こんにちは。フェアコンサルティンググループと申します。フェアコンサルティングは世界17の国・地域の29都市に直営の事務所を有する会計事務所系コンサルティング会社です。
弊社のクライアントは大半が日系の現地法人又は本社ですが、2020年より世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスの影響を受け、日本企業の海外ガバナンスの手法がこの2年で大幅に変わりました。
フェアコンサルティンググループでも日系現地企業の海外ガバナンス変革の支援をすることが多くあり、事例も踏まえてニューノーマルな海外ガバナンス手法について解説いたします。
目次
1. 新型コロナ禍の影響により進んだアウトソーシングとDX
新型コロナウイルスの自国での拡がりを防ぐため、各国政府は自国以外との移動に制約を設けました。入出国の制限や入国後の隔離措置です。
これにより、2020年当初から“国境を超える移動に制約がある状況”が常態化し、駐在や出張などによる人の移動を前提とした、海外ガバナンスの手法が通用しなくなりました。
フェアコンサルティンググループでは、長年提供してきたソリューションに、コロナ禍における体制強化の大きなヒントがあると考えました。そのソリューションとは、次の2点です。
- 現地外部リソースの活用(アウトソーシング)
- ボーダレスな情報基盤の整備(デジタルトランスフォーメーション)
実際に新型コロナ禍が長期化されることを見込んだ企業を中心に、2020年秋頃から海外拠点のアウトソーシングとDXを推進する企業が増加傾向にあります。
また、採用された企業様の共通認識として「アウトソーシングとDXは新型コロナ禍関係なく、生産性の高い有効な手段だったのだ」というものがあり、いわゆるアフターコロナの環境下においても元に戻ることはないと想定されます。
新型コロナ禍が、「ニューノーマルな海外ガバナンス・グループガバナンスの手法に気づかせてくれた」とも言えるのです。
2.現地外部リソースの活用(アウトソーシング)
従来から、アウトソーシングの活用は海外拠点管理において非常に有効な手段でした。以下に効果を挙げていきます。
・多くの海外駐在員は営業・製造機能の出身であり、管理業務経験が薄い。アウトソーシングを活用することで、駐在員が本来の業務や付加価値の高い業務に集中できる。
・日系現地事務所に委託することにより、言語などの課題が解消されコミュニケーションが円滑化する。
・自社のスタッフを削減することで、採用、不正リスク、業務品質など人事系の悩みを解消できる。
・海外駐在員コストは高額であり、アウトソーシングは特に海外拠点においてコスト削減効果が大きい。
ここで採用が増加した弊社のアウトソーシング事例を紹介いたします。
- 海外内部監査のアウトソーシング
新型コロナ禍で急増しているアウトソーシングのメニューです。日本本社の内部監査担当と内部監査方法を調整し、各海外子会社の内部監査をフェアコンサルティングの近隣拠点が日本人と現地人の会計士がチームを組んで代行いたします。以下の効果があります。
・現地監査の経験豊富なチームが担当するため、内部監査品質が向上
・世界各拠点の内部監査品質が安定
・内部監査サイクルを短縮することができる
・現地リソースを活用するため、大幅なコスト削減を実現
新型コロナ禍で海外の内部監査がPENDINGになっていたり、リモート監査に頼らざるを得ず監査品質に懸念がある企業様には参考にしていただきたい事例です。
- バーチャル駐在員
インドなどハードシップが高い国で採用されてきた、バーチャル駐在員というソリューションがあります。
・居住者取締役、秘書役などの立場をアウトソーシング
・CFOなどの管理系機能をアウトソーシング
することで、駐在員を削減しバーチャル化させてしまいます。
営業等をWebツールや出張ベースでまかない、実際に駐在員全員を帰国させたケースもあります。
3.ボーダレスな情報基盤の整備(デジタルトランスフォーメーション)
従来から日系企業の海外子会社では、日本本社や国内子会社と比較して情報システム投資が進まず、以下のような煩雑な運用や海外ガバナンス視点での課題が残っておりました。
・Excelファイルで重要なデータを管理し、データが分散化され信頼が薄い
・本社との連絡手段は電子メールのみで、待っている本社はストレス
ところが昨今、新型コロナ禍をきっかけとして海外拠点のDXを進める企業が増えてまいりました。近年は様々なクラウドサービスが進化を遂げ、特に海外拠点のDXを進めるにあたり有効な手段となっています。
クラウドサービスが海外拠点のDXに有効な理由を以下に挙げます。
・ハードウェアやミドルウェアの調達、導入、メンテナンスが不要であり、日本などから遠隔で導入が可能
・初期投資を抑制でき、事業環境が安定しない海外拠点の投資リスクを低減
・データが一元化され、アクセシビリティが向上するため、日本本社からのガバナンスが効く
フェアコンサルティンググループでは、日系企業向け海外会計システム「勘定奉行クラウドGlobalEdition」(以下「奉行クラウドGE」)の開発を監修しております。さらに、2021年末現在で約30の国・地域でクラウドGEの販売・導入を行ってまいりました。
奉行クラウドGEを用いて海外ガバナンスと決算体制の強化を実現した事例を簡単にご紹介いたします。
(奉行クラウドGE運用事例)
・タイ子会社の決算業務を日本本社が遠隔より分担。連結決算の品質が安定し、毎年の出張費よりもコスト削減。
・グループ10社の会計データと債権管理データを一元把握。グループ資金管理・債権管理の品質が劇的に改善。
・国内主要会社は外資系ERPで会計データ統合、国内非主要子会社と海外子会社は奉行クラウドで会計データ統合。連結決算業務負荷を軽減。
・現地会計システムからリプレイス。本社経理と現地マネジメントが会計情報を適時に把握できるようになった。
全ての奉行クラウド導入はオンラインで進められ、マスタ設定のための要件定義のセッションや運用トレーニングはMicrosoftTEAMSなどのウェブ会議システムを用いて行っております。
4. まとめ
1.現地外部リソースの活用(アウトソーシング)
2.ボーダレスな情報基盤の整備(DXデジタルトランスフォーメーション)
の2点は、新型コロナウイルスの影響が出る以前から採用されておりましたが、新型コロナ禍を経て日系の海外拠点にも効率的な手段として定着しつつあり、生産性と競争力を高める有効な手段として注目されております。
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