誰でも処理できるよう、マニュアルを完備。上場会社の経理に聞く1500人の「立替精算管理」を効率的に行う工夫

社員が多い会社になればなるほど、膨大な量になるのが従業員の立替精算です。皆さんはどのように立替精算業務を進めていらっしゃるでしょうか。

今回は、上場会社で経理を務めるおふたりに、立替精算を効率的に進めるコツについて伺いました。

原則、経費は2営業日までに申請。遅れたものの処理は翌月に

――まずは御社のご状況、経理体制についてご紹介ください。

Aさん:1500人規模のサービス業界の上場会社で、さまざまな規模感の子会社が多いのが特徴です。経理は15名で、12ある会社ごとに担当を振り分ける形にしていまして、1人1社担当するのが基本です。

――今回のテーマは「立替精算」です。まずは御社の管理業務の大まかな流れをご説明いただけますか?

Aさん:社員には前月分を翌月2営業日までに経費申請してもらう流れになっています。経費精算システムを使っていまして、金額の入力と領収証の添付作業を行ってもらっています。提出された内容を2、3営業日でチェックしていくのが我々経理の仕事です。

――2営業日までに経費の申請がない場合はどうされていますか?

Aさん:期日で締めきってしまうので、遅れたものは翌月扱いになります。

Bさん:ただ、事前に「2営業日までに間に合わせることが難しい」「明日出します」と相談や連絡をしてくれている場合は待つこともあります。そこは誠意をもって対応している感じですね。

経理未経験の派遣社員・アルバイトでもチェックできるよう、マニュアルを完備

――申請された経費のチェック内容についても教えてください。

Aさん:金額、消費税、勘定科目、添付されている領収証が大まかなチェックポイントですね。金額が間違っている場合は対象者に差し戻しすることが多いのですが、不備の内容によっては経理側で対応するものもあります。

経費の難しいところは、「飲食代が1人当たり1万円以上だったら「交際費」になる」「10万円以上だと「固定資産」になる」など、支払い内容と金額によって細かく決まりがあることなんですよね。勘定科目のミスまで全部社員に差し戻しているといつまで経っても終わらなくなるので、そこは経理で対応することが多いです。

Bさん:弊社の経費で出てくる勘定科目の数はおそらく一般的な企業ぐらい、むしろ最低限くらいで、もっと多い会社もあるかと思います。そんな弊社であっても、経費精算のチェックはかなり大変な体感があります。発行請求書はお取引先様とのやり取りがあるものなので大きなミスが少ないんですが、経費申請は社員個人が出してくるものなので記載がバラバラだったりするんですよね。あと、社員が多ければ多いほどほど単純に量も多くなりますしね。

――チェック体制はどうなっているのでしょうか。

Aさん:グループ会社の中で1番大きな会社は250名程度なのですが、主担当は1人で、そこにほぼ経費担当といってもいいアルバイトの方が経費精算を締める6営業日に3人ほど来てくれています。金額を間違えてしまうと正しい立替額を精算できなくなってしまうので、内容チェックは1度ではなくダブル、トリプルと何度も行うため、正直かなりやばいです(笑)。

――そこを何とかやれているのはなぜでしょう。何か工夫点はありますか?

Bさん:今まで領収書は原本の提出としていましたが、電子データの提出に変えて原本提出を廃止した影響は大きいと思います。原本提出不要になったことで立替精算の申請者の手間も減っていると思いますが、チェックする経理側も申請内容と領収書の電子データを立替精算のシステムでみることができるので、チェックの効率化につながっていると感じます。

Aさん:あとは経理側のノウハウが俗人化しないように、誰でもミスなく確認、処理ができるようにマニュアルを作っていることですかね。特に多いのが領収証の不備なのですが、その際にどう対応するのかが不備内容によって異なるんですよ。

先ほどお話したように、うちでは派遣社員やアルバイトの方などにスポットでチェックに入っていただくことがあるため、誰でも対処できるよう常にマニュアルを更新しているんです。「こういう不備は内容を明記して一旦通していい」「この不備は領収証をもらい直してもらう」などですね。

あとは宛名のもらい忘れや書き間違いは一旦通して良いとしています。金額間違いだけはさすがにNGですけどね。

Bさん:贈答品として経費を使った場合は贈った方の名前を書くことになっているのですが、その記載漏れもあとでOK。飲食代を使った場合は参加者の名前を書いてもらうのですが、こちらも漏れていた場合は後日対応でOKとして一旦締め切り、翌月の締め切りまでに対応してもらうことにしています。

Aさん:派遣社員やアルバイトの方のなかには経理未経験の方もいるので、ルールをマニュアル化しておくことで機械的に可否を判断してもらえるようにしているんです。

Bさん:前職でも経理として働いていましたが、転職してきて、ここまでルールを決めきって機械的に処理できるようにしているのはすごいなと思いました。マニュアルがあるにはあるけれど、その更新が仕事になってしまうから最低限しかないという会社が多いのではないかと思うんですよね。弊社はちゃんと更新し続けているのがすごいなと。

Aさん:マニュアルの更新は派遣・アルバイト管理担当の経理社員がいて、その経理社員が毎月、派遣・アルバイトの意見を集約して業務フローの変更やマニュアルのアップデートを行っていますね。

――最近更新したもので、何か例をご紹介いただけますか?

Aさん:社員が個人のクレジットカードを利用したときの処理ですね。明細のみを出してくる社員が多いのですが、明細では金額しかわかりません。そのため、領収証も出してもらうようにするとしています。領収証がない場合は、本人の立替経費なのかを確認できるように、クレジットカードのコピーやカード番号の下4桁、名前をもらうようにしていますね。

交通費の処理は本当に大変!他社のエピソードも聞いてみたい

――外回りの営業が多い会社では、交通費の経費精算のチェックも膨大な量になるかと思います。御社の場合はいかがですか?

Bさん:交通費は……大変ですよね(笑)。

Aさん:大変ですね。当社の基本姿勢は「申告を信じる」ですので、経理の負担もまだ軽いほうかもしれません。交通費の経費ルールは会社によって違っていて、私が前に勤めていた会社では、最安経路でなければならなかったんですよ。そのため、ルートが最安経路なのかを経理がチェックしなければならなかったんです。

Bさん:私も以前勤めていた会社が最安経路ルールだったため、同じく裏どりチェックをしていました。あとは新幹線を利用する社員が多い会社だったので、グリーン車や座席指定券の料金が経費に含まれていないかもチェックしていましたね。「ここからここに行くのは飛行機を利用したほうが安いから、新幹線はNG」とか、高速代もインターまでチェックするとか。

Aさん:定期区間の料金が含まれたままの金額になっていないかとかも見なければいけない。めちゃくちゃ大変ですよね。「交通費の経費」ネタだけで、経理同士で話すといろいろなエピソードが出てきそうです(笑)。