新潟中央社労士事務所所長新島 哲
働き方改革が国を挙げての課題となる中で、生産性向上の重要性がクローズアップされてきました。その一方で生産性を向上させることは難しいという話もよく聞きます。一体、生産性向上を難しくしている原因、生産性を損ねる原因は何か?その理由は沢山考えられますが、様々な会社の状況を見させていただく中で感じていることがあります。
一つは、業務として必ずやるべきことが不明確であるということ。その結果、いろいろなことに手を出し、本来やるべきことが完遂されず長時間働くことになります。会社が困るだけでなく、努力をしているのに成果が出ない社員も報われません。もう一つは、まだまだ長時間働いている人が会社に貢献していると思われがちであるということ。このような状態では生産性が向上するわけがありません。
この二つの課題を解決するためには、会社の人事評価制度の見直しが必要となります。やるべきことを選択・集中して評価すること、決められた時間の中で結果を出す人を正しく評価することが大切となります。
目次
1 評価項目を絞る
よく見かけるのが、あらゆることが全てきちんとできて100点なる、スーパーマン養成評価制度です。悪いとは言いませんが、それをやろうとすると生産性を損ねることでしょう。時間には限りがありますし、人には得意不得もあります。
すべてを評価しようとあれこれ欲張らずに、社長の本音で会社が本当にやってほしいことに絞って評価しましょう。多くの会社では、まずは業績向上のためにやるべきことができているか、まずはここに焦点を当てて評価することになるでしょう。売上、粗利益など2~3の明確な業績指標をあげ、その達成に必要な重要な業務も2〜3に絞って、実際に行ったかどうかで評価するようにしましょう。
2 決められた時間の中で結果を出す人を正しく評価する
何がなんでも、石にかじりついてでも目標達成まで何時間でも頑張る。このような行為は過去の日本では高評価でした。確かに、結果だけ見れば素晴らしいと思いますが、これからの時代では決められた時間の中で結果が求められるようになります。別の言い方をすれば、決められた時間の中でどれだけの結果を出したかということが大切になります。
評価制度でも同じように、単純に結果や行動量を問うのではなく、限られた時間の中でどれだけの成果をあげたのかということを評価して行く必要があります。そこで、業績指標で設定した粗利益を労働時間で割った人時生産性などをもとに評価して行くようにしましょう。生産性を上げるためには、チームワークや人材育成も必要となりますので、これらを評価項目にして評価していくことも、必要な行動の徹底がしやすくなりお勧めです。
3 評価制度の活用で生産性向上とモチベーション向上を
頑張ったことを承認されると、また頑張りたくなるものです。逆に言えば、ただやれやれ言って、何も承認されないとなると、やってもやらなくてもどっちでいいと思われがちです。選択・集中してやると決めたこと、限られた時間で結果を出すこと。できたことを評価し承認して、徹底していくようにしましょう。
新島 哲 新潟中央社労士事務所所長
最大手スーパーで取締役直轄の経営管理部や3店舗の総務課長・副店長として勤務後に独立。経営と人事の実務に熟知したコンサルタント。法律や理論一辺倒のアドバイスではなく、現実的な対応策をアドバイスしている。その取り組みはマスコミにも取上げられ、新潟日報やBSNイブニングニースなどテレビ出演実績多数。著書「知ってたつもり会社のルール100の疑問」は県内書店で販売ランキングNO1を実現した。
新潟中央社労士事務所ホームページへ 新潟市の社会保険労務士「働き方改革」実践ブログへOBC 360のメルマガ登録はこちらから!