年次決算も月次決算も、「企業の財政状態を経営者が把握するために行う」決算業務のことで、一年に一回行う決算を「年次決算」、一カ月単位で行う決算を「月次決算」と言います。
年次決算は会社法や税法で義務づけられており、決算で作成される決算書は株主総会を経て公告しなければなりませんが、月次決算には法的な義務はなく、株主総会などでの報告義務もありません。
年次決算の主な目的は、「納税のための税計算」「資金調達」「経営分析」(詳しくは「決算」の項目を参照ください)となりますが、月次決算の場合は「毎月の損益状況や事業状態を把握し、経営の細やかな改善を行うこと」にあります。月次決算で数値化した売上高や利益を分析し、自社が抱える課題の発見、改善策立案に用いたり、資金繰り計画に利用したりします。また、年次決算を決算月にまとめて処理するには多大な労力が必要ですので、月次決算には「毎月決算業務を行うことで年次決算の労力を軽減し業務を平準化する」という役割もあります。中小企業においては、これまで「手間がかかる」という理由から月次決算を行わないところが多くありましたが、経営分析に役立つことが徐々に認識され、実施する企業が増えています。
年次決算の場合、納税申告に利用するため正確さが求められます。したがって、勘定科目を精査する必要があり、時間をかけて細かく確認します。
しかし月次決算では、経営陣がスピード感を持って現状把握・分析を行い、必要な指示を行うための材料であることがより重要になります。そのため、損益計算書や資金繰り表に力点を置いて整理します。
その他、「年次決算書」「月次決算書」で作成する書類にも次のような違いが見られます。
年次決算書 | 月次決算書 | |
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作成される書類 |
など |
など |