給与計算システムを検討するにあたり、どんな方向性で選んだらいいか、選ぶ基準がいまいち明確になく、もやもやしていませんか? 昨今の社会背景や目まぐるしい制度改正により、「人材管理」「労働時間管理」「待遇含む賃金管理」の在り方が大きく変化し、求められる業務対応や管理も増加の一途を辿っています。このような状況において、給与計算システムの入れ替えだけを考えていていいのか?答えは否です。この記事では、これから将来に向かって人事・総務部門が選ぶべきシステムのポイントを紹介します。
目次
給与管理だけじゃダメ!
人材・労働時間管理も併せて、業務のスピードと正確性を向上できるシステムであること
少子高齢化・人口減少か進む中、働き手の確保が企業の経営課題となっています。国も、高齢者や女性、障害者などの雇用・活躍を推進する一方、過重労働防止対策の強化、パートタイム労働者の待遇格差の解消など、すべての労働者がいきいき働ける社会の実現に向けて、様々な対策に力を入れています。 今後も、「人」「時間」「賃金」に関わる様々な法改正が続いていくことが予想され、人事・総務部門は、ますます厳格な管理が求められることになります。
「人」:多様化する働き手の管理をきちんと・素早くできる
2016年4月に「女性活躍推進法」が施行されたことに象徴されるように、近年、育児や介護をしながら働く女性を応援しようという気運が高まっています。他にも、定年再雇用や外国人、障害者雇用など、働き手の多様化は今後も進むことが予想され、企業は多様な人材の管理・活用が重要になってきます。 例えば、労働契約管理や在職証明書をはじめとする各種証明書の発行、人材活用のための社員のリストアップや人事異動など、随時発生する総務業務を正確かつスピーディに行うために活用できるシステムを選定しましょう。
「時間」:新しい働き方への対応と勤怠管理の自動化
多様な人材に応じて時短勤務や在宅勤務などの新しい「働き方」への対応も必要になります。それによって勤怠管理が複雑化しても、正確な労働時間管理は必須。改正労働基準法でも検討されているように、長時間労働削減のためにも、リアルタイムに自社の勤務状況・残業実態を把握し、スピードをもって対処するといった積極的な対応が必要です。Excelや手計算では、勤怠集計に非常に時間がかかり、リアルタイムな実態把握は困難でしょう。勤怠申請・承認を、紙やExcelで行っている場合、書類が揃うまで勤怠集計ができず、どうしてもタイムラグが発生します。従業員が行う申請・承認業務のシステム化も含め、人事・総務部門が勤怠管理に手をかけることなく、極力自動化できるシステムを検討しましょう。
「賃金」:給与業務の自動化と賃金の分析・集計
働き方の多様化により、給与体系ごとの手当計算や給与明細書の配付業務に手間が増えることが考えられます。Excelで事前に手当計算し、転記しなければならないといった事態は避けたいところ。自社のルールに沿った手当計算を自動化できるシステムであるか、しっかり確認しましょう。また、給与明細書の配付業務は、毎月の給与業務において非常に負荷がかかる仕事ですが、在宅勤務等で出社しない社員が増えることも視野に入れ、給与明細の電子化を検討するのも有効です。指定したスケジュールに沿って、給与明細書をメールで自動配信するか、社員がWebで閲覧できるようになるため、明細書配付業務を完全自動化することができます。
また、近年、正社員と非正規社員の「同一労働、同一賃金」が話題となり、労働に対する適正な賃金管理の必要性が高まっています。2016年10月からは厚生年金保険・健康保険の加入対象がパートタイマーにまで拡大されたこともあり、待遇含め従業員に格差がでないよう管理が必要です。雇用形態や職種・職務といった視点での集計・分析帳票を必要な時にすぐ出力できることも重要です。
これから人事・総務部門がシステムを選ぶ際には、給与管理だけではなく、相互に関わりあう人材管理や勤怠管理も含め、業務のスピードと正確性を向上できるシステムであることをひとつの基準にするといいでしょう。
「経営」と「人事・総務部門」の視点を両立できるシステムであること
世の中の改正の流れによって、経営は、「人」「時間」「賃金」に対して、ますますマネジメントが重要になってきます。そのため、人事・総務部門は、業務への対応に加えて、経営のためのコントロールが求められます。この2つの視点を両立できるシステムであることが2つ目のポイントになります。
経営における人材マネジメントにおいては、多様な働き手を適材適所に配置し、育成していくことが求められます。従業員それぞれの特性・適性やこれまでの経験、スキルなどの人材情報をきちんと「見える化」し、活用することが必要です。
また、昨今話題となっている鬱病などのメンタル不全を未然に防ぐためには、長時間労働を抑制して従業員の心身の健康を保つことが欠かせません。そのためには、自社の勤務実態を常に把握し、残業超過者には警告・指導するなどのきめ細かい対応を行うことが大切。また、有給休暇の消化率向上や、残業が常態化している部署に人材の補充を行うなどといった労務リスクを回避するための手段を講じるなど対策が必要です。
賃金に関しては、適正に保つために、正規・非正規社員の賃金のバランスを見て、人件費全体を考えながら昇給・賞与を適正に査定しなければなりません。
経営が迅速かつ的確なマネジメントを実施するためには、マネジメントに必要な情報がタイムリーに提供されることが欠かせません。人事・総務部門は、日々の業務の生産性を維持・向上しつつ、経営が必要とする情報を迅速に提供したり、マネジメントをサポートするための仕組みを整え、コントロールすることが求められるのです。
これからの人事・総務部門に必要なシステムは、今後も継続することが予想される制度改正に対応し、給与管理だけではなく、人や時間の管理も含め、人事・総務業務の生産性を向上し続けられるシステムであること。また、人事・総務部門の効率化だけではなく、経営の視点に立ち、マネジメントに必要な情報提供やコントロールを実現できるシステムであることです。
もちろん、現状、紙やExcelで行っている業務を一気にシステム化するのは困難なケースもあるでしょう。重要なのは、将来を見据えて、自社のあるべきシステムの姿を描き、部分的・段階的に導入していけるような拡張性のあるシステムを選ぶことです。ぜひ、御社なりの人事労務システムのあり方を検討してください。
経営と人事・総務部門の視点を両立しながら、「人」「時間」「賃金」の幅広い業務の生産性を向上できるシステムについては、『OBC人事労務提案モデル』で詳しくご紹介しています。
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