DX成功事例 桑原運輸株式会社

桑原運輸株式会社
業種:運送業/従業員数:163人(2022年6月1日時点)

人事労務

「バックオフィスからDX」で継続性のある企業へ
100年続く地方中小運輸企業が描く「次の100年」

導入パートナー:株式会社オレンジシステム

DXのきっかけ

バックオフィスの処理はすべて紙。
脆弱な管理体制では、事業継続を脅かすリスクを感じた。

当社は2024年で100年の節目を迎えます。営業面では長年の努力が実って、顧客と良好な関係を築けていますが、バックオフィス部門に目を転じてみると、管理体制が極めてぜい弱。近年、法令違反による信用失墜や莫大な損失計上のニュースを多数見聞きしますが、決して他人事とは思えない。このままの管理体制では、いつ“オウンゴール(意図せず自ら法令違反を犯して顧客に損害を与えたり、評判を落とすこと)”してもおかしくない状況で一発退場(事業停止)さえあり得ました。そうなれば、今まで築き上げてきた信用や営業基盤が一気に崩れ落ちてしまいます。

当時、バックオフィスの処理はすべて紙で行っていました。会計は複写式の伝票で経理処理をしてExcelの財務諸表に転記。給与は勤怠計算から手当や社会保険の計算までExcelで行い、社労士にチェックを依頼していました。
人の手で行うことですから、日常的に転記ミスなどが起こってしまう。そうしたミスが積み重なることで、どれが正しいデータかもわからない状態でした。これでは正確に業務を行うのは難しく、「事業継続リスクが大きい」と大変な危機感を持ちました。

DXで目指したこと

「中小企業だから」という言い訳はしたくない。
従業員の安心、安全な労働環境と継続性を確保できる経営を目指して。

脆弱な管理体制ではどこかでリスクが顕在化し、事業継続が危うくなってしまうかもしれない。それに、従業員の安心、安全な労働環境の確保という点についても疑問符が付く。そんななか、「このままではいけない」「“地方の中小企業だから”という甘えで済ませてはいけない」と決意して取り組んだのが「バックオフィスからDX」。それは事業の継続性を高め、次の100年を創るためのチャレンジでした。

実際の取り組み

バックオフィスからDXを実現するために
「全体最適化」を重視して複数のサービスを比較検討

システム選定において最も重視したのは、財務・税務にすべての業務データを流入させることでした。
奉行クラウドの場合、人事労務から会計まで、バックオフィスに必要なシステムが揃っており、様々なデータがすべてつながります。具体的には、給与の支給・控除データから自動的に仕訳が起票され、会計データからは内訳書や概況書が自動作成されます。市場には多数のサービスが出ており、実際に比較検討しましたが、このような全体最適化が実現できるのは奉行クラウドだけでした。他社のサービスは人事労務と会計が別々になってしまうものが多く、データ連携を人の手で行わなくてはいけなかったのです。
また、奉行クラウドなら法や制度改正などの環境変化にすぐに対応できることにも好感を持ちました。
給与については、業務をアウトソーシングするという選択肢もありましたが、働き方を自分たちで作っていくうえで人事労務に関する基礎的な知識やデータを蓄積していく必要があると判断し、内製化に踏み切りました。奉行クラウドなら、専門家ライセンスが活用できます。奉行認定社労士※(※奉行クラウドを通じて、企業の人事労務課題を解決するOBC認定の社会保険労務士。)による内製化支援を受けられることも導入の後押しになりました。

DX化の効果

DXで業務の正確性を確保
戦略的業務に注力できるバックオフィスを実現

紙から脱却したことで転記などの業務がなくなり、正確に業務を実行できる環境を整備できました。来たる改正電子帳簿保存法への対応も見通しがついています。

給与の内製化については、奉行認定社労士である広島市の社会保険労務士法人サトー様の支援を受けて労働時間管理と賃金体系を大幅に見直しました。法定休暇や所定労働時間が形骸化し、実務に合っていなかったため、シフト制を導入し、確実に休暇が取れて残業を削減できる環境に変えました。休暇が増えて残業が減っても従来の給与水準を保てるように、ベースアップに加え、賃金体系を変更。サトー様とはクラウドでつながってリアルタイムにアドバイスを受けられており、地理的な距離はあるものの専門家を「今まで以上に身近な存在」と感じられるようになりました。

正確性を担保した業務のベースが構築できたことで、“オウンゴール”のリスクは大幅に低減。さらに、総務が戦略的業務に注力できるようになっています。戦略的業務とは、職場環境の改善や採用、育成・教育、情報発信などで、次代の桑原運輸にとってどれも必要不可欠なものです。これまでは全員が実務に追われていましたが、実務は担当者に任せてマネージャーが戦略的業務の旗振りをできるようになっています。例えば働き方改革推進では、シフト制の導入のほか、総務自身の生産性向上や選択制テレワークを実現しています。

今回、奉行クラウドを導入して本当に良かったと思うのは、社内への情報発信に時間を使えていることです。経理や人事の担当者が社内向けメルマガを発信するのですが、これは従業員の「知らない」をなくすため。社内に反発や不和が生まれるのは単に「知らない」ことに起因するものだと考えており、情報伝達の質的向上を図る必要があります。人事は人事だけをやるのではありません。情報発信することで、従業員が働き方を自分事として考え、自ら選択できるように仕向けるのも人事の重要な役割と考えます。

これからの展望

「次の100年」の創造のため、さらなるDXを進めていきます

当社は2024年で創業100年を迎えます。こうしたなか、次の100年に向けて労働集約型ビジネスからの脱却を目指します。DXはバックオフィスのほかフロントの物流にも及び、働き方や働く人の質もいずれ変わっていくでしょう。そうなれば会社の色がガラッと変わってくるはずです。次の100年にワクワクするために、必要な準備をしていきたい。

例えば人事制度と人事評価をリンクさせて、従業員に達成感を得てもらう環境をつくることに取り組みたい。また、先端テクノロジーを積極的に取り入れて絶えず変革を起こしていくことにもチャレンジしたい。将来的には納得感のあるKPI(重要業績評価指標)を作って、自分たちがやるべきことと経営をリンクさせる。そうすることで、全員経営を実現でき、足腰が強靱な会社を創ることができると考えます。そのための地盤を固める取り組みのひとつが今回の「バックオフィスからDX」です。

専務である私の役割は「社長をやりたいと思ってもらえる人を増やす」こと。「バックオフィスからDX」をきっかけとした次の100年への取り組みは始まったばかり。これからもチャレンジを続けていきます。


導入ソリューション・サービス

・ 給与奉行クラウド
・ 総務人事奉行クラウド
・ 法定調書奉行クラウド
・ 奉行Edge 給与明細電子化クラウド
・ 奉行Edge 年末調整申告書クラウド
・ 勘定奉行クラウド
・ 固定資産奉行クラウド
・ 申告奉行クラウド[内訳書・概況書編]

この事例の導入パートナー
株式会社オレンジシステム