有休(年次有給休暇)とは、賃金を受け取りながら休暇を取得できる、労働基準法第39条で認められた労働者の権利です。企業ごとに定められた所定休日以外にも休暇を付与することで、心身の疲労回復による労働力の維持を目的にされています。
有休は、以下の2つの要件を満たせば、正社員に限らずアルバイトやパートなどにも付与することが義務づけられています。
正社員には、入社後6ヶ月時点で10日の有休を付与し、段階的に付与日数を増やしながら最終的に年20日まで付与します。
勤続日数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
有休付与 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
ただし、付与した有休の請求権は労働基準法第115条で「2年」と定められているため、これを超えた場合の有休は「時効消滅」となります。
また、アルバイトやパートなど週所定労働日数が4日以下で週の所定労働時間が30時間未満の労働者には、以下のように付与日数が変わります。
有休は労働者の権利のため、申請された場合、企業はそれを承認しなければなりません。ただし、企業は繁忙期など労働力がとくに必要な時期に関しては、有休取得の時季変更権を行使することができます。(繁忙期以外の「業務多忙」は時季変更権の使用条件に該当しません)
日本では、平均年間取得率50%という有休取得率の低さが問題視されていました。そのため、働き方改革関連法の一環で、2019年4月より全ての企業において「年次有給休暇の取得」が義務化されます。これは、年間10日以上の有休が付与される従業員を対象に、年間5日の有休を必ず取得させることが「企業の義務」となるものです。原則は、従業員本人の意思による取得を優先しますが、年間5日の有休消化ができない場合は、企業が時季を指定して取得させる必要があります。これに伴い、従業員が必ず年に5日以上の有給休暇を取得しているかを管理する「年休管理簿」の作成も企業に義務づけられることになり、違反した場合は罰則の対象となります。