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ERP導入に失敗してしまう原因は?対策や成功に導くポイントを解説|OBC360°|勘定奉行のOBC

作成者: 企業全体(業務全般)|2024年09月24日

ERPの導入を進める企業が増加している一方で、導入が失敗に終わるケースも増えています。ERPは多くの情報を扱うシステムのため、導入に失敗してしまうと影響を及ぼす範囲も広いことから、導入に躊躇する企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、ERP導入の失敗の原因や、成功に導くポイントなどを解説します。ERP導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ERPとは企業の情報を一元管理するシステムのこと

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業の経営資源に関する情報を一元管理できるシステムのことで、日本語では「企業資源計画」となります。

企業の経営資源とは、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった、事業を継続するために欠かせない資源のことです。ERPは本来、これらの経営資源を有効活用するための考え方や計画を指していました。しかし現在は、経営資源を一元管理するためのシステムをERPと呼ぶケースが増えています。

■ERPのイメージ

ERPによって部門を横断して経営資源を管理することで、業務の効率化やデータの有効活用のほか、経営判断の迅速化などが期待できるでしょう。

また、ERPは、運用方法の違いによって「クラウドERP」と「オンプレミスERP」の2つに大別できます。クラウドERPはクラウド上のサービスを活用する方法、オンプレミスERPは自社サーバーにシステムを構築する方法です。

■クラウドERPとオンプレミスERPのイメージ

クラウドERPとオンプレミスERPについては、当サイトの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
クラウドERPとは?オンプレミスERPとの違いや導入メリットを解説

ERP導入の成功と失敗

ERP導入に失敗しないためには、まず、ERPの成功と失敗とはどのような状態を指すのかを理解しなければなりません。ERP導入における成功と失敗について解説します。

ERP導入における成功

ERPが企業にもたらす効果を最大化するためにも、導入が成功している状態を確認しておきましょう。ERP導入における成功は、下記の項目すべてに当てはまっている状態です。

・ERPの導入後にデータが連携・活用され、自社の現状を即座に把握できている

ERP導入が成功だといえるのは、データ連携がスムーズに行えるようになり、なおかつ、連携したデータを活用して経営に役立てられている状態です。ERP導入の大きなメリットは、異なる部門間でデータ連携が容易に行えることです。ERPの導入により、データ連携の特長を活かした運用を行っている必要があります。

・ERPの導入により目標達成ができている

ERP導入の成功を示すわかりやすい条件は、目標達成です。ERPを導入するときは、目標を明確にする必要があります。前述したようなデータ連携で期待できる効果や、部門間で重複していた業務の解消など、具体的な目標を設定し、達成度合いを評価しましょう。

・ERP導入のQCDを達成している

ERP導入の成功には、QCDの達成もあります。QCDとは、クオリティ(品質)、コスト(費用)、デリバリー(納期)のことです。ERPを導入したことで、多くの業務課題を解決し、予定どおりのコストに収まり、業務にかかる時間を削減できていなければなりません。

ERP導入における失敗

ERP導入における失敗は、前述した成功の条件が満たされていない状態です。例えば、「データを有効活用できず、ERPのメリットを活かした経営につながっていない」「コストがかさんでしまい、経営を圧迫している」といったケースでは、ERPの導入に失敗している可能性が高いでしょう。

ERPの導入に失敗してしまう原因は?

なぜ、ERPの導入が失敗に終わってしまうことがあるのでしょうか。ここでは、ERP導入に失敗してしまう原因を見ていきましょう。

導入後の目標が不明確なまま推進してしまう

ERPを導入した後どのようになりたいのか、目標が不明確なまま導入を進めると、ERPの特長を活かしきれないことがあります。ERPの導入自体が目的になってしまわないように、中長期的な企業の経営戦略と照らし合わせ、目標を明確に定めることが大切です。

企業全体で目標を共有し、前向きに取り組んでもらうためには、求心力のある担当者がERP導入を先導するのがおすすめです。プロジェクトチームを立ち上げる際は、コミュニケーション能力やリーダーシップなども鑑みてリーダーを選定しましょう。

