住民税とは、道府県民税と市町村民税の2つの地方税を合計したもので、均等割と所得割から成り立っています。多くの場合、従業員の住民税は「給与からの控除」という形で、企業が代わりに6月から翌年の5月までの1年間各区市町村へ納めます。(特別徴収)ただし、総従業員数が2名以下の場合や「給与支給額が少なく特別徴収ができない」「5月31日以降に退職する予定がある」などの場合は、従業員が直接支払う「普通徴収」への切り替えが認められています。
税額は企業が区市町村へ提出した給与支払報告書を元に算出され、後日「特別徴収税額決定通知書」が送付されるため、企業側では計算しません。しかし、どのように算出されているかを理解し、従業員から質問があった場合などに備えておきましょう。
●均等割
均等割額 = 道府県民税+市町村民税
※東京都の場合は、均等割額=都民税+特別区民税(23区以外は市町村民税)
2018年6月現在、道府県民税(都民税)は全国一律1,500円、市町村民税(特別区民税)は全国一律3,500円ですが、環境保全等を目的に超過課税を行う自治体もあります。最新の税額は各地域のホームページをご確認ください。
●所得割
所得割額 =(前年度の所得額−所得控除額)×所得割税率−税額控除額
所得控除額とは、基礎控除額、配偶者控除額、各種保険料控除額などの総額です。
税額控除額は、調整控除額、寄付金税額控除額(ふるさと納税など)、配当控除額(株式など)、住宅ローン控除額などの合計額を指します。
なお、所得割税率は全国一律10%(市町村民税6%+都道府県民税4%)となっています。
退職や中途入社する従業員がいる場合、住民税に関する確認や書類作成等を行います。特に、退職や転職によって特別徴収ができない場合は、時期によって未納分の住民税の納め方が異なるので注意しましょう。
入退職時には、従業員への確認や書類の作成等、様々な作業を行います。チェックリストを作成すると、作業が把握しやすくなり従業員にも効率よく協力してもらえます。
①1月から5月の間に退職した場合
5月分までの住民税は本人の意思に関わらず、最後の給与または退職手当等から一括徴収します。
②6月から12月の間に退職した場合
以下の3つより、本人が選べます。
(B)や(C)の場合、手続きが遅れると従業員の住民税が「滞納」されていると見なされることがあります。(B)もしくは(C)を選んだ従業員に対しては、その後の対応についても説明しておくと良いでしょう。
手続きの詳細は各区市町村へお問い合わせください。
前職で特別徴収していた場合「給与所得者異動届出書」を従業員から受け取り、区市町村へ提出します。普通徴収であれば「特別徴収への切替申請書」を作成し、区市町村へ提出します。