金がかかりません。経費として計上することで、法人税などの税額を圧縮することが可能です。

出典:経済産業省「DX投資促進税制

支出の増加に対する考え方が異なる

CAPEXとOPEXは支出の種類が異なるため、支出の増加が意味することや考え方に違いがあります。CAPEXとOPEXが増加したときの考え方や対応方法について見ていきましょう。

・CAPEXが増加したとき

CAPEXが増加している場合は、設備投資が適切なものであるか、検証や効果測定は定期的に行っていかなければいけません。コストが大きいため、支出前に期待どおりの効果が出せるかどうか、十分な検討を行うとともに、導入後も効果測定を行います。期待どおりの効果が出ていない場合は原因を探り、対策を講じることが大切です。
ただし、CAPEXが増加するということは、企業が設備投資を盛んに行っているということです。新たな事業を始めるときや積極的に事業拡大を目指すとき、CAPEXは増加します。そのため、CAPEXの増加は、一概に悪いことだとはいえません。設備投資をおそれ、コストをかけずにいるようでは事業の拡大は難しいため、CAPEX増加の背景にもとづいた判断が必要です。

なお、CAPEXが増加したときは、キャッシュ・フローについても確認する必要があります。資産を購入した場合、貸借対照表に資産が計上され、まとまったキャッシュが減ります。しかし、損益計算書に経費として計上するのは減価償却費のみです。損益計算書上では黒字に見えていても、キャッシュ・フローが悪化している可能性があり、資金ショートを起こして黒字倒産することもありえます。
このような事態を防ぐためにも、CAPEXが増加したときは、キャッシュ・フロー計算書や資金繰り表をチェックしましょう。

・OPEXが増加したとき

OPEXが増加している場合は、どの経費が、なぜ、いくら増加したのかを確認します。
例えば、「急激な市場のニーズの高まりによって、人件費などの経費が増大したが、その分売上も増えている」といった状況であれば、大きな問題はないと考えられます。しかし、売上が増えたわけでもなく経費だけがかさんでいたり、売上の上昇幅に対し経費の上昇幅が大きかったりする場合は、経費が増えている原因を突き止め、改善しなければいけません。
ただし、経費をいたずらに削減しようとすると、トラブルを招く可能性もあります。例えば、人件費の削減を目指す場合、闇雲に人の数を減らそうとしたり、残業を禁止したりするのは得策とはいえません。業務課題を見つけ、従業員一人ひとりの生産性を上げるための業務改革を行うことが大切です。
一方、消耗品費や手数料などは削減しやすい経費といえます。無駄なコストを洗い出し、ペーパーレス化の推進や手数料の低いネット銀行の活用などを行いましょう。

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注目を集めるCAPEXのOPEX化とは?

近年、CAPEXのOPEX化が注目されています。CAPEXのOPEX化とは、CAPEXとして扱う設備投資をOPEXとして扱うために施策を行うことです。
小売業や不動産業などでは、CAPEXなくしては成長を見込めない業種もあります。しかし、どのような業種においても、IT分野においてはCAPEXのOPEX化が可能です。

従来、企業がシステムを導入するためには、パッケージシステムやサーバといった多額の設備投資が必要でした。現在でも、オンプレミス型と呼ばれる自社内にサーバやデータベースを構築するシステムは減価償却が必要な固定資産であり、CAPEXに該当します。
しかし、IT技術の進歩が著しい昨今、構築から年数を経た古いシステムを使い続けるのはリスクがあるといえます。また、法令改正などが起こるたびにアップデートを行わなければならず、メンテナンスにも労力とコストが必要です。

こうした問題を解決できるのが、CAPEXのOPEX化です。社内システムを構築するのではなく、定額や従量課金などで利用できるクラウドサービスに移行することで、システム利用にかかる費用を事業運営費としてOPEX化できます。

クラウドサービスの活用でCAPEXのOPEX化を実現する

クラウドサービスには、場所を問わず利用できる利便性の高さや初期コストの低さ、導入・管理に手間がかからないといった多くのメリットがあります。企業が使用する会計システムや販売管理システム、人事管理システムといったさまざまなシステムも、クラウド上で時間と場所を問わず利用可能です。