業務にシステムを合わせようとする

ERPを導入する際は、「自社の業務内容に合ったシステムを選びたい」「自社の業務に合わせてカスタマイズしたい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、ERP導入では、できるだけ標準的な機能で業務をカバーするのがベターといえます。業務にシステムを合わせようとすると、コストの増大を招くだけでなく、アップデートが難しくなる、連携性が低くなるといった多くの問題が発生する可能性があるためです。

例えば、近年急速にシェアを伸ばしているクラウドERPの多くは、各企業の業務プロセスを参考に、ベストプラクティスとして標準機能を取り入れています。現在の業務内容をクラウドERPの機能にあてはめようとするのではなく、クラウドERPの機能に合わせて業務を標準化していくイメージを持つことが大切です。
柔軟な運用、幅広い連携、自動アップデート、導入コストの削減といったクラウドERPのメリットを活かした運用を実現しましょう。

自社に合ったベンダーやシステムを選べていない

ERPは、多くのベンダーが提供しているシステムです。操作性やコストに加え、サポート体制など、自社に合ったシステムを選定できていないと、ERP導入によって期待する効果が得られません。

最適なベンダーやシステムを選ぶためには、候補に挙がったシステムの理解を深めることが大切です。操作してみないとわからないことも多いため、デモンストレーションによる操作画面の事前確認を行うなど、実際にいくつかのサービスにふれてみるのがおすすめです。

部門間でのコミュニケーションが不足している

ERP導入の大きなメリットには、部門間におけるスムーズな情報共有とデータ連携が挙げられます。しかし、部門間のコミュニケーションがとれていないとERP導入のメリットを得にくくなってしまいます。ERPの導入を成功させるためには、部門間でコミュニケーションをとり、良好な関係性を築いていく必要があるでしょう。

ERP導入で失敗しないためのポイント

ERP導入の失敗を防ぐためには、下記のポイントを意識することが大切です。ERP導入という大きなプロジェクトを成功に導くために、一つひとつ実践していきましょう。

自社の課題を明確にする

ERP導入で失敗しないためには、現状、自社が抱えている課題を明確にする必要があります。プロジェクトメンバー全員で、どのような課題を解決するためにERPを導入するのかを検討し、共通認識を持つことから導入計画を始めましょう。
また、現状と中長期的な経営目標とのギャップや、現在の業務における課題がどこにあるのかをはっきりさせることで、ERPに必要な機能も見えてきます。

ERP導入の前に業務プロセスを整理する

ERPの導入を進める前に、現状の業務プロセスを整理しなければなりません。ERP導入を成功させるためには、前述のとおり、ERPの標準機能をそのまま活用することがポイントとなります。そのため、自社独自の複雑なプロセスをできるだけシンプルにしておくことが重要です。業務プロセスを整理して無駄をなくしたり、一般的なフローに当てはめたりすることは、業務効率化にもつながるでしょう。

ERP導入の前に、無料体験などでしっかり評価する

ERP導入の際は、システムの使いやすさや自社との相性などを見極めるために、無料体験などでシステムの評価を行う必要があります。

ERPの導入は、企業にとって大きなプロジェクトです。どのシステムを利用するかによって、ERPの導入が成功するか失敗するかが決まることもあるため、慎重に検討しなければなりません。
Webサイトやカタログなどを見ると、機能やセキュリティ性のほか、サポート体制なども確認できます。しかし、機能の有無だけでERPを評価することはできません。例えば、データ集計機能を有するERPでも、該当のデータ集計を行うまでの手順や、データの集計が行われた後の書式、集計したデータの活用範囲などはそれぞれ異なります。

機能性などをもとに候補を絞り込むことはできても、最終的な決定までには、無料体験やデモンストレーションなどで、システムにふれてみることをおすすめします。

プロジェクトチームを整える

ERP導入に際して、プロジェクトチームを整えることも大切です。プロジェクト全体を管理するプロジェクト責任者、実務の先頭に立ってプロジェクトを取り仕切るプロジェクトリーダー、ERPの機能について検討したりベンダーとやりとりしたりする担当者など、それぞれの役割を明確にした上でチームを発足します。

