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kintoneと奉行V ERPクラウドが連携するとどうなる?業務効率と社内DXにもたらす効果を一挙紹介|OBC360°|勘定奉行のOBC

作成者: 企業全体(業務全般)|2025年03月12日

2024年10月、奉行V ERPクラウドと業務改善プラットフォーム「kintone」の標準機能による連携企画がスタートしました。この企画は、全ての企業でデータの利活用を進め、社内DXの推進を目指すものです。
今回は、自社のDX効果に懸念を抱いている経営者やバックオフィス部門の担当者の方のために、今回の企画が導入企業にもたらす効果について解説します。

目次

企業のクラウド化状況から見えてきたDX推進の課題

業務のデジタル化が進む昨今、DX推進は規模にかかわらず全ての企業で最優先の経営課題になっています。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)がまとめた調査レポート「DX動向2024」によると、全社的または一部でもDXに取組んでいる企業の割合は、2023年度には73.7%まで増加し、日本企業のDXへの取り組みは浸透しているようです。

出典:IPA PDF「DX動向2024

しかし、DXの「成果が出ている」と感じている企業に、具体的な取り組み別の成果状況を尋ねた結果では、80%近い企業が「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」で成果を実感していますが、DXに取り組んでいる企業の約7割にレガシーシステムが残っており、そのうち「ほとんどがレガシーシステム」と回答した企業は14.5%でした。このことから、「DXに取り組んでいる」といっても、基幹システムとは分断されている可能性が推測できます。

出典:IPA PDF「DX動向2024

また、DXに取り組む予定がない企業では「データ管理システムが整備されていない」「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」「既存システムがデータの利活用に対応できない」ことに課題を感じていることも分かりました。

出典:IPA PDF「DX動向2024

DXを推進するには、リアルタイムなデータの利活用は欠かせません。実際、データの利活用状況を見ると、データを「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」企業ほどDXの成果を実感しています。

出典:IPA PDF「DX動向2024

今の日本では老朽化したレガシーシステムの存在が大きな問題となっており、一部報道では「2030年までレガシーシステムを使い続ける企業が9割程度存在する」とも予測されています。社内外にあるさまざまなデータを、各部門が横断的に活用できるシステム環境を早急に整備することが、DX推進に求められている課題と言えるでしょう。

奉行V ERPクラウドとkintoneが連携した理由(わけ)

DXの取り組みでは、DX人材の不足に悩む企業も少なくありません。IPAレポートでも、DX推進を妨げる要因にDX を推進する人材の「量」と「質」の不足を挙げている企業が85%以上ありました。

出典:IPA PDF「DX動向2024

IT領域に長けたプロジェクトリーダーがいないことをレガシーシステム刷新の遅れの原因と考える企業は多くあります。しかし、DX人材が不足しているからといって、非IT人材のメンバーを転換するのは時間もかかり効率的ではありません。

そこで今注目されているのが、「Fit To Standard」という考え方に基づくシステム選びです。
「Fit To Standard」は、システムの標準機能をフル活用し、標準機能で賄えない業務はクラウドサービスやノーコード・ローコードツールと「つながる」ことで補填することで、システム構造をシンプル化する方法です。
現在は、ERPシステムでもSaaS型のクラウドERP(以下「クラウドERP」)が主流になってきています。また、市場には1,000を超える業務系クラウドサービスが提供されており、ノーコード・ローコードツールもここ数年で急増し導入企業も年々増加しています。つまり、オンプレミスERPをクラウド化するのに、従来のような手間も時間もコストも必要なく、クラウドERPに切り替えられる方法があるのです。

サイボウズ株式会社が提供するkintoneは、2024年現在、利用企業が3万社を超えるほど業界でも人気のノーコード・ローコードツールです。日々の業務日報や顧客案件管理、問い合わせ管理やタスク管理など様々なサンプルアプリが揃っており、あらゆる業種、人、仕事に合わせて自社用業務アプリを簡単に作成できます。導入担当者のおよそ93%が非IT部門で、中には「基幹システムはオンプレミスだが部分的にkintoneを利用している」という企業も少なくありません。

ただし、kintoneのデータを基幹システム等で利活用するには、「連携」が必要になります。
オンプレミスに連携する場合、ETL・EAIツールなどのデータ連携ソフトウェアなどが必要となります。高額なライセンス料や開発費、高度なITスキルが求められるうえ、データ連携ソフトウェアはオーバースペックになることも多いため、コストバランスが悪くなりがちです。そのため、CSVデータを手動で連携させる “手間”が発生します。

奉行V ERPクラウドとkintoneが標準機能で連携する今回の企画では、追加コストをかけずに簡単にkintoneデータを奉行V ERPクラウドに取り込むことができるようになります。
奉行V ERPクラウドの画面からkintoneのデータにアクセスも可能で、手間をかけず様々な業務にデータを利活用できます。高い“業務の網羅性” を誇る奉行V ERPクラウドと、高い“業務の柔軟性”をもつkintoneがシームレスに「つながる」ことで、社内DXに最適なシステム環境が実現できるのです。

「奉行V ERPクラウド×kintone」で実現できること

奉行V ERPクラウドとkintoneが標準機能で連携すると、例えば次のような効果が期待できます。

① 勘定奉行V ERPクラウドの取引先登録・商奉行V ERPクラウドの得意先登録の自動化

新規取引先を登録する場合、多くの企業では現場から登録申請が必要とされています。
社内手続きを紙で行っていると、上長の承諾を得た上でバックオフィス部門に書類が届き、担当者が手作業でデータ登録をすることになります。
奉行V ERPクラウドとkintoneなら、この手続きをスムーズにデジタル化できます。まず、kintoneで取引先アプリや得意先アプリを作成し、申請手続きをデジタル化します。kintoneアプリでの申請内容が承認されると、相手先の情報が勘定奉行V ERPクラウドの取引先マスタや商奉行V ERPクラウドの得意先マスタに自動で登録されます。これにより、取引先情報や得意先情報を二重に管理する必要がなく、システムに反映する際の転記ミスも防げます。
kintoneを使った申請はスマートフォンからもできるため、現場担当者にとっても手続きが簡単で登録申請にかかる時間を大幅に削減することが可能です。