なお、CAPEXのOPEX化は、リスク管理のコスト削減といった面でも有用です。自社が構築したシステムを長年使う場合は、セキュリティ管理を万全に整えなければなりません。パッケージシステムやサーバの構築する費用をOPEX化するためにクラウドサービスを利用すれば、ベンダーによるセキュリティ管理のもと事業運営が可能です。セキュリティ管理コストを、大幅に削減することができるでしょう。

■CAPEXのOPEX化のイメージ

  オンプレミス型 クラウドサービス
会計処理 CAPEX(資本的支出) OPEX(事業運営費)
財務管理 固定資産
(自社にサーバやデータベースを構築)
経費
(システム利用にかかる費用)
コスト 多額の設備投資が必要 低コストで導入可能

CAPEXとOPEXの正しい管理で、企業会計の支出を最適化しよう

CAPEXとOPEXを正しく管理することで無駄なコストを省き、支出の適正化が可能です。販売管理費ともいわれるOPEXは月次管理がしやすいですが、設備投資ともいわれるCAPEXは長い年月をかけて償却されるものもあります。効果の測定に工夫が必要なため、正確性の高い財務三表の作成が欠かせません。そのためには、ERPシステムの活用がおすすめです。

OBCの「奉行V ERPクラウド」は、業務内容に応じて必要な機能だけを組み合わせて導入できるコンポーネント型クラウドERPです。会計、財務、販売管理すべてを一括して管理することもできれば、一部からスモールスタートして徐々に対応範囲を広げていくことも可能です。CAPEXとOPEXの把握、適切な管理にお役立てください。

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よくある質問

CAPEXとOPEXとは何ですか?
CAPEXとOPEXは、企業の支出の種類を示す言葉です。CAPEXは固定資産の購入や資産の価値を向上させるメンテナンス費などの設備投資のこと、OPEXは人件費や広告費、水道光熱費のような販売管理費のことです。CAPEXとOPEXでは、管理の方法や税金の取り扱いなどが異なります。
CAPEXとOPEXの管理方法は?
CAPEXは、貸借対照表に資産として計上されますが、損益計算書には減価償却費のみが計上されます。損益計算書上では黒字に見えていても、キャッシュ・フローが悪化し、資金ショートを起こしてしまう危険があります。そのため、CAPEXの影響が顕著に表れるキャッシュ・フロー計算書をきちんと管理しなければなりません。
一方のOPEXは、損益計算書上の販売管理費で確認が可能です。月次決算を行ってこまめに販売管理費のチェックをすることで、推移を確認しやすくなります。
CAPEXとOPEXは減らしたほうがいい?
CAPEXの増加は設備投資に注力していることになるため、一概に悪いとはいえません。しかし、投資に対するリターンが出ているかどうかや、キャッシュ・フローに問題がないかどうかは定期的に確認する必要があるでしょう。
一方のOPEXはいわゆる経費であるため、減らすことで利益率を上げられます。ただし、人件費などを闇雲に下げようとすると、従業員満足度の低下や負担の増大による生産性の低下などを招くおそれがあります。まずは無駄の削減や、業務効率化による従業員の負担軽減を目指すのがおすすめです。
CAPEXのOPEX化とはどういう意味?
CAPEXのOPEX化とは、従来CAPEXに該当していた支出をOPEXに移行することをいい、特にITシステムにおいて推進されます。自社で設備投資をして構築したシステムをクラウドサービスに移行することで、サーバの管理費といったCAPEXとして計上されていた費用を、システム利用料としてOPEX化します。ベンダーに管理を任せられるクラウドサービスなら、将来にわたって安定的に利用でき、導入にかかるコストや労力を抑えることが可能です。
石割 由紀人

■監修者
石割 由紀人

公認会計士・税理士、資本政策コンサルタント。PwC監査法人・税理士法人にて監査、株式上場支援、税務業務に従事し、外資系通信スタートアップのCFOや、大手ベンチャーキャピタルの会社役員などを経て、スタートアップ支援に特化した「Gemstone税理士法人」を設立し、運営している。

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