事例インタビュー

岐阜県立岐阜商業高校

勘定奉行を商業高校の授業で採用
実務を身に付けた人材育成に貢献

SDGs(持続可能な開発目標)を実現するために設けられた17の目標の中に、「質の高い教育をみんなに」があります。
OBCとしてその目標の達成に向け、行っている施策が「奉行 学校支援プロジェクト」です。商業高校などが会計ソフト「勘定奉行」を使って実務的な授業を行うためのプログラムを提供しています。令和4年からは新高等学校学習指導要領の施行に伴い、商業高校では会計ソフトウェアを活⽤した実習も求められるようになっており、同指導要領にも対応した最適なプログラムです。
そのプログラムを採用し、令和4年4月から勘定奉行を使った授業を本格的にスタートさせたのが、岐阜県立岐阜商業高等学校です。このプログラムを導入する教育上の意図や狙い、実際の効果や将来的な展望をOBC代表取締役社長の和田と担当教員が語り合いました。

株式会社オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長 和田 成史(右)
岐阜県立岐阜商業高校
田中 英淳 教諭(左)/石川 勝久 教諭(中央)

「奉行 学校支援プロジェクト」でSDGsの教育目標を推進

日商簿記2級の合格率は7割に上る!勘定奉行で行える授業は長年の悲願
和田
OBCは創業以来、「顧客第一主義」を掲げ、お客様と共に発展してきました。一方で、社会貢献も重視し、この度、SDGsの教育領域での目標である「質の高い教育」の普及を実現する一環としてスタートさせたのが「奉行 学校支援プロジェクト」です。今回、岐阜県立岐阜商業高等学校(以下、県岐商)様が、勘定奉行を教材に使うこのプログラムを採用されたことを本当に嬉しく思います。まずは、県岐商様がどのような学校であるかを教えてください。
佐賀県立唐津商業高校 岸川 文広 校長
岐阜県立岐阜商業高校 田中 英淳 教諭

 

田中氏
昨今、商業高校の生徒募集が厳しいと言われる中、本校は人気を保ち、地元でも入学させたい商業高校として選ばれる存在になっています。その理由は、スポーツの強豪校であり、吹奏楽部も有名で部活に打ち込めることと、簿記教育に熱心であることが挙げられます。検定試験も、高校生向けの全商簿記ではなく、大学生・社会人など一般向けでより難度の高い日商簿記を生徒には受験させ、日商簿記2級は一学年360名中263名が合格し、合格率は7割に達成しています(令和3年度)。日商簿記1級合格者も毎年20名を輩出。税理士試験の簿記論・財務諸表論は2桁合格、公認会計士の短答式試験は高校在学中に合格する生徒もいます。こうして簿記ができることに定評があるため、地元企業からの人材としての期待度も高く、卒業生の採用も多くなっています。大学の進学率は7割に上りますが、卒業後は地元に帰って岐阜の会社に就職する生徒も多いです。
和田
大学と連携しての簿記教育にも力を入れているようですね。
田中氏
東京の中央大学、地元の朝日大学と連携し、高大接続プログラムによって、将来の公認会計士を育成しています。具体的には、大学の録画された公認会計士関連の授業の動画を本校の生徒が視聴できたり、朝日大学では日商簿記1級を持っていると4年間授業料が免除で、公認会計士の学習費用も全て支給されたりします。こうした連携を15年間続けており、県岐商の卒業生から100名の公認会計士を輩出する成果を得ています。
和田
我々OBCは、その時代の先端のテクノロジーを使って会計システムを開発してきましたが、一方で、ナレッジ教育という側面で見た場合の簿記教育の重要性も理解しています。テクノロジーは日進月歩で進化していますが、簿記の考え方は、私が勉強した50年前と全く変わっていません。それほど簿記というのはベースの知識として普遍であるということです。その簿記とテクノロジーを融合させて会計の学問や実務を構築していくことが何より大切だと考えています。
田中氏
私も同感です。まさに簿記とテクノロジーの融合こそが大切。しかし、従来の教育では、赤線の引き方や摘要の書き方など帳簿の記帳方法にこだわり、簿記を会計システムにどう落とし込んでいくかといった実務を教える授業になっていなかったのが課題でした。これは簿記を窮屈にして、柔軟性のない生徒を育ててきたと言っても過言ではありません。今回、新高等学校学習指導要領で簿記教育の中にコンピュータ会計の実習が組み込まれたタイミングで、勘定奉行を教材に使って授業が行えるようになったことは、まさに長年の課題が解決に向かう第一歩です。
和田
OBCとしては、そうして簿記教育そのものをDX(デジタルトランスフォーメーション)していく支援を行い、新しい授業で学ぶ高校生の皆さんに時代の変化を感じていただければと思っています。
低コストで導入しやすいプログラム
和田
今回提供するのは、勘定奉行を教材にしたOBCとしては初めての学校用プログラムです。特徴は、実際に法人で使っているのと全く同じシステムを提供し、一切の制限無しに授業やテスト、自己学習で色々な使い方ができるようになっていることです。また、就学期間中の3年間使い放題で利用することができ、生徒1名のライセンス料が1980円(税込み)と、家庭の負担を極力抑えていることもポイントです。さらに、実教出版から教科書となる「実習テキスト OBC 勘定奉行」も令和4年3月に730円(税込み)で発刊されており、生徒が学びやすく、教員は教えやすいプログラムになっています。このプログラムによって、きちっとした教育を受けられ、企業で働く準備ができ、高校やその先の大学を卒業して就職していく一つのエコシステムとして定着していけば良いと思っています。
岐阜県立岐阜商業高校 石川 勝久 教諭

