証憑とは、請求書や領収書など「取引や契約が両者の同意をもって正式に交わされた」証拠となる書類(書面)を総称した言葉で、ビジネスの現場では「証憑書類」とも呼ばれています。
証憑書類は、外部取引だけでなく社内で交わされた取引についても証憑書類として扱います。その種類や名称は取引内容に応じて数多くありますが、大きく以下の4つに分類できます。
請求書、領収書、返済予定表、小切手帳、支払証明書など。
見積書、注文書、納品書、受領書、棚卸表など。
履歴書、退職届、退職金支給資料、雇用契約書、給与支払い明細書など。
※企業と労働者の関係も取引と考えるため、雇用や給与に関する書類も証憑書類として扱われます。
賃貸借契約書、銀行取引契約書、覚書、念書、議事録、送り状など。
また証憑書類は、取引の記録証拠としてだけでなく、決算書の大本となる書類でもあるため税務関連の基礎資料としても活用されます。そのため、会社法、法人税法により、以下のように「帳簿に関連する重要な資料」として一定期間の保存が義務づけられています。
株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。(会計帳簿の閲覧等の請求)
青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から7年間、これを納税地(第3号に掲げる書類にあっては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。
証憑書類の保存に関しては、違反しても罰則規定は設けられていませんが、適切に保管されていないと控除が認められないこともあります。そのため、保管だけでなく必要に応じて素早く参照できるよう、ルールや担当者を定め、厳重かつ整理が行き届いた状態で管理することが重要です。