ERPの対応範囲となる業務は多岐にわたるため、各部門から担当者を出してチームを作るのも効果的です。各部門が担う業務に精通した担当者がチームに参加することで、現場との連携もとりやすくなります。風通しが良くなれば、それだけ多くの要望や課題などを収集できます。

さらに、ERP導入後も、プロジェクトチームに参加していたシステムに詳しい担当者が部署内にいれば、新たなシステムの浸透を後押しできるでしょう。

ERP導入の目的を社内で共有する

ERPを導入する際は、目的を社内で共有しましょう。ERPの導入を成功させるためには、現場の従業員が前向きに取り組んでいくことが大切です。「別に変えなくていい」「どうせ複雑になるから今のままでいい」といった意識があるようでは、ERP導入の効果を最大化できません。

従業員に対し、なぜERPを導入し、導入の結果、自社がどう変化するのかといったビジョンを伝え、社内で同じ目的意識を持ってプロジェクトに取り組める環境を作る必要があります。

ERP導入の失敗を防ぐために、自社に合ったベンダーやシステムを慎重に検討しよう

ERP導入の失敗を防ぐためには、目標を定めておくことや、現場の従業員とビジョンを共有することなどが大切です。また、自社にとって最適なベンダーやシステムを選ぶ必要もあります。自社の課題解決につながるサービスや、サポート体制が整っているシステムを導入しましょう。

OBCの「奉行V ERPクラウド 」は、コンポーネント型のクラウドERPです。コンポーネント型ERPとは、必要なシステムだけを組み合わせて利用できるシステムのことです。
会計管理、販売管理、人事労務といったコア業務領域をERPで構築し、関連するシステムと連携をとることで必要な機能を補完します。各部門で発生したデータは、形式を問わず「奉行V ERPクラウド」に自動で取り込めます。そのため、手作業によるデータ入力や取り込み作業の必要がなくなり、各部門とバックオフィス部門のやりとりをシームレス化が実現可能です。

■奉行V ERPクラウドのサービスイメージ

また、AIが入力をサポートして取り込み後の業務を自動化する上、専門的な分析サービスなどにもデータを活用できるようになり、より的確に経営判断に活かすことができるでしょう。

世界トップレベルのセキュリティ体制も特長で、導入時や導入後のサポートも充実しているため、安心してご利用いただけます。お気軽にご相談ください。

よくある質問

ERPとは何ですか?

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業の経営資源に関する情報を一元管理できるシステムのことで、日本語では「企業資源計画」です。

ERPでは、企業が持つ「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源について、部門を横断して管理するため、業務効率化やデータの有効活用のほか、経営判断の迅速化などが期待できます。

ERP導入の失敗とは、どのような状態?
ERP導入の失敗は、ERPのメリットである部門を横断したデータ連携を経営に活かしきれていなかったり、ERP導入の目標を達成できていなかったりする状態を指します。また、ERPの導入に際して、予定どおりのコストに収まっていない、業務効率化ができていないなどの場合も、導入失敗といえるでしょう。
ERP導入が失敗する原因は?
ERPの導入が失敗してしまう原因は、主に下記の4点です。

<ERP導入が失敗してしまう原因>

  • ERPを導入する目標が明確になっていない
  • 業務にシステムを合わせようとする
  • 自社に合ったシステムを見つけられていない
  • 部門間の連携がうまくとれていない
「業務にシステムを合わせようとする」というのは、一見問題に感じられないかもしれません。しかし、業務にシステムを合わせようとしてカスタマイズをすると、コストの増大や柔軟性の欠如といった問題が生じます。
ERPの導入失敗を防ぐには?
ERPの導入失敗を防ぐためには、ERP導入の目的を明確にし、従業員に周知することが大切です。自社の課題を洗い出した上で、各部門を横断したプロジェクトチームを立ち上げて導入を進めましょう。実際にシステムにふれてみて自社に合っているかどうか吟味することも大切です。

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