2016年11月から義務化となったストレスチェックから丸2年が経過し、義務化の対象となった事業場の約83%がストレスチェックを実施している調査結果が出ています。(※厚生労働省労働衛生課調べ(2017年7月))
しかしながら、「義務化で必要に迫られ、とりあえずストレスチェックを実施した」という企業が多く、「今のやり方が本当にベストな選択だったのか?」疑問を抱く声が上がっているのが現状です。
今回は、今行っているストレスチェックの仕組みを評価しつつ、企業のための賢い選び方について紹介します。
目次
- 1 今がストレスチェックを見直す絶好のタイミング
- 2 企業によくあるストレスチェックの悩み
- 3 コストパフォーマンスが高いストレスチェックとは
- 4 自社のストレスチェックのコストパフォーマンスを点検してみよう!
- 5 ストレスチェックの賢い選び方
- 6 コストパフォーマンスが高いOBCのストレスチェック
- 7 さいごに
1 今がストレスチェックを見直す絶好のタイミング
企業では、今年度のストレスチェックを終えたところではないでしょうか?記憶にまだ新しく、来年度のストレスチェックまで時間がありますので、ぜひ今のタイミングで自社のストレスチェックを振り返りましょう。
また、今年の4月から労働基準法と労働安全衛生法が大幅に改正され、従業員の心身の健康を維持しながら、仕事の生産性を高めるため、企業では規則や制度を見直すタイミングを迎えています。ストレスチェック制度に関してももっといいやり方があるのでは?と感じているのであれば、企業が様々な環境整備を始める今が、見直しをする絶好の機会です。
本コラムでは、簡単に点検できる方法をご紹介しますので、ぜひ振り返ってみましょう。
2 企業によくあるストレスチェックの悩み
ストレスチェックの義務化を受け、とりあえず実施してみたものの、本当にベストなやり方なのかを疑い、見直しを行った企業も多く存在します。OBCにも多数の相談をいただきましたが、見直しを行った企業は、下記のような悩みを抱えていました。
- 受検率を上げるために、従業員へ再三連絡するのが大変だった
- 年に数回受検をさせたいが、追加費用がかかるので断念した
- コストをかけても受検しない者がおりストレスを溜めていないか心配だ
- カウンセリング契約をしているが従業員が利用せずムダになっている
- 会社に役立つ分析をしたいが、委託先に依頼する必要がある
見直しを行った企業に共通するお悩みは、
- 「コストの割に、できることが少ない・目的が果たせない」
- 「やりたいこと・できることを増やすには、費用や時間がかかる」
つまり、「ストレスチェックのコストパフォーマンスのバランスに疑問を感じている」ということでした。
どの企業も、コストとパフォーマンスをバランスしながら効果を上げたいのが本音ではないでしょうか?
3 コストパフォーマンスが高いストレスチェックとは
一般的にパフォーマンスに比例してコストは増加するものですが、コストを抑えながら、パフォーマンスを最大化することができれば、コストパフォーマンスが高い状態と言えます。ストレスチェックにおいては、費やす時間や金額といったコストを抑えながら、従業員と企業のストレス改善につながる取り組みをより多く実施することができれば、コストパフォーマンスが高いと言えます。
コストパフォーマンスを評価する基準
では、ストレスチェックのコストパフォーマンスを測るための具体的な評価基準は、どのように考えればよいでしょうか。
ストレス改善のためにより多くの取り組みができるか?というパフォーマンスを測る基準として3つ、コストを測る基準として2つの評価ポイントをご紹介します。
<パフォーマンスを評価する3つの基準>
従業員・企業それぞれのストレス度合いを随時把握し、ストレス改善に向けて必要な時に適切な取り組みができるようになっていれば、パフォーマンスが高いと評価することができます。そのため、以下の3つの評価基準を満たす仕組みは、パフォーマンスが高いと言えるでしょう。
- ① 必要なときに何回でも実施できる
ストレス状態は常に変化しているため、必要なときにいつでも何回でも、ストレスチェックや分析ができ、改善できるようになっていること。 - ② 自由にデータ活用・分析ができる
ストレスチェックの受検状況や受検結果のデータを、企業側がすぐに・自由に活用・分析でき、受検率の向上やストレス改善の取り組みに活かせるようになっていること。 - ③ ストレス改善に役立つ
従業員がストレス状態を認識した際に、ストレスを低減、あるいは溜めないよう取り組める手段を提供していること、また高い効果が見込める手段を提供していること。
<コストを評価する2つの基準>
ストレスチェックや組織分析を外部に委託している場合、パフォーマンスを上げるために実施回数を増やせば、それに応じて費用がかかってしまいます。また、ストレスチェックの業務には、業務担当者だけではなく、従業員や上司など社内の多くの人が関わるため、時間や手間がかかりやすい傾向にあります。
そのため、以下の2つの評価基準を満たすことができれば、コストを抑えて運用できる仕組みであると言えるでしょう。
- ① パフォーマンスに比例して費用が上がらない
実施回数を増やす等、ストレス改善のための取り組みに応じて追加費用がかからない仕組みであること。 - ② 人手や時間をかけずに行える
多くの人が関わる業務であるからこそ、できるだけ人手で作業をしない、時間をかけずに業務が行える仕組みであること。
4 自社のストレスチェックのコストパフォーマンスを点検してみよう!
ストレスチェックのパフォーマンスとコストの評価基準についてご紹介しましたが、ここからは、実際に評価基準を使って、貴社で現在行っているストレスチェックの仕組みについてコストパフォーマンスを点検してみましょう。
従業員と企業のストレス改善につながる取り組みである、「ストレスチェック」「ストレスケア」「組織分析・改善」の3つの業務領域に焦点をあて、パフォーマンスを最大化できているか?パフォーマンスを最大化した際にコストを抑えられる仕組みになっているか?という両面でチェックしていきます。
<点検する3つの業務領域>
1)ストレスチェック
2)ストレスケア
3)組織分析・改善
評価基準① 必要なときに何回でも実施できるか?
実施者によるストレス判定を伴う定期診断は原則1年に1回だからといって、年に1回しかストレスチェックが実施できない仕組みになっていませんか?また、本人がストレスを自覚した時にその緩和のための手段をきちんと提供できているでしょうか?
残業が蓄積したり配置転換をしたりといった状況に応じて、従業員のストレスが高まる可能性があります。ストレス状態が変化したときに何回でもチェックできることで、ストレスを自覚することが可能になります。
また、ストレスが高いと気づいた時に、自己学習等でストレスケアを何回でも行える仕組みであれば、従業員自身がストレスを解消し抵抗力を身につけることができます。
そして、ストレスチェックを行った都度、何回でも組織分析を実施することができる仕組みであれば、個人へ影響を及ぼす企業・組織のストレス要因も把握できるため、パフォーマンスが高い仕組みと評価できるでしょう。
▶コストが抑えられるか合わせてチェック!
- 追加費用をかけずに実施できる仕組みか?
ストレスチェックやストレスケア、組織分析を外部に委託している場合には、実施するたびに追加費用が発生するのが一般的です。パフォーマンスを上げるために、比例して費用が上がってしまっては、コストパフォーマンスのバランスが良いとは言えないため、ストレスチェック等の実施回数に応じて費用がかからない仕組みであることがポイントです。 - 実施回数が増えても、手間がかからない仕組みか?
従業員の実施におけるプロセスや集計作業には、人事総務部門が関わることになります。パフォーマンスを上げるために、従業員が何回もストレスチェックを実施したり、都度、組織分析をしたりするにあたり、人事総務部門の手作業や業務時間が増えてしまっては、コストパフォーマンスがいいとは言えません。何回実施しようと、手間が増えない仕組みであれば、コストを抑えて運用できる仕組みと言えるでしょう。
評価基準② 自由にデータ活用・分析ができるか?
ストレスチェックやストレスケアが未実施の従業員や、高ストレスを抱えた職場をタイムリーに把握し、適切に対応することができていますか?
ストレスチェックを外部に委託している場合、従業員のストレスチェックの受検状況や、ストレスケアの実施状況を企業側がすぐに把握できないことがあります。パフォーマンスを上げるためには、ストレスチェックの受検率を上げ、ストレスケアが必要な従業員の学習率を上げることが極めて重要です。そのためには、タイムリーに実施状況をデータできちんと把握し、未実施の従業員に受検や自己学習をすぐに促すことができる仕組みであることが望ましいでしょう。また、実施途中で受検率やストレスケアの学習率といったデータを公表することで、ストレスを気にしていない従業員であっても、実施しようという意識が芽生えることも期待できます。このように、企業が自由にデータを活用できる仕組みであれば、更なるパフォーマンスの向上に役立てることができるでしょう。
また、部署単位や職種単位など、企業が見たい単位でストレスチェックのデータ分析ができる仕組みであれば、自社内での平均値や全国平均と比較分析することで、高ストレスを抱えた職場を特定でき、適切な取り組みを実施することができるため、パフォーマンスが高い仕組みと言えます。
▶コストが抑えられるか合わせてチェック!