石川氏
過去も会計ソフトを入れて教育に使う場面が無かったわけではありません。しかし、高額なためソフトが更新できず、古くなって結局使われなくなる悪循環に陥っていたのが実態でした。その点、今回のOBCのプログラムは料金が抑えられ、加えて3年間サブスクで使える点が魅力です。これによって、3年間みっちり使い倒して、実践的な人材として世に送り出すことが可能になるのです。
和田
簿記教育も変わっていきそうな予感があります。
石川氏
今までの簿記教育は「検定を取る」ことに重きを置いていましたが、勘定奉行の導入によって、「帳簿を付け、損益計算書(PL)と賃借対照表(BS)までしっかり作成できるようになる」のが主眼となります。さらに、そのデータを見て色々調べたり、分析したりすることに発展し、最終的には過去のデータを見て次年度の予算を組み立てる教育まで昇華することもできます。つまり、勘定奉行を使えば、そうした探究学習まで落とし込むことができるわけです。我々は、学習指導要領が改訂され、勘定奉行が授業に入ってくることが、簿記教育が変わっていく起爆剤になるのではないかと、大いに期待しています。
和田
こうした授業を行うことに対し、企業はどのように見えているでしょうか。
石川氏
実際に授業を実施するに当たって、アンケート調査を本校の就職先となっている地元企業約130社に行ったところ、前向きに捉えている企業が多数に上っています。ですが、一部で「良くも悪くもない」という回答があり、真意を聞くと、「コンピュータ会計も大事だが、簿記もしっかり教えてほしい」という要望があることが判明しました。やはり、原点は重要という認識であることが分かり、1年生では日商簿記3級の知識を着実に身に付けさせてから、勘定奉行に触れるようなカリキュラムで実践していこうと考えています。
生徒は会計システムの効率の良さを実感。大切なのは簿記の力を再認識すること
和田
既に勘定奉行を使った授業が始まっています。生徒の皆さんの反応はいかがですか。
石川氏
授業では、最初は手書きと勘定奉行の両方で仕訳を行い、その違いを実感させるような形で進めています。勘定奉行の方が入力してから出力までの時間が圧倒的に速いことや、分析でもこれまで電卓を一生懸命打って計算していたものが、ボタン一つで数字が出ることに皆一様の感動していました。作成する時間も計らせましたが、仕分けをしてPL/BSを作るのに、手書きだと40分掛かるところを、勘定奉行だと半分以下の15分で作成できる結果となっています。
和田
早速、効率の良さを実感できたわけですね。
株式会社オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長 和田 成史

石川氏
ただ、システムの使い方だけを覚えて終わってしまっては意味がないので、本質的には簿記が大事であることもしっかり押さえていきたいと考えています。例えば、手書きと勘定奉行で作成したものを見比べて、間違いがあれば、なぜなのかを考えて直させます。その際に簿記の力が活きることになり、そうして会計システムと簿記をミックスさせながら、自力を付けさせるのが目指す姿です。その点で言えば、一人で学習するより、作成した財務諸表を持ち寄って話し合うグループワーク形式の授業を行うことも必要だと感じています。実際、作成後に机をくっつけて話す時間を設けると、間違った場合の要因を探る学習が促進し、簿記の大切さを再認識する生徒が多く見られたことは、一つの収穫とみています。
和田
OBCでは模擬的に架空の会社の仕訳を作り、授業で分析に使えるように提供することを始めています。これは授業で効果的に使えそうでしょうか。
石川氏
我々でも一年分の模擬会社の仕訳を作成し、試しに授業の中で分析させたことがあります。ただ、OBCに作成いただいたラーメン店の仕訳は本当にありそうな会社のデータで実にリアルでした。普段から様々な会社のデータを見て、実務を知っているOBCだからできることだと思います。今後は、こうしたデータを複数用意していただけると、生徒も研さんが積めると考えています。
情報交換や悩みを共有する場が必要新課程が始まった今年が普及のチャンス
和田
実際に採用した県岐商様の先生から見て、導入の際にハードルを感じましたか。
石川氏
低コストであることに加えて、教科書や模擬会社のデータなども用意されているため、授業は組み立てやすいと思います。後は通常のソフトと同様に生徒のタブレットなどにインストールするだけで準備は整います。分からないことがあれば、教員は法人が利用するのと同じサポートセンターに問合せし、システムの使い方や疑問点をいつでも相談できます。このサポートセンターを我々も活用しましたが、即座に回答していただけるので作業が止まらず重宝しました。従来の会計システムに比べてハードルは非常に低く、他校の方々も導入を検討する価値はあると思っています。

奉行を使った実際の授業の様子
和田
今後、「奉行 学校支援プロジェクト」は全国の商業高校に広めていきたいと考えています。そのためにどのような施策が必要でしょうか。
田中氏
導入した学校の先生や、その他にも興味・関心を持つ先生や生徒が集まる場が必要ではないかと思います。そこで、どういう授業を行っているかなど、情報交換をしたり、悩みを共有したりすることができれば、一気に導入の機運が高まり、広がっていくのではないでしょうか。県岐商も先達として、授業動画の公開やウェブサイトからの情報発信を通じて、先生同士、生徒同士を結び付けることに一役買いたいと考えています。
石川氏
こうした新しい取り組みはきっかけが必要であり、その点で言えば、学習指導要領が改訂され新課程が始まった今年や来年が導入を広げるポイントの年になります。まだ、このプログラムの存在を知らない学校も多いと思いますので、我々も同業の教員にアプローチしていきたいと思っています。
和田
OBCは社会で役立つ実践的な貢献ができればという思いで「奉行 学校支援プロジェクト」を展開しており、県岐商様と共に推進できることに心から感謝します。高校生の皆さんが勘定奉行を使って実務を身に付け、社会で活躍できるようになるため、これからも全力を尽くして支援していきたいと考えています。

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