② 予実管理

予実管理では、折衝の最前線である現場と情報管理のバックオフィス部門の連携強化が重要になりますが、「予算の進捗状況を現場が随時把握できない」という声も多く聞かれます。
部門別に予算と実績、達成状況を把握できる予実管理アプリをkintoneで作成すれば、現場でも予算の残高や消化率を確認することができ、現場のコスト意識を高めて無駄のない経費の使い方を実現することも可能です。
とはいえ、正確な実態把握には、リアルタイムに会計システムの実績データをkintoneの予実管理アプリに反映させる必要があります。勘定奉行V ERPクラウドを一緒に使えば、自動連携で勘定奉行V ERPクラウドの部門別・科目別の実績データをkintoneに即時に反映でき、現場はkintoneを使っていつでもどこでも売上の予算達成状況を参照できるようになります。
経理担当者側の操作は、勘定奉行V ERPクラウドのメニューバーから「kintone連携」を選び、対象部門と勘定科目を指定するだけです。経理担当者がわざわざ金額を集計したり、Excelデータを書き出して集計表にまとめたりする必要はありません。

kintone側の追加アプリ「krewSheet」「krewDashboard」を活用してグラフ化することもできるため、現場はリアルタイムに予算実績の参照や分析が行えます。

③ 売上管理

外出頻度の高い営業担当者にとって、日々の売上把握は非常に重要な業務です。しかし、営業担当者が独自に管理することは希で、多くの企業では、業務担当者に電話やメールでその都度確認しているのが現実でしょう。
kintoneと商奉行V ERPクラウドを併せて利用すれば、日々の売上データが伝票明細単位でkintoneに自動連携されるため、営業担当者はkintoneアプリから「いつでも」「どこでも」「簡単に」売上情報を閲覧することができます。また、kintoneアプリのクロス集計機能を使って、担当者別や部門別の売上も把握することができます。常に最新データが自動で共有されるため、リアルタイムな集計・分析ができ、営業現場で役立つだけでなく営業マネージャーの管理業務にも活用できます。

※この機能は2025年4月以降に提供予定です。

奉行V ERPクラウドとkintoneを連携させる方法

奉行V ERPクラウドとkintoneを連携させるには、「連携プラグイン」の入手・設定が必要です。
すでにkintoneや奉行V ERPクラウドをご利用中の場合は、簡単に連携できるアプリとプラグインを無償で提供しています。プラグインをダウンロードすると、付属の「ユーザー向け設定ガイド」の手順に沿って進めると簡単に設定が完了できます。
簡単ダウンロードで提供しているアプリとプラグインは、マスタ登録(取引先・得意先等)と予実管理に関するモデルになっていますが、奉行V ERPクラウドを実際に導入する「奉行パートナー」から、その他のさまざまな連携・運用をご提案することもできます。ただし、すでにkintoneを利用している場合は、連携したい項目などによって一部連携できない場合があるため、注意が必要です。

「奉行V ERPクラウド×kintone」導入事例

[建設業H社様のケース]年商190億円、社員数120名

H社様では、これまで個別開発した案件管理型販売管理システムを利用していたため、業務を標準化することで自動化やペーパーレス化を取り入れた生産性の高い業務を実現したいと考えられました。入れ替えによって業務プロセスが分断され業務負担が増えることは避けたかったため、現場要件に対応しながら業務の標準化が実現できる柔軟性の高いSaaS型ERPを探していましたが、載せ替えできるシステムがないことが大きな課題でした。
そこで、「Fit To Standard」に基づき、受注・発注管理から売上管理、案件管理など柔軟性が求められる現場要件をkintoneで対応し、kintoneから奉行V ERPクラウドにデータを自動連携して、債権債務管理や請求書の電子化、会計管理まで対応する方法を採用されました。

この仕組みにより、kintoneの売上や仕入データが奉行V ERPクラウドに自動で取り込まれるため、バックオフィスでの伝票入力作業が0になりました。また、入金消込の自動化や仕訳の自動化など、業務の自動化による生産性と業務品質の向上も実現し、複雑だった案件管理型の販売管理プロセスをシンプル化することに成功しました。
他にも、奉行V ERPクラウドとkintoneとの連携で社内DXを強化できた企業様を動画でご紹介しています。こうした事例を参考に、自社での社内DXを見直してみるのもよいでしょう。

●【商蔵奉行クラウド × kintone CS事例】理光商事株式会社様

●【商蔵奉行クラウド × kintone CS事例(長編)】京都・株式会社大原商店様

おわりに

奉行V ERPクラウドとkintoneの連携によって、ペーパーレス化が進むだけでなく、システムに取り込むためのExcelデータ作成も不要になり、データの利活用の幅が飛躍的に拡大することは間違いありません。
基幹システムだけではカバーできない業務に課題を抱える企業にこそ利用していただき、企業全体の業務改善と全社的なDX推進の実現を後押ししたいと願っています。
ぜひこの機会に、奉行V ERPクラウドとkintoneでバックオフィスと現場をつなぎ、企業の独自業務も効率的にデジタル化しつつ、リアルタイムなデータの利活用を実現させてはいかがでしょうか。

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