- 費用をかけずにデータを企業が引き出せる仕組みか?
実施したデータの管理を外部に委託している企業も多く見受けられます。その場合でも、委託先に追加費用を払うことなく、企業がいつでもデータを引き出して活用できるのであれば、コストを抑えて運用できる仕組みと言えます。 - データ活用や分析に手間がかからない仕組みか?
自由にデータを引き出せても、リスト作成や個別に促進案内のメール作成を手作業でしていると手間がかかります。対象者のリストアップから促進案内まで、極力人の手を介さずにできる仕組みであれば、コストを抑えて運用できます。また、組織分析を行う際にも、計算や資料作成に手間がかからない仕組みであることがポイントです。
評価基準③ ストレス改善に役立つか?
高ストレスと診断された従業員が、提供されたストレスケア方法を利用して改善できているか確信が持てない、高ストレスを抱える職場がわかっても、その職場の責任者が納得してストレス改善に取り組んでくれないということはありませんか?様々な取り組みを行った結果がストレス改善効果として現れて初めて、パフォーマンスが高い仕組みだと言えるのではないでしょうか。
では、どのような仕組みであれば、効果が出ていると言えるのでしょうか?
まずは、従業員のストレスをケアするにあたり、専門医の面接指導を提供する場合には、メンタルヘルスに精通した面接機関と提携しているかがポイントとなります。産業医が面接をするという企業も多いですが、産業医がメンタルヘルスの専門外である場合、従業員のメンタルケアが十分にできない場合があります。メンタルヘルスに精通した面接機関であれば、面接した医師から企業へ留意すべき事項を詳細に報告してもらえるため、効果を確認することができるでしょう。
また、職場の「ストレス度」は組織の短所として責任者が目を背けがちになるため、能動的にストレス改善に取り組んでもらうためには、フィードバックの仕方に注意が必要になります。有効な手段として、「ストレス度」と「活性度」の両面から組織の課題と強みを把握できる「いきいきプロフィール」の分析手法でフィードバックできる仕組みがあげられます。この分析をするためには、ストレスチェックを80問か120問で実施できる仕組みが必要ですが、「いきいきプロフィール」で分析した結果であれば、責任者が結果を短所と長所のバランスとして捉え、「ストレス低減で短所を克服」し「活性度向上で長所を伸ばす」という活動に取り組みやすくなり、高いパフォーマンスが出せる仕組みだと言えるでしょう。
▶コストが抑えられるか合わせてチェック!
- 効果をあげる取り組みをするために、費用を抑えられる仕組みか?
一般的に専門医による面接契約は実費で課金されるため、面接人数に比例して費用が増加するのはやむを得ません。そこで、同じ契約の中で、専門医へストレスチェックだけでなく、健康診断後の面接や長時間労働者の面接や、従業員からの相談窓口を委託できる仕組みであれば、契約総額を抑える効果があります。
また、「いきいきプロフィール」分析や、そのための80問・120問のストレスチェックを行うにあたって、追加費用がかからない仕組みであることがポイントとなります。 - 人手をかけずに行える仕組みか?
従業員が面接を申込む際に、人事総務部門が申込みや問い合わせ対応を仲介していると、従業員が利用する度に手間が発生してしまいます。また、「いきいきプロフィール」分析等、組織分析をしたり、経営層や責任者にレポートを作成する作業を人の手で実施していると非常に労力がかかります。従業員が直接面接の申込みができたり、分析資料を自動作成できる仕組みであれば、コストを抑えて運用できる仕組みであると言えます。
いかがでしたでしょうか?
現在のストレスチェックの仕組みは、コストとパフォーマンスがバランスできる仕組みになっているでしょうか?
「ストレスチェックを何回やっても費用が変わらない仕組みなんてあるの?」
「組織分析は専門性が高いし、委託せず自社で実施するのは無理・・・」
「未受検者への勧奨や経営者等に報告するための資料作成には、人の手はかかるでしょ?」
そんな声が聞こえてきそうですね。
パフォーマンスとコストの評価基準をすべて満たす、そんな都合のいいストレスチェックの仕組みはない、と思いますか?
いいえ。
実はあるのです。
5 ストレスチェックの賢い選び方
コストパフォーマンスに優れたストレスチェックを実現したい企業にお勧めなのが、「ITを活用したストレスチェック」の仕組みです。
ITによる仕組みなら、本コラムでご紹介したパフォーマンスやコストの評価基準を満たすことができます。
<ITによる仕組みの特長>
- ストレスチェックやケア、組織分析は、追加費用なしで必要な時に何回でも実施できる
- 受検や未実施者への勧奨、集計・分析、報告書作成といった一連の業務プロセスの多くをITが自動で行うため、時間や手間がかからない
- データを自由に活用して、人手をかけることなく受検やストレスケアの勧奨ができる
- 組織分析は、厚生労働省が開発した手法で自動的に集計され、専門知識がなくても自社でできる
- ストレスチェックの設問数は自由に選択でき、ストレス度と活性度を観る「いきいきプロフィール」分析も追加費用なしでできる
しかしながら、ITによる仕組みなら何でもいいわけではありません。企業には、今後の労働環境・法改正・ITインフラなどの変化に対応することが求められるため、以下の要件を兼ね備えた柔軟なITの仕組みを選ぶことが極めて重要です。
<ITに求められる要件>
【労働環境】
- 実施者と連携し、共通の仕組みを利用してスピーディなストレス判定が行えること
- 実施者が企業データを利用して迅速に組織分析レポートを提供できること
- 外国人労働者の雇用傾向に応じて、英語でチェックができること
- 地域の面接機関と提携して、遠隔拠点の従業員でも面接を利用しやすい環境を整えること
【法改正】
- 法改正対応で追加費用が発生しないこと
- 改正内容が即座に・自動的に反映され、企業側の作業が発生しないこと
【IT環境】
- ストレスチェック・ケアはパソコンやスマートフォンなど利用端末が制限されないこと
- 業務上必要な従業員とのやりとりを電子化・自動化できること
これらの要件を満たすストレスチェックの仕組みであれば、長期的な目で見ても安心して利用できるでしょう。
6 コストパフォーマンスが高いOBCのストレスチェック
OBCのストレスチェックサービスなら、パフォーマンスを最大化しコストを最小限に抑える仕組みがすべて揃っています。
- 何回でも設問数を変えたストレスチェックができる
Web上で何回でも受検でき、受検回ごとに設問数を23問・57問・80問・120問から選択できます。日本語以外に英語でもチェックが行えます。 - 信頼と実績のストレスケア学習が何回でもできる
ストレスケアはWeb上でいつでも何回でも実施でき、うつ病の発症率を1/5に減らす効果が認められた「認知行動療法」を取り入れた学習コンテンツを利用することが可能です。 - クラウドで一連のストレスチェック業務を完結できる
クラウドサービスを利用することで実施者・人事総務部門・従業員のストレスチェック業務に関わるやりとりに加えて進捗管理を自動化でき、業務と時間を削減します。 - 専門家サービスを標準提供され、万全の実施体制を構築できる
実施者業務と企業・従業員からの相談窓口をサービス標準で利用できるため、専門的な問題や対処にも手軽に取り組むことが可能です。 - 専門知識がなくても組織分析と報告ができる
実施者が組織のストレス度と活性度の両面から傾向と改善点をレポートするため、だれでも組織分析を行えます。また、利用企業のビッグデータから抽出した全国・地域・業界・職種などの平均値と比較できることで、ストレスが高い組織の特定が簡単に行えます。
ストレスチェックの義務化からわずか3年間で約2,000社40万人の企業が導入し、利用すればするほどコストパフォーマンスが高まることを実感しているため、95%の企業が継続して利用し続けています。
7 さいごに
コストとパフォーマンスの評価基準を用いて、ストレスチェックを点検する方法を紹介してきましたが、自社のストレスチェックの仕組みをより詳細に点検できるよう「ストレスチェック業務別コストパフォーマンス点検リスト」を用意しました。業務ごとに自社の仕組みのコストパフォーマンスを評価することができますので、ITを活用したストレスチェックを選ぶ際の参考にしてください